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第3話 住処

まだ一向に話は進みません。

「宣伝の為なんですよね?」


俺はジンさんと部屋を出て、途中で会ったロゼさんと合流し地下へと続く階段を歩いていた。階段の脇にあった案内板をチラッと見たが、この教会は地上2階地下5階建てのようだ。しかし道が繋がっていない部屋があるのだが...転移か。


「宣伝の為だぞ、俺は神の加護なんか信じていない」

「ほんと強情ね」

「うるせえ。で、なんでそんな事を聞いたんだ?」

軽く手でロゼさんをあしらいながら聞くジンさん。


「いや、俺が強くなるからご覧下さい!って宣伝なさってたので、神の加護的なものが本当にあるのかなぁと。そうしたら神を信じていないジンさんがそこまで嬉々として宣伝する理由がないんじゃないかなー、と思いまして。」


「テスラ少年、意外と考えるタイプだな...。もちろん、神の加護なんていうものは存在しない。だが、3ヶ月後テスラ少年は確実に強くなっている」

予言めいた口調で言うジンさん。


「どうやるんです?」

「考えうる中で一番簡単な方法だぞ」


え?ドーピングでもするのか?


「ステン教会防衛部の特殊訓練に参加させる」


絶句。


それって...

「そう、つまりはただのトレーニングね」

「俺、この教会ってどこかおかしいと思うんですよね」



地下5階(転移のせいで分からないので教えてもらった)のオリガミ研究室に戻ってきた。時計を見ると、すでに22時を回っている。


「ロゼさん、」

「あぁ、住むところが無いのね。あれ?教会に来る前にどこにいたの?」

シャッと音がして研究室のドアが開くと共に長髪赤髪のローザさんが現れた。

「私から説明しよう」

「ローザ姉!」


話をかいつまんで説明すると、村の外れの方で倒れていた俺をローザさんが発見し保護、とりあえず宿の一室を借りて寝かせていたらしい。ローザさんのスキル『観察』を使って俺の体調を見たが問題なさそうだった為放置していたら3、4時間後に俺が起き、そこからはご存知の通り、という訳だそうだ。


「じゃあ今日寝るとこ無いって事ですね」

「そうね、だったらジンの部屋借りたら?」

「ん?呼んだか?」

ジンさんに説明するロゼさん。


「あぁ、そういう事なら任せてくれ。部長ってことで与えられた部屋だけは広いんだ」

「あんた持て余してるよね」

「せっかく与えてやったんだから有効活用したらどうだ」

ロゼさんとローザさんにつつかれるジンさん。


「あ、でも教会から出られないよね?テスラ君」

「大丈夫だ、一応あそこは教会の中だからな。転移でいけるぞ」

「そう、じゃあ行きましょうか」

「私は帰る」


転移するロゼさんと帰っていくローザさん。

待ってくれ、今さらっと重要な事言ったよな...?


「教会から出られないってどういう事ですか...?」

「あれ?テスラ少年には伝えて無かったか?」

「聞いてないですよ!!」


「テスラ少年の生命力は1だろ?」

「4です」

「大して変わらん。教会には生命力が減らない結界が掛かっているんだが、外にでると虫に刺される可能性がある」

「まぁそうですね」

「死ぬ」

「は?」

「テスラ少年の生命力は4だろ?」

「覚えてくれて何よりです」

「この近辺の虫は軒並み攻撃力が50くらいだ」

「まさか」

「そう、刺されると死ぬ可能性が非常に高い」


おいおいマジかよ。俺は虫にも劣ってるって事かよ。


「というわけで、俺とロゼがよしと言うまで教会から出たらダメだぞ」

「はあ。俺も死にたくはないので出ません」


ジンさんの家は平屋の3LDKだった。しかもこの平屋、草原の中にあるように見えるのだが教会の地下らしい。空間を拡げるなんやかんや解説された。


その家の8畳の1室を俺が使っていい事になった。ちなみに彼は6畳半の一室で全てを済ませているらしい(驚くべき事にトイレまで部屋に作っていた。風呂も直接行けるようになっている)。


今日はなんだか色々な事があり過ぎて疲れた。記憶がなくなったと思ったら超虚弱体質になってるし、宣伝にも利用された。


こうして俺は意識を手放した。




...かったのだが、


「ジン!!!リビングが埃だらけじゃない!!しっかりと掃除しなさいよ、今暮らしてるのはあんただけじゃないのよ!!」

「うるせぇなぁ!良いじゃないか俺の家なんだぞ?っていうかなんでテスラ少年だけでなくお前まで来るんだよ!?」

「絶対にあんただけだと不摂生な生活を送らせるでしょ!あんた料理出来るの!?」

「うーるーさいなァ!こっちに備蓄があるだろ!?」

「全部インスタントじゃない!あんたそんな生活してたら体壊すよ!?」



ガチャッ

「あれ?テスラ君寝たんじゃ」

「少年、今日は疲れてるだろ?もう寝たほうがいいぞ」


「あのですね、色々突っ込みたいんですが」


首を傾げる2人。

「こんなにうるさくて寝られる筈が無いですよね」


「「ごめんなさい!!」」

14歳に怒られる三十路2人であった。

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