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三章の閑話 食べ物の恨みは恐ろしい【第三章、設定資料あります】

第三章に出てきた旅人のSSです。もともとマヌケ設定にしてあったのと、ネタを組み合わせて楽しく書きました。どうってことない話ですが、楽しんでいただけたら幸いです。


あ、2000字行きませんから短いです。


2020/01/13 後半に第三章の設定資料を追加。

 僕の名前はバッブス=アンドリュー。ちょっとした商人の三男坊だ。年齢は三十歳目前だ。家の使用人や知り合いからは放蕩息子と言われているが、そこまで放蕩息子ではないんだ、失礼しちゃうよね。


 僕の趣味はいろいろな場所を見て回る事だ。先日も王都まで行って様々な場所を見て来た。でも家のあるブールに着く直前、大きな鳥の化け物に襲われ、命からがら逃げ回っていた。


 まぁ、旅の人がやっつけてくれたから無事だったんだけどね。


 それを親父に話したら、”いい加減に嫁でも貰って落ち着け!”って言われてしまった。ごもっともだけど、僕の所に嫁に来てくれる奇特な人なんかいないと思うんだよね。うんうん、自分で言っててちょっと悲しくなったよ。


 それで、いまはキール自治領のラルナって街に来ているんだ。えっ?お前はブールに居るんじゃないのかって?親父に怒られたら、いつの間にかいたんだよ。自分でも不思議だと思っているよ。


 ラルナに来たなら噂を確かめなくちゃいけないと思ってる。そう、噂だ。とある場所で川魚なんだけどラルナでしか食べられない魚があるらしいと聞いてね。


 食べ物、それは人を形作る根幹。

 そして、見つけたんだ、それを。


 ラルナの街の一番北、横にラルナ長河の川口が見える場所にあるちょっと変わったお店だ。そこは屋根に瓦と言う土を固めてレンガの様にした黒い物体を乗せているんだ。壁は白く、いや真っ白くペンキでもない何かが塗られていて周りの風景に溶け込まず浮いているんだ。

 これはこの大陸の遥か東の国から来た料理人がこだわって建てたらしい。建物だけ見れば綺麗なんだけどね。

 この店はある魚を料理してくれるただ一軒のお店なんだ。獰猛な魚を捕ってきては時価で食べさせてくれる。ああ、考えただけでもヨダレが出て来るよ。早く食べたい。


 僕はお店の入り口をくぐった。テーブルが見えないから聞いたら靴を脱いで一段上がれと。なんで靴を脱ぐのかわからないけど、綺麗好きなのかな?

 低いテーブルが置いてあって、その内の一つに通された。


 メニューを見ると、目的の料理を見つけた。ピラゲーターの料理を。

 このフルコースを頼んでみた。


 時間がかかるらしく、一時間くらい待ったかな。お腹と背中がくっ付きそうだったよ。もうお腹ペコペコだ。

 運ばれて来たピラゲーター料理は見事に飾ってあった。驚いたのは頭だ。

 ワニの様なくちばしを頭ごと柔らかく似てある。くちばしは骨で食べられないけど、それ以外はにゅるんとしてて、女性は大好きな食感だと思う。僕はこれ好きだね。


 内臓も食べられるらしい。透明な塩味のスープに内蔵の一部分だけ入ってる。キモスイって何だろう。でも美味しい。この内臓もコリコリしてて、何だろうな獣肉の軟骨を食べている感じだ。


 胴体の一部はパイ生地に乗せられデザート替わりになっているって。これはデザートだから最後だね。他には切り身を焼いたり、パンくずを付けて油で揚げたりしてとても美味しい。このサクサクとした食感がたまらない。


 火で炙って、白いプチプチした粒が固まった上に乗せた食べ物もおいしい。口の中で白いプチプチした粒がパァっと広がって溶けてしまったみたい。


 最後に先ほど後回しにしたパイ生地のデザートだ。

 ほぐした身が全体に行き渡り、脂が解け落ちた生地はどのパイにも負けない。


 最後に、水を張った鍋が出てきて、余った食材をそこに全部入れちゃった。火にかけしばらくするとぐつぐつと煮立ち、覚ましたパスタを入れた感性だって。

 パスタを一口食べると、今まで食べたすべての味が凝縮されて、満足どころか昇天しちゃいそうだった。


 こんなの食べたの初めてだった。




 さて帰ろうと会計を済ませようとしたら、


「お会計は金貨三枚です」


 え、三枚?銀貨じゃなく、金貨で?ほんと?うそでしょ。

 この魚はそれだけの価値があるって?いやいや、それは無いでしょう。

 これ以上駄々をこねると官憲隊に突き出すぞって?脅したって駄目ですよ。

 え、金額かいてあったって?それを見て頼んだのだろうって。その通りだけど、

 はいはい、払いますよ。美味しかったですからね。


 財布を覗き込み、全財産をカウンターの上ですべての硬貨を積み上げて行くが、


「えっと、金貨二枚分しかない……」


 って、止めて、ちゃんと払うから、皿洗いでも何でもするから。

 助けて~!!




