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オリガミ 記憶喪失の冒険記  作者: 玄紗(げんしゃ)
第2章 防衛部はじめました
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第31話 配属と儀式

あれから3日が経った。


3日の休暇で諸々装備を整えてもらったり、急激な成長に耐えられなかった体を治したりしたが、今日から何をするのだろうか。


そういえばヴェルは今、宿屋に泊まっているようだ。何故か会うことを許されていないが…


ジンさんの家の俺が与えられた一室で、ベッドに寝転びながらボーッとしていたら、白衣を着たロゼさんが入ってきた。背丈が小さいせいで子供のごっこ遊びみたいになっている。


「誰がごっこ遊びよ、消し飛ばすわよ」

「あ、そういえば心読めるんでしたね忘れてました」


真顔のまま続けるロゼさん。

「検査があるからついてきなさい、ヴェルちゃんも一緒よ」



ところ変わってジンさんの研究室。30人くらいの研究員が忙しく歩き回っている。前より人増えた…?

「増えた。仕事が増えたからね」

「はあ…で、検査って?」

「今言っちゃうと結果に影響が出るから、実験後に言うわね」

「ちょ、今実験って言いませんでした!?検査じゃないの!?」

「細かいわね…どっちでもいいでしょ!!」

息を吸い込み、

「よ く ね ー よ ! !全然違うだろ!」

「そこ、少し黙らないか。仕事に邪魔になるだろう」


研究員に混じって何らかの作業をしていたローザさんが鋭い目線を向けてきた。

「いや理不尽だろ…まあ理不尽には慣れたからいいけど」

「同意を得られた…と。じゃああとのことはジンに聞いて」


「簡単なヒヤリングの後、脳の実…検査をさせてもらう」

「もう実験でいいですよ…。んで、ヒヤリングって?」


キッと顔を引き締めるジンさん。

「今から聞くことに、正直に答えてくれ。まあ嘘をついたところでロゼがいるから関係ないけどな」

「まあ、嘘をつくつもりはさらさらありませんけどね」

「結構結構。じゃあ、質問を開始するぞ」


「んじゃまず、名前、年齢、略歴を」


「え?そこからなんですか?えーっと、名前はテスラ、14歳。略歴って・・・教会に拾われて、ロゼさんとジンさんに育ててもらった、でいいんですか?」

「真偽は?」

「嘘は言ってないわ」

なにやらメモをするジンさん。なんでこんなよそよそしいんだ?


