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「hotel R 1 pm」へ来い‼︎

これは現実ですか? あ、はいそうですか。

ああ、夢だったらいいのにぃ。

穴があったら入りたい。


はい。私、殿倉とのくら かえででございます。


あの事故の後、怪我をした悠人の膝小僧に絆創膏を貼ってあげてから、悠人を家まで送りがてら悠人のママに説明しに行ったのだけど、帰ってきたらやたら大問題になっていて。


どうやら、私が悠人を送っていっている間に、そのザイードのなんたらかんたらの使いの者が来たらしく、パパが言うにはエライ剣幕で怒っていたらしい。


うちのおじいちゃんやママやパパはもう「日米(←⁇)経済摩擦になりかねんぞい」「なんてことをしてくれたんだ、楓はあ」「うちの店を潰す気なのっっ」などと、大慌て。


「楓ぇ……ママ、あんたに店番頼んだだけなのに、何でこんなことになってるのよ、もう! まったく、あんたはいつもしょーもないことに頭突っ込んで……」

「しょーもないことじゃないよっっ! これは国際問題ですう」


胸を張って言ってみたけれどなぜか虚しい。


「ママっ、だからさっきも言ったでしょ。悠人が道路に飛び出して、怪我したんだって。車に当たったっていうサッカーボールだって、勝手にバウンドしてっちゃってだねえ……悠人が全面的に悪いってわけじゃなくてだねえ……」

「じゃあ、なんでうちに怒鳴り込んでくるわけ?」

「そうだよ、楓がなんかやらかしたんじゃないのか?」


ここで。

うっ⁉︎


キーマカレーのおじさんとかザイードンとか言ってしまった事実には、そっとふたをしてから私は、「ママパパおじいちゃん。とにかく私を信用して! 絶対に私、何もやってないから!」と、根拠なき主張をする。


私はさっきおじいちゃんから渡されたメモをもう一度見つつ訊いた。殴り書きで「hotel R 1 pm」とある。


「と、とにかく明日、リージェントホテルに来いって言われたんでしょ?」

「そうじゃそうじゃ。そう言っとったわい。あやつめ、わしを年寄り扱いしおってからに。これくらいの情報、覚えられるっちゅーのに、そんなメモなんぞを押しつけおってだな」

「おじいちゃん。明日、新町まで送ってって」

「お、おお。ほいほい」

「ねえ、大丈夫なの? まさか、王家の宝刀かなんかで、ズバンッとやられやしないかしら」

「んなわけあるかー殺人事件!」


ママが作った夕食をガツガツと食べ終わると、私は二階にある自分の部屋へ。


「あーあ、なに言われるんだろ……」


途端に気が重くなったが、指定のホテルは都心にある。


(まあいいか。行ってみないとどーなるかわかんないし。久しぶりにオシャレな街を堪能しよっと。タピオカとか飲んじゃおっかなー。パンケーキとか食べちゃおっかなー)


むふふ、と口元を緩ませながら、私は眠りについた。

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