 バッブス=アンドリューはその腕を両側から押さえられ、引きずるように官憲隊の事務所へと届けられる。


 その後、官憲隊の事務所からは”誤解なんや~~”と大声が数日間聞こえたとか聞こえなかったとか。



    ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




第三章 足取りマップ、その他資料


●第三章の足取りマップ

分かりにくかったと思いますのでこちらを参考にしてください。

挿絵(By みてみん)



●街、村など


・ラルナ長河の上流にある高原の渡し場

 軍事的に重要な拠点へと渡らせないために橋を作らずに渡し場とした。

 そのために天候不順などがあれば直ぐに渡れなくなる。

 人口は渡し場を利用する旅人を相手に働く人のみでそれほどいない。


・サマビル

 一山村。宿場町から馬車で二日程度の場所。

 南にトルニア王国最南端、そして最高地のオグリーンの村へ向かう中継地でもある。


・ベルヘンの村

 人口は一万人。兵士の数も一万人程。

 仲はそこまでよくないときもある。

 特産は戦馬。

 南門から歩いて5分ほどの革の中に温泉が湧き出て、シーズンになると旅人が押し寄せる。


・ベルヘンの北にある砦

 昔の戦争が盛んだった時の名残の砦。

 今は街道沿いで旅人の行き来を見守っている。そして、兵士達の訓練施設としても活用している。


・サイウン

 ベリル河中流にある街。

 人口3万人程度。

 ベリル河を下って、平地に入って初めての街でそこそこ大きい。

 川に沿って城壁があるが、反対側には簡易的な壁があるだけ。川沿いに比べると可哀そうな程にみすぼらしい?


・ベルリ市

 ベルリ河下流に向かう途中の街。

 以前はトルニア王国の王都であった場所。

 城壁は直径10km。人口40万人(圏内) 城壁内は15万人程が住んでいる。

 中央に元の王城を持ち、今は観光ルートも設定されている。

 絹、布製品を生産。王都へ出荷している。流行ものでなければ少しだけ安い。

 兵士の数は1万人 内5千人は農民を兼ねている。予備兵士は一万人強


・王都アールスト

 現在の王都であり、王族が住まう城が中央、やや東側にそびえ立つ。

 4重の城壁に囲まれて難攻不落と名高い。


 第1の城壁は直径500mで王城をぐるりと取り囲む。。

 第2の城壁は直径1kmで上位の貴族が住まう屋敷が林立している。

 第3の城壁は直径5km。商業施設がメインである。

 第4の城壁は直径15km。

 人口75万人(圏域)城内25万人(4の城壁内)

 兵士25万人このウチ15万は農民を兼ねている。予備兵力10万人(市民として生活)合計で35万は最低でも動員可能。緊急動員できる兵士の数は3万人。




●人、施設等


・バッブス=アンドリュー

 ブールの街を出て直ぐに助けた旅人

 ブールに向かう途中で武装はクロスボウを持っていたが使った事が無い。

 将来にアンドリュー旅日記で有名になる。それは後の話なので……。


・山岳警備亭

 リブティヒで泊まった酒場兼宿屋

 食事は一階の酒場で済ませる。

 ここの主人が山岳警備隊の隊員をしていた事から名付けられた。


・キャリル

 渡し場の宿場町にあるギルド出張所の受付職員兼暫定所長。

 渡し場のワークギルドに寄る人は少ないので一人で十分対応できる(たまにお手伝いが入る程度)


・マルコム=マクドネル

 マクドネル商会の次期当主の予定。長男。

 王都でマクドネル商会は結構有名。だが五番手くらいの売り上げ。


・アンジュ

 マルコムの婚約者……だった。

 そのうち、暗殺者、ゲフンゲフン


・ニコラス

 マルコムの使用人。今回は二人で移動している。真面目な性格で主人の言動や行動にいつも頭を悩ませている。彼の人生はどうなってしまうのだろうか?


・治療院 ノリス治療院

 ホウナー=ノリス 院長が経営する。

 回復魔法の使い手が少ない為に、ノリスの所にまで回ってくる方がまれ。



・アンガス

 ベルヘンの守備部隊の隊長。地位は領主に次ぐくらい。

 守備隊隊長。


・ゼップル

 ベルヘンの北にある砦の隊長。


・オレノ

・ニコロ

 ベルヘンから近くの砦に向かった兵士達の中で生き残った兵士。

 出世したかは不明である。


・アルギス

 サイウンへ向かう道で尾行してきた五人組のリーダーの名前。

 何にしてもいろいろと素人。

 ベルヘン出身。

 もしかしたら、そのうち活躍するかも?


・ロランのお店(サイウン支店)

 サイウンの街で泊まった宿屋。チェーン店を展開していてそこそこ大きい。

 料金はそこそこ。ごはんが旨い。

 酒場併設。

 本店は王都西側。チケットを持っていけば少し割引。


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