「拾われたのはいつごろかわかるか?」

「ん~、4歳くらいでしたっけ?幼少期の記憶ってあんまり残ってないんですよね・・・」

「真偽」

「嘘は言ってないわ。ってこれ毎回やるの?」


「じゃあ『修羅の道』を希望した理由を話してもらおうか」

「ヴェルが行きたいって言って、俺もついていきたかったから付いていった・・・?」

何かが引っかかる。

「真偽」

「うん。嘘は言ってないけど、違和感は残ってるみたい」


「ヴェルちゃんとの関係は?」

「幼馴染ですよね?・・・幼少期の記憶がぼんやりして・・・」

「真偽」

「え?これ判定の余地ある?言ってることは真実だけど」


「ふむ」

腕を組んで耳にペンを載せると目を閉じ、左手で机をこんこんと叩く。

「ヒヤリングは十分だろ。じゃあ次は装置のほうへ」


エアシャワーを抜けた先には、真っ白い箱に筒が開いたような機械が2台置かれていた。

1台にはすでに人が入っているような・・・ってあれヴェルじゃねえか。


「今から脳の調整実験を行う。あくまで脳の記憶を整理するだけで、改変とかはしないから安心してくれ」

「いや、記憶弄られる段階で安心は無理でしょ・・・まあ従いますよ、選択肢ないし」

溜息をつく。まったく、この人たちは俺を何だと思ってんだ。


「別に実験材料にしようっていうわけじゃないんだけどね・・・まあいいわ。じゃ、あとは目を瞑ってればすむからね」

ロゼさんの声が遠くに聞こえる。意識を手放す・・・


「あ?『修羅の道』をクリアしたと思ったらなんで寝てるんだ?」

「あ、起きたわね。とはいえ私も今どういう状況か分からないのだけど・・・」

目が覚めたらヴェルが仁王立ちして立っていた。


「私、古精霊のヴェル。天界学校主席卒業の超秀才よ」

「えっ・・・?どうしたんだいきなり?あれだろ、教会に仕事に来たんだろ?」

「そうよ。って、なんで私そんなこと言ってるんだろ。なんか言わなきゃいけない強迫観念に囚われて」


ヴェルはちょっとだけ伸びた肩にギリギリつかないくらいの銀髪を人差し指でくるくると落ち着きなく弄っている。

「俺はテスラ・・・立場はステン教団防衛部員・・・かな。立場上はそんな感じ・・・?」

「いや、別にテスラのは聞いてないわよ。ところで・・・」


ヴェルの台詞を遮るようにして扉が開かれ、ジンさんとロゼさんが入ってきた。

「お二人さんおはよう。記憶の安定化は済んだみたいだね!」

「少年は記憶がないから固定と復元に苦労したが・・・なんとか戻せてよかった」


「「戻せて?固定化?どういうことですか?」」


「かみ砕いていうと、現実改変と言ってすべての記憶及び事象が書き換えられちゃう事故が発生したんだ。で、二人ともその影響をもろ被っていたからそれの修復だな。しかし世界は大きく様変わりしちゃったんだよなあ・・・」

頭を抱えて大げさに首を振るジンさん。


「面白かったわね~、テスラの記憶!!私たちの養子ってね、あ、思い出しただけで笑いが、あははははっ」

笑い転げるロゼ。対してジンは真顔である。


「どこまでが消すべき記憶で、どこまでが残すべき記憶か分からなかったからなあ・・・、しかし記憶の同調率は99.9%を超えてる。特に齟齬は出ないはずだ」


「まあ、特に思い出せないようなことはないですけど・・・」

「私もないわ」


「よかったよかった。じゃあテスラ、明日強さを確認する例の儀式の再開催だ。準備しておくように。ヴェル、明日同時にガイダンスを行うから、装備などもって準備しておきなさい」


翌日。

3ヶ月前、あの大恥をかかされた儀式をもう一度やるらしい。

実際自分で『情報』スキルを得て分かったことだが、あの儀式にはまったく意味がない。

ジンさんが発動したスキルをただ映写しているだけである。


「まあでも、自分で自分の情報を見ることはできないし受ける意味はあるのかな?」

廊下を歩きながらひとり呟く。ちなみに俺の服装、防衛部の礼服である。こんなもん着たことないぞ。

ちょうど前回の儀式でジンさんが着てたスーツみたいなやつだな。


「準備できましたよ」

石造りの扉を開け、控室へと入る。

「おう、今回は抵抗しないから助かった」

ニヤリと意地悪い笑みを浮かべるジンさん。勘弁してくれ・・・


「え~皆様、お集まりいただきありがとうございます。これよりステン教団主催、"第709回 ステンの儀式鑑賞会"を開催いたします。司会は前回と同じく私、ジンがお送りいたします」


拍手喝采。

調子づいたジンさんがペラペラと続ける。

「それでは前回の儀式対象であり、わが防衛部へと入部しステン様の寵愛を受けた少年、テスラ君に入場していただきましょう!!」


またも拍手喝采。何が神の寵愛を受けた、だよ・・・訓練内容、完璧に脳筋の発想だったぞ。

「どうも、防衛部のテスラです」

「さて、それでは前回の物から表示していきましょう、今回よりプライバシー保護の観点から、スキルを隠しております、ご了承ください。」


プライバシー保護するならこんな儀式やめちゃえよ。


・テスラ 14歳 出身地:人界


【レベル】 1

【生命力】 4

【魔 力】 0

【敏捷性】 3

【知 能】68

【 運 】87

【攻撃力】 1

【筋 力】 1

【防御力】 1


「相変わらずひどい数字・・・」

「むしろステン様に見放されてるんじゃないの・・・?」

「それって悪魔ってこと?」


ざわめく観衆。悪魔ってなんだ悪魔って。壇上に上がってこいや!!

そして相変わらず笑みを浮かべるジンさん。この人儀式のときいっつもにやついてるな。


「まあまあ落ち着いて。この少年が3ヶ月でここまで見違えたのです。どうぞ!」


・テスラ 14歳 出身地:人界


【レベル】113

【生命力】391

【魔 力】100

【敏捷性】753

【知 能】100

【 運 】 87

【攻撃力】226

【筋 力】158

【防御力】 77


え。こんなすごい事になってんのかよ。

あとこれ、一見魔力100あるように見えるけど、画面にペンで10って付け足してるだけだわ。

本当は0である。なんという卑怯な表現方法・・・


観客のほうを見ると。

『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


大 歓 声 。

「なんてすばらしい!やはりステン様は私たちを見ていてくださっているのだわ!」

「お、俺も入信すればこうなれるのか!?」

「テスラ君・・・いやテスラ様はステン様の化身なのでは?」


手のひらを返したかのようなお祭り騒ぎ状態。入信手続きの列に殺到している。

てかなんだよテスラ様って。さっき悪魔とか言ってただろ・・・


「もう帰っていいですか?」

「おう、いいぞ。これで特別報酬、200万は固いな」


最低だよこの人。


この教会近辺だと、各値100くらいが普通の人間です。

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