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オリガミ 記憶喪失の冒険記  作者: 玄紗(げんしゃ)
第2章 防衛部はじめました
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第28話 『修羅の道』19層

「だぁぁぁっ!!!」

『ふん!』


空中で剣が二閃。力勝負が始まるも、押し負けて後退するテスラ。

「ちぃっ!」

『ふむ...頃合いか。申し訳ないが、時間切れだ。終わらせよう』

「んな、こっちはまだ全然戦えるぞ!」


噛みつくように叫ぶ。実際、まだ体力には余裕がある。それにこんな短時間で1.2倍も成長するなんて無理な話だし...


『いや、普通にトイレに行きたいだけなんだが...』

「先に済ませて来いよ!!」

『ごちゃごちゃうるさいな、戦闘中だぞ!』


理不尽だ。

なんて言っていたら途端に全身から赤色のオーラを噴出しはじめる。くるくると剣からステッキに戻った棒を振り回し、バッと俺のほうにむけると、


「なんだこりゃあ!?」

『《土龍式流星砲テレステリアル・メテオキャノン≫!』


現れる巨大な半透明の龍。大きく口を開くと、肩幅くらいありそうな太さのぶっといレーザーを放出してきた!

(ダメだ!回避しきれねえ!トイレのためにやり直しかよっ!?)

目を瞑り、衝撃に備え――――...来ない?


「ん?今何をしたんだ?」

『バカな!?確かに直撃したはずでは!?』


巻きあがった風で髪の毛がぼさぼさになってしまっただけで、決して致死判定などは食らっていない。

確かに魔法は直撃したはずなのだが...


「なんにせよ好機!攻めるッ!」

『ぬおっ!?』


地面を蹴り懐に入り込み、剣を突き出す。

「≪錬成:再構成≫!!」


遡ること数層。

8時間の瞑想を強いられる16層で、テスラは戦い方の幅を広げる思考を行っていた。


(実際、エーテルを用いて物体を魔力に変換しているわけで、これを魔力ではなく物体に変換することができればかなり強いんじゃないか?)


原理はこうだ。

・エーテルをまとい、シーリン術式の発動準備を行う。

・変換が始まったら、シーリン術式の発動を停止。

・変換中の物体を放ちエーテルを遮断することで変換が停止する。


というわけだ。結果だけ見れば、地面から土をえぐり取って体を通して移動させ、自由に土を形成する、といった感じでできるのではないか?


「というわけで一か八かやってみたが、成功したな」

手のひらから構成された土塊はがっちりと敵を囲い、動きを封じていた。


『驚いた、見たことない技だ。だが...』

フン、と音を立てると光が走り、土塊は崩されてしまった。

『所詮耐久力は土。ならば容易に壊せるというもの』

「ちっ、やっぱり練り直さないとダメか」

『私の動きを封じたことは誉めてやろう。ただ、もう終わりだ』


くるくるとステッキを振り回し、パッと俺に向ける。

『《八重詠唱オクタプル土龍式流星砲テレステリアル・メテオキャノン》』


重なりあった8体の龍が一斉に口を開き、ブレスを放つ。

「≪錬成:再構成・土壁≫!!」

高さ3メートル、厚さ30センチの土の壁を生成。土は相手の足元からごっそりと供給させてもらった。

もちろん急造の壁では完全に防ぐことはできないだろう、ただある程度の威力軽減には...


爆音とともに壁が爆ぜる。

貫いた数本のブレスがテスラへと襲い掛かる。


「うっぐ、死ぬかと思った」

『3本は直撃したのに打撲程度の傷...貴様まだ何か隠し持っているな!?』


え、これ直撃してたら死ぬ攻撃なのかよ。とはいえ隠し玉なんぞもう使い切ったようなものだし、自分でもなぜ軽症なのかはわからんしなあ...

まあ、いいか。


「ふん、こちらから行くぞ!」

ドン、と地面を蹴り間合いを詰める。


『はぁああああああ――――ッ!!』

再び長剣に変化したステッキを片手に応戦される。


「シーリン術式・≪磁界マグネティック・フィールド≫」

強力な磁場を発生させ、鋼鉄製と見える剣を寄せ付けない。


『ちっ、≪八重詠唱オクタプル上位火球エピスタティック・ファイアボール≫』

剣を横に投げ捨て、魔法による遠距離戦で決着をつける方法に移行したらしい。

よし、こちらが攻勢に立てている。このまま畳みかけられるか...?


「≪錬成:再構成・土壁≫」

もう一度土の壁でやり過ごす。一瞬で融解してしまったが、その間さえあれば十分だ。

手元で水の魔法を量産し、高温に熱せられた岩に一気に放つ。


『なんの真似だ?』

一気に蒸気が立ち、あたりは霞がかり始める。

ついでに砂煙を立てることでさらに視界を制限していこう。


さて、ここで俺の人形を何体か作成しておこう。視界が制限されている状況下なら、形さえ近ければある程度はごまかせる。ここが一応密室で助かったな。


『人形など作っても無駄だぞ、順に壊していけば問題ない』

バッと人形まで走り、頭部を素早く殴る。


『!?』

ぐしゃっとつぶれた頭から液体が飛び散り、瞬間硬直する。これが狙いだ。

解説しよう、人形の頭には水が入っている。

いくら戦いに慣れていようと人間を殺すのには一瞬の躊躇があるはずだから、人形を壊す感覚をできるだけ人間の感覚に近づけることで一瞬の硬直時間を生み、そのすきに仕留める作戦だ。


『ちぃっ!?』

その硬直時間で背後に忍び寄り、同一の人形を一瞬で作成。

『ちょこまかとッ!』

背後の人形を壊す。


「背を向けたッ!≪火球ファイアボール≫!」

『そんなもの当たらん...!』


左手を払って打ち消される火の玉。

「≪八重詠唱オクタプル火球ファイアボール≫」

『今更馬鹿の一つ覚えみたいに何の真似だ』

相手は打ち消した後、周囲を見回している。

ここで勝負を決めよう。


「仕留めた」

背後から剣を突きつける。咄嗟の判断で前に回避行動をとる相手。

その回避行動中に、再度()()から剣を出し、首に添える。


「俺の勝ちですね」

ふてたように地面に座り込む相手。

『ちっ、降参だ。まさか最初に剣を突きつけられたのが人形だったとは。よっぽど土魔術に長けていると見える』

そういうと山高帽を脱ぎ、鍵を投げてよこしてきた。


『19層クリアだ。ふつうは俺を倒す人間なんていないんだ、1.2倍だから倒せるはずがない。だからいつも俺が認めた奴だけ通していたんだ。誇っていい、お前は初めて『修羅の道』で俺を敗北させた』

「あ、ども」

『反応うっす!!もう少し喜ぶとかしたらどうなんだよ!?』

「あ、いえ、もう自分時間なんで行きますわ」


次が20層、最終層か。ヴェルは強いしもう20層に到達しているだろう。

俺も早く向かわなければならん。


長かった『修羅の道』もそろそろ終わりだ。実際は1週間くらいしか経っていないのに、すでに4か月くらい経ってる気がするのはなぜだろうか?


無駄なメタ思考をしているうちに20層への入り口に到達した。気を引き締めよう、これが最後の戦いだ。


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