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暁へ至る群青  作者: 遊月奈喩多
11/13

自分の足で歩くということ

こんばんは、お久しぶりの更新となりましたが、全年齢版のお話も書いている遊月です!

ブリュッケブルクの街でヴィンタヴァルド城のことを聞いたしずくとパト。もちろんお城に向かって旅立つわけですが……。


本編スタートです!

「ねぇ、あのさ、パト?」

「しずく、何かあるか?」

「心配してくれるのは嬉しいけど、その……」

「嬉しい、よかった! オレ、もっとしずくに嬉しい、する!」


 あー、言いにくいなぁ……。

 パトの笑顔には、およそ悪意なんてものが全然なくて、彼が笑っているときは本当に喜んでいる――今は私が「嬉しい」と言ったことを本気で喜んでくれている――のだとはっきりわかるから、言いにくい。


 海峡に架かる橋の上に築かれていたブリュッケブルクの街を出て、かなりの時間が経った。私たちは、そこで教えてもらったヴィントヴァルドのお城を目指して歩いている。

 生まれてからずっと暮らしてきた日本みたいに、街の隣がいきなり別の街……ということがこの世界(・・・・)では滅多にないみたいで、ブリュッケブルクからヴィントヴァルド城まではかなりの距離を歩くことになった。

 といっても、特別厳しい地形を行くわけではない。

 むしろ、かなり見通しのいい平野をただ歩くだけの、言ってしまえば平穏なハイキングの延長みたいな道のり。

 時々【災厄】の姿が見えることがあっても、ほとんどが遠くにいるものばかりだったから見つからないように移動すれば大丈夫で。


 そんな道のりのほとんどを、私はパトの腕に抱えられて過ごしていた。

 いわゆるお姫様抱っこ――と言ったら私たちの体勢がちゃんと伝わるのだろうか? まるで宝物でも抱えるように大事大事に抱えられているおかげで、私はほとんど歩くことなくここまで歩いてきたけど……。


「えっとさ、そろそろ下ろして……くれたり、とか、」

「しずく、いけない。また倒れる、危ない」


 パトは、本気で私のことを心配してくれている。きっと、ブリュッケブルクで私が倒れてしまったことが、よっぽどショックだったんだと思う。――というか、それは当たり前か。

 私だって、決して長く一緒にいるわけではないけど、たぶん目の前でパトが倒れたりとかして、それが自分ではどうしようもできなかったら、自分の無力さを呪ってしまうに違いない。パトにそんな思いをさせてしまったんだという自責の念が浮かんで、どうしようもない。


 街では、私も強くなると決めた。

 もう、彼に心配をかけないように、と。

 もちろん、具体的にどうすれば"強く"なれるのか、私にはわからない。だからといって、いつまでも彼の厚意に頼りっぱなしのままでいい訳がなかった。

 あと、何より少し――いや、少しどころじゃなく、お姫様抱っこの体勢は恥ずかしい。


「パト、私はあなたほど強くないし、まだまだ心配をかけることも多いかも知れない。でも、きっとあなたに頼ってもらうに足る【天使】として、あなたの住む世界を救って……みせるから。まずその為に、自分で歩くところから始めたいの」


『それで、絶対に帰ってみせるから』


 その言葉を口に出すことは、どうしてもはばられてできなかったけど。

 それでもどうにか、パトを説得することはできたみたいだ。その場の勢いで口走ってしまったことだから、あまり理屈が通った言葉ではなかったけど、彼の腕から下りたいということは伝わった。それで、やっと歩き出せた。


 その時だった。


「うわぁぁーっ!」


 突然、背筋が凍るような叫び声が聞こえてきて。

 私たちからそう遠くない場所で真っ黒いイノシシのような大きさをした生き物――【災厄】に追われて逃げる人がこちらに向かって走ってきたのは。

前書きに引き続いて、遊月です!

案外バトルものっぽい展開になってきたかも知れませんね……(ファンタジーを書くとどうしてもそう言うシーンを入れたくなってしまいます)


ということで、また次回!

ではではっ!

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