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今日から学校と仕事、始まります。②莞

人質の被害者

作者: 孤独

「動くな!!」


今日は2つほどのご紹介である。

といっても、通販番組ではなく。男が武器を持ち、か弱い(?)女性を人質にとっている状態。


「く、来るんじゃね!この子の首、刺すぞ!!」

「っ……」

「そんな首元に刃物を当てるな!」

「五月蝿い!!」


ご安心ください。事件じゃないです。

警官3名。人質をとった相手を取り押さえるという、実技研修を受けているところであった。

”特殊警察”、ホントに特例的な事件に限って出動するところに所属している、鯉川友紀こいかわゆきの監修、指導を元にやっているのであるが……。



「きゃー、止めて!離して!」

「お前も動くんじゃねぇ!刺されてぇか!良いから!金持ってこい!」


マジの切れる刃物でやっている。


「銃を降ろせーー!言うとおりにしろ!」


身柄が大事なのは当然である。しかし、正義が悪に簡単に屈しては



「なんのための警察だーーー!」

「こ、鯉川さん!」

「まったく!!最近、事件が生温いからって!平和ボケしすぎ!!」


一時中断。

人質と犯人役はそのままの状態で、鯉川は男性警官3名にご指導する。


「まず!身柄が大事!人質にとられた人は落ち着かせなきゃ!暴れるから、首元なんか刃物がいっちゃうんだよ!相手に屈した形で銃を降ろしちゃ、人質は余計に錯乱しちゃうわ!」

「わ、分かりました!!」

「アドバイスして、犯人にも刃物を降ろさせること!はい、続き!!」



そういって再スタートをするのであるが、


「お、終わってます……」

「え?」


人質役の清金純が犯人役の人を伸してしまっていた。それほど短い間で立場が逆転しているほどの光景。倒れた犯人役の腰の上に座って、スマホを弄っている清金。


「あ、始める?長いからさ。勝手にやっつけちゃった」

「早いよ!!どーやったの!?清金!!」

「犯人役が隙だらけだったから、投げ飛ばして振り払った後、顎に蹴りを入れて倒した」

「これ練習なんだけど!指導なんだけど!!大人しく人質役やって!!」



意識するなってのも無理あるが、鯉川と清金。控える村木は同い年。20代になったばっかりの、イケてる女性達である。


「いや、やっぱり無理かな」

「えーーー!?」

「40過ぎのおっさんに背をとられるのって嫌。あたしは女優でもモデルでもないし。この人、犯人役だからってさ、ないでしょー」

「いやいやいや!!やってよ!捕まってるだけなんだから!!私の対武器における指導を、この警官さん達にしなきゃいけないから!実践的にしたいから!」



軽い気持ちでやった時、強い後悔というものも出てくる。


「もーっ!村木!変わってあげて!!」

「はいはい。やるわよ、鯉川。清金ー、あんたって役がなってないわ」

「猫かぶりは村木の方が上手いじゃない。嫌なものは嫌なの。パピィとか、姫子とかいるじゃん」

「あのメスゴリラを人質になんかできるか。姫子は用事でしょ。っていうか、あたしがその代理」


続いて、村木が人質役となり、意識を取り戻した犯人役も続行。

後ろから刃物を首元につきつけ



「動くなー!この子がどーなるか、分かってるかー!」

「きゃーーー!助けてーー!止めてーー」


猫かぶりしている。その自信は確かであって、まさに襲われている女性と言える声とポーズをとっていた。


「銃を向けんじゃねぇ!」

「…………」

「か、彼女の首元から刃物をどかすんだ!そーしなければ、こちらも降ろさない!」

「うるせぇっ!」

「お前にその気がなくても、彼女が暴れたら体を切ってしまう!!こちらも降ろす以上、首元から刃物を降ろせ!」

「っ……!」


なかなか良い感じ。しかし、人質役の村木に突如、



「おい、テメェ……」

「?」


殺意、沸き立つ。


「くせぇ口でぎゃーぎゃー騒ぐんじゃねぇ!!!」


鼻フック!その一撃だけで拘束が解ける。村木は、


「危っねぇの、首につけんじゃねぇよ!死ね!!クソカス!!」


顔面をぶっ叩き、地面に倒した後に一発踏み踏み。たまらず、鯉川が村木を止めにかかる。


「ストップストップ!!村木、ストップ!!」

「離れろ!こいつ!あたしの首に刃物当てやがった!!くせぇ口でぎゃーぎゃー騒いだ!」

「ごめーん!マスクさせるから!それと、人質役なの忘れない!!」

「離せ鯉川!!くんくんっと、犬みてぇに匂い嗅いでたぞ!視線が犯人じゃなく、あたし達の体に向いてやがった!!この汚いおっさんがよ!!」

「事実だけど暴言過ぎーーー!」


2人のやりとりに唖然としている研修中の警察官達。清金はそーなるだろうと、溜め息をだしていた。そこで提案、


「鯉川、村木」

「な、なに?」

「こーいうのはどう?」



◇        ◇



10分後。



「おい!どクズ警官!!こいつがどーなってもいいのか!?」

「た、助けてー!」

「私達の仲間を解放しないと、こいつの命。いえ、……手の爪をまずは剥いでいきます」



犯人役に清金と村木。

人質役に鯉川。

清金が鯉川の両手首を握って、背後をとり。横で村木が刃物をつきつける。物凄く様になった人質役と犯人役。半泣きで、その助けをこう様


「た、助けてーーー!殺されちゃうーー!」

「似合ってるよ、鯉川」

「ええ、ホントに」



本当に演技なしに助けて欲しいという顔。

乙女の顔を助けるのが男だろうと、訴えたいが。後ろの2人は鬼と言える雰囲気で、鯉川を半泣きさせている。まともに戦えば、殺されてもおかしくない。

我が身が第一。


「いや!無理です!」

「鯉川さんが無理なら助けられません!」

「逃げます!!」


警官3人は怒られるなら、かわいいを選択して逃げる。


「そ、そ、それでもお前等警察かーーーー!!」


鯉川の断末魔だけが響いた。






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