王城への道のり
おはようございます、遊月です!
かなり久しぶりに更新できました……! 突然現れた【災厄】を追い払ったのは、ヴィンタヴァルド王国の兵士を名乗る男で……!?
本編スタートです!
私を【天使】と呼びながら現れたのは、ふたりの兵士らしき人たち。
【災厄】を追い払った弓矢を持っている若い人と、転んでしまっていた人を助けている年配の人の二人組だった。
「しかし、まさか【天使】様の従者がこの者だけとは……、驚きましたよ。そのような危険な旅路で、よく我らの城近くまでお越しくださいました。さぁ、我々と共に参りましょう」
猪のような【災厄】から私たちを助けてくれた鎧の人が、本当に驚いたように犬みたいな耳をピクピク動かしながら言う。
「【天使】様は【災厄】の核を視ることができるから、そのような旅ができるのでしょうね……。我々ではとても敵いません」
「え、でもさっき皆さんだって弓矢でやっつけてたような……」
たぶん、それがなかったら私たちは――少なくともパトは、あの【災厄】に触らざるを得なくなっていたに違いない。その感謝の気持ちも込めて言葉を返すと、今度は年配らしい兵士がゆっくりと首を振った。残念そうに、悔しそうに。
「いいえ、我々に【災厄】を討つことはままなりません。できることといえば、せいぜい鋭利に仕上げた矢でこうして追い払う程度。それでは完全にやつの動きを止めることはできませんし、その追い払った先でまた病を振り撒くだけになってしまうのです……」
どうやら兵士たちの話では、この近くの森には【災厄】が来たことで病気が蔓延してもうなくなってしまった村がいくつもあるらしい。そんな話をしている彼らの表情は本当に辛そうで、見ている私まで胸が締め付けられてしまいそうになった。
だから、なんとか言葉をかけたくもなったけど、そこだけはすんでのところで踏みとどまった。
だって、私が何かを言おうとしても無責任な気休めの言葉しか出てこない。
私はこの世界の事情について、ちゃんとわかっているわけではない。
ここに来てからの数週間のうちに私が見てきたのは、パトと同じように村や街で暮らしている人たちの暮らし。私が元の世界でしていたのと同じ暮らしをしている、言うなら同じ立場の人たちだ。この人たちみたいに、誰かを護ることを使命にしている人たちの立場を、ちゃんとはわからない。そんな状態で、軽々しく口を出してもいいものなのか、わからなかった。
それに、私は下手をすれば、彼らのしたこととは真逆のことをしようとしていたのに……。
「しずく、ごめん」
「えっ?」
兵士たちに馬を借りての道のり。その途中で、馬の手綱を握っているパトが小さな声で私に謝ってきた。
「おれ、しずく不安にした。危ない、思わせた。しずく守る、決めたのに、これじゃいけない」
「パトは、悪くないよ」
悪いのは、咄嗟にどうするべきか決められなかった私だ。もっと言えば、その迷いをパトに押し付けてしまいかけたことが。
そう言いたかったけど、うまく伝わったかな……。
話していると、若い方の兵士が声をかけてきた。
「おふたりとも、お疲れ様でした。こちらが、ヴィンタヴァルドの国王、ルナール陛下の居城でございます」
いつの間に、と思いながら見たその城は、いわゆる“城”という建物ではなく、ひとつの街のようだった。
前書きに引き続き、遊月です!
次回、ようやくヴィンタヴァルド国王に会うことになります。そこでしずくは、世界についてひとつ知るのですが……
また次回お会いしましょう!
ではではっ!




