まあい編
後味が悪くなります。
ハッピーエンドで終わらせたい方はブラウザバック推奨。
私は音操の頂点に立つ者。
その力は、呪われていた。
私は幼い頃から弱かった。
心も、体も、人一倍弱かった。
何をするのにも、使用人が付いていた。
強くなりたい。
いつもそう、願っていた。
ある日突然、彼女の演奏記号は生まれた。
それは偶然か。それとも、神の悪戯か。
そんな事は分からない。考えた事もない。
でも、演奏記号を得たところで、私の心は弱いままだった。
そんな私の心の支えになっていた人達がいた。
まりな、ゆきの、ななみ、そして…まさゆき。
みんなといる時間は、いつも笑顔でいられた。
しかし、私の演奏記号はその日常を壊してしまった。
今はもう、なんで喧嘩したのかは思い出せない。
ただ、まさゆきにひどく怒っていたことは覚えている。
そして、呪われた私の演奏記号はその怒りを体現してしまった。
彼は一命を取り留めた。
ほとんどの記憶と引き換えに。
そしてその事件をきっかけに、私達の関係は不協和音を生じ始めた。
心の弱い私は、私でいられなくなった。
…どうして、今更こんな事を思い出すんだろう。
急にみんなで笑い合ってる光景が、浮かんできたんだっけ。
私は今、自らが生み出したブラックホールの中にいる。
見渡す限りの闇、闇、闇。
まるで、私の過去そのものだ…。
涙が止まらない。別に、死ぬのが怖い訳じゃないんだ。
これで呪いから解放されると思うと、少し、気持ちが楽になるの。
一人の少女とその涙は、果てしない闇の中へと消えて行った。