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オリガミ 記憶喪失の冒険記  作者: 玄紗(げんしゃ)
第2章 防衛部はじめました
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第24話 束の間の休息?

「はぁ…はぁ…な、なかなかやりますね」

『少年こそいい粘りだった』


肩で息をする2人。20分ほどどちらも有効打を与えられず徐々に消耗していき、今の状況となっているわけだ。

『これで最後だ、行くぞ少年!』

「こっちからも行きますよッ!」


剣を正面に構え、突進する2人。

交錯する2つの剣が光を散らし、


『グッ……我の敗けだ』


膝をついたのは騎士の方であった。


「あぁー、疲れたけど勝てて良かった」

足を投げ出し呟く。大体、今日は3層のパワーレベリングのあと、4から9層を攻略してきているのである。

もう疲労が限界だ。


「魔法もうまく使わずになんで剣にこだわるかなぁ、不意打ちで魔法使ってれば余裕だったのに」

「そら騎士道精神でしょ」

「テスラは騎士じゃないでしょうに...じゃあ、次は私の番かしら」


『フハハハ!今から高速回復機に入ってくるから待っているのだ!』

手を振って奥に消えていく黒い騎士。やっぱりなにかが間違えていると思うのは俺だけだろうか?


15分後。

『フハハハハ!待たせたな少女よ』

「いや、うん、めっちゃ鎧ピッカピカになってる...」

引き気味に答えるヴェル。

「まあ、私も久々に剣で戦うとしますか」

右手を強く握りしめると、黒鋼の重そうな大剣が現れた。

「イメージと違う...なんでそんなゴッツイ剣なの?」

「うるさい、いいでしょうどんな剣を使っても」


『さあ、今度は私から行くぞ!』


対人戦は2年ぶりくらいかしら。最近は仕事も忙しくなくて割と家にいたから鈍っているかもしれない。

監視の仕事として受けたけど、こんなことになるとは思っていなかった。しかもこの空間、外と連絡が取れないのだ。早くここから出て世界神の皆様に連絡をしなくてはならないのに...


あ、騎士が向かってきた。

『いざ、勝負!覚悟ブッ!?』

土魔法で足元に突起を作る。騎士はそれに引っかかって転倒した。

その隙にちゃちゃっとやってやりましょう。


「≪凝固ソリディフィケーション≫」

さて、とりあえず足を固めてっと。身動きが取れなくなったところで鎧の隙間に土を詰めて完成。


『グ...少女よ、足を固めて鎧の可動を奪うとはなかなかにえげつない戦い方だな』

「昔はただ殺してただけだからまだ丸くなった方よ、どうせ致死判定になるだろうからやっちゃっても良かったんだけど、今回はテスラも見てるし≪火球ファイアボール≫≪水球ウォーターボール≫≪結界魔法・ボックス≫」


赤色の結界が騎士の周りを包み込む。その中でぶつかる二つの魔法が、大量の蒸気を発生させた。

温度が急上昇し、呼吸すら制限される結界内。


『ぎ、ギブアップだ...出してくれないか』

「はい、じゃあ私の勝ちということで。剣を使うまでもなかったわね」


「…………(ジト目)」

「あっ、いや、これは違う、そう、これは蒸気浴で疲れを癒してあげようと!」

「想像以上にえげつない性格してるな、ヴェル」

「うるさいわね!いいじゃない私がどんな風にやってもさあ!」

握ったこぶしをパタパタ上下に振り、なんとか誤魔化そうとするヴェル。


『ま、まあ勝ちは勝ちだ。この先に進むとよい。だが、少女よ。君はこの先苦労するかも知れん』

「どういうことよ」

『進めば自ずと知れる筈だ。ただ、今日はもう休んだ方がいい。10層奥の休憩所には大浴場があるのだ』

「「大浴場!!!」」

一気に声が弾む二人。

「ほらっ、テスラ早くいくよ!」

「あぁ待って、騎士さんありがとうございましたァ痛い痛い、引っ張らないで腕抜ける」


『まだ荒削りだが、磨けばとんでもない才能を表すだろうな』

二人が消えていった方向を見ながら、ひとり呟く騎士であった。

『その前に、11層・怠惰の間 クリアできるかな?』


「おっふろ~♪おっふろ~♪」

「キャラ崩壊しすぎだろ...あといい加減腕取れそうなんで離してくれませんかヴェルさん」

「え?でもお風呂だよ?」

「知らねぇよ!!意味が分からんわ!!」

「うるさい!」

「…もうさっさとお風呂入って来いよ」


そこは木造の旅館のような風貌をしている。長く続いた廊下の先に大浴場が見え、左側には障子。中は和室となっており、布団が敷いてある(もちろん、ヴェルと俺は別の部屋だが)。


装備を脱いでロッカーに入れ、用意してあった浴衣に着替える。

前にジンさんが使っていた魔力で動く白い機械が設置してあったので開けると、そこには冷えたジュースが入っていた。


「ここはお酒だろ…まあまだ14歳だししょうがないか」

ジュースを飲みながら窓の外の景色を眺める。地下なはずなのに川が流れ、紅く色づいた葉を持つ木が多く生えている。息をのむほど美しい風景だ。


「そういえば男女で風呂分かれてるよな?俺も風呂に入るか」

部屋に備え付けのタオルと着替えをもって風呂へ向かう。片手にはお菓子(饅頭というらしい)をもって、齧りながら歩いている。


大浴場の入り口にはのれんが掛かっている。青い方をくぐり、服を脱いで戸を開ける。


「うお、すげぇ…ジンさんの家の風呂何個分だろ」

黒い石造りの美しく広大な露天風呂。水面からはもくもくと湯煙が上がっており、奥には紅葉が見える。


「ふぁあ……癒される…」

右足からお湯につかる。温度こそ少し熱めだが、疲れた体にはむしろ丁度いい。

「それにしても、他とは待遇が全然違うなあ、やっぱり10層突破のご褒美ってことか」

目を瞑って目の下までお湯に浸かり、ぶくぶくと泡を立てる。

ここ4日間の疲れが一気に流れ出ていく。やっぱり風呂はいいな。


考えることもないし、自分のことについて考えるか。

いったい記憶を失う前の俺はどんな感じだったのだろうか。


14歳以下の少年が何をできたかと言われると返答に詰まるが…

そういえば、俺の親は俺のことを心配しているのかな。

いや、ひとりで居たって事は親はいないのかもしれん。


その時、ドボン!!と音がした。

慌てて目をあけると、銀髪にきめ細やかな白い肌の背中。


「ヴェル!?何で裸なんだ?!」

ちがう、突っ込みどころはそこじゃない。


「えー?おふろらかられすよぉ」


「酒臭っ!ヴェル、お前酔ってるだろ!?」

「よってないろぉ」


クッソダメだ!大体なんで風呂の前に酒飲んでるんだよ!


「ヴェル!てか男女風呂の境の塀を超えて落ちてきただろ!寝るなァ!!」

「ぐぅ...うぇ」

「ギャー!コイツ吐きやがった!!」


てか、何で女性と風呂で裸で二人きりとかいう理想的な展開なのに俺は介抱しているんだ。

「ラッキースケベもあったもんじゃねぇ――――――ッ!!!」


意味のない叫びが反響した。

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