表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

さすらい猫と、酒場の彼女。


(さすらい猫は、魔女の魔法で

(可憐で冷たい、少女の姿で

(死ねないからだを引きずって、

(街から街へと、さすらう運命さだめ



さすらい猫はさすらって、

さすらい続けてどこへ行く。

さすらい猫は強いので、

お酒を飲んでも変わらない。

瞳の色も黒いので、

どこまで酔ったかわからない。


さすらい猫の一晩中、

飲み続けていた武勇伝。


さすらい猫は気にしない。

寂しさなんか感じない。

帰る家などないことや、

帰る人などいないこと、

それが自分のあるべき姿と、

知っているので悲しくないさ。


さすらい猫が酔った時、

ハミングするので、すぐわかる。

それは可憐な童謡で、

酒場が似合う曲じゃない。

人みんなドン引き、誰もが聞かない、

けれど小さくハミング、ハミング。


なぜだか酔うと男みたいに、

かわいい女の子を口説く。

ちょっと外れたそのハミングが、

女の子たちにはウケが良く、

2人仲良くカウンターで

瞳をからます、ハイ、ホラ、落ちた。


さすらい猫は女にモテる。

女のくせに女にモテる。

素面の時のさすらい癖が、

お酒が入ると寂しくなるのか、

必ず女の子を口説き、

そして必ず落としちゃう。


自分のことを『バカだから、

あたしに害は無いから』と、

本気で思って、本気でしゃべって、

本気で見つめて、本気で囁く。


見ている人を魅了する、

睫毛にたまる、涙の色とか、

背筋を伸ばして、踏ん張る姿勢が、

隣の女性の、心を焦がす。


さすらい猫は、さすらって、

知らない街を、どこまでも行く。

さすらい猫の寂しさは、

だれに話して、楽になろうか?

さすらい猫の悲しみが、

世界にあふれた冬の日差しを、

彼女の胸に刻み込むんだ。


さすらい猫の切ない気持ちを、

ブルーな色に染め上げて、

彼女の胸に刻み込むんだ。

彼女の胸に刻み込むんだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