最高の思い出‼︎
子どもたちの子どもたちによる子どもたちのためのカレー作りも成功し、『けやきのき』の夏休み恒例のキャンプも、盛り上がりを見せてきた。
いまどき珍しいのかもしれないが、私たちのキャンプは夜、キャンプファイヤーを囲んでの催し物が、一番のメインとなっている。
井桁に積んだ丸太の中に、薪と一緒に火を入れる。火は少しずつ勢いを増して燃えていき、暗くなりかけていた茜の空に、オレンジの色を差していく。
キャンプ場の夏の夜は、都会より涼しく、けれどそうは言ってもキャンプファイヤーは熱いし暑い。
水分を取りながらのキャンプファイヤーは、まずは少し離れた場所で、学生が仮装して行う寸劇から始まった。
寸劇は、『ユーチューバーのやってみた』シリーズ。これはユーチューバー好きの子どもたちには大受けで、その中でも一番受けていたのは、意外にもマッフーのミッ◯ーだったのだ。
「ミッ◯ーの、ジェスチャーゲームをやってみたー‼︎ パフパフドンドン」
司会のマメ金が、それらしい言い方で場を盛り上げる。
すると、マフミッキーが右手を上げて、足踏みし、モニョモニョとした動きをする。
子どもたちが、「わかったっ、イモムシっ」だとか「ヘビじゃない、ねえ、ヘビでしょ」だとか言っても当たらない。
「マッフー、答え、教えてー」と声を合わせて言うと、「テレビでこの前、見たのだが……あの有名なダンスチームのランニングマンだ」
それでもう、大爆笑。うそでしょ、クオリティー低っっっ‼︎
わははは、ウケるっっ。
もう一回やってやって。
子どもたちは大ウケで、滝先輩がスマホから流す音楽と、子どもたちが大合唱で歌うBGMの中、三回も同じことをやらされたマッフーも「何回やらせるんだっ」って、嬉しそうに笑っている。
よかったって、素直に思う。楽しいよ、本当に心から。だって、マッフー自身が、楽しんでいるんだもん。
子どもたちの出し物は、毎年変わるんだけど、今年のはもう最高に面白くて。
お笑い芸人のネタを完コピ。コントネタを披露する。それがもう辿々しいったらない。タカシとキミヒロたち高学年生が、リンやタマ、ユイを引っ張って、低学年生を盛り上げる。学生が、ヒューヒューと愛情いっぱいのヤジを飛ばす。
大好きなんだ。
この、『けやきのき』が。
子どもたちの弾けるような笑顔。腹から出す、笑い声。ハイタッチ。それが時々、スカってなって揃わなくって、また笑う。
そして最後に。
私たち、学生からの歌のプレゼントと子どもたちから手作りのレイ。
歌はみんなで練習したのもあって、とても上手に歌えたんだ。子どもたちも知ってる曲だったから、一緒に歌ったりして。
それから、プレゼント。
少しの間だったけど、楽しく一緒に遊んだマッフーへの贈り物として、子どもたちが内緒で作っていたものだ。
レイにしようと言い出したのは、マッフーのことが大好きなリン。
「うわ、俺にか? ヤバイ泣ける……じゃないか」
すんっと鼻をすする。
「マッフー、泣いてるよっ」とリンが手を叩く。
「え、ほんと? やったー‼︎ マッフー泣かせたよっっ‼︎」
「成功だねっっ」
子どもたちに囲まれて、照れ笑いのマッフー。
日本に来て、よかったって、思ってくれたなら。
ううん、日本に来てくれてありがとう、は私の方か。
私も少し、鼻をすすった。




