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オリガミ 記憶喪失の冒険記  作者: 玄紗(げんしゃ)
第2章 防衛部はじめました
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第23話  下層に待ち受けるもの

猪本さんを無事討伐し、現在午後2時。

俺のレベルは42、ヴェルは34まで上昇した。とはいってもヴェルはレベルと強さが比例していないけれど…


ちなみに今俺は床に横たわって体力回復を図っている。ヴェルはある程度は回復したようで一応しっかり椅子に座っている。

「猪本さん倒してみて何か思ったこととかある?」

ヴェルが声を掛けてきた。


「そうだな、まず魔法がすべて炎系っていうのは自分でもどうかと思う。炎耐性の高い敵に対して太刀打ちできなくなってしまうから」

「ふーん、他は?」


「あとは速度かな、猪本さんはスピードが極端に早かったからデカい魔法を撃つ暇がなくてこれだけ時間がかかってしまったからね」

「それは違うわよ」

椅子を仕舞い、腰に手を当て「んんーっ」と伸びをするヴェル。


「見てなさい、デカい魔法なんか使わずに倒して見せるから」

再び沸いた猪本さんを目の前にし、バッと髪の毛をはらうヴェル。


「同じ条件でやるから見てなさい、≪五重詠唱クィントプル火球ファイアボール≫」

俺は5つの火の球を指から出す方式だったが、ヴェルは空中に5個の魔法陣を出現させていた。


「適当に放つんじゃなくて急所を狙うんだよ、ほら」

放たれた火の玉は寸分の狂いもなく猪本さんの眼球を貫いた。

「視界を奪われて、動けなくなったところに一発カマすだけ、≪火球ファイアボール≫」


眉間に強烈な一撃が加えられ、猪本さんは動かなくなった。


1時間後。

「体力は回復した?」

セーフハウス内で『全魔法大全』を読んでいたら、焚火をして魔力回復を図っていたヴェルが声をかけてきた。


「ああ、まあ普通に戦える程度には復活したぞ。さすがに猪本さん再戦は辛いけれど」

「レベル43か...まあ十分なんじゃないかな。それじゃあ、全速力踏破、行こうか」

右腕をガッシと掴まれる。


「えっ!?え、今日行くの――――ッ!?」

「気が変わった」

4層

「シーリン術式・≪空刃エアリアル・ブレード≫!」

「空飛ぶトカゲにはこれが有効よね」

「ドラゴンだけどな」


5層

「シーリン術式・≪六重詠唱セクタプル炎地雷フレイムマイン≫」

「モグラ、地中系のモンスターにはよく効くからいい選択ね」


6層

「≪邪なる者を祓え・聖なる炎よ≫・シーリン術式・≪聖炎セイクリッドフレイム≫!」

「不死系のモンスターには浄化魔法が定石だからね」

「この魔法、効率クッソ悪いな」


7層

「シーリン術式・《氷球アイスボール》」

「え、テスラ氷属性の魔法それしか使えないの?炎耐性高いからちゃちゃっと倒しちゃってよ」

「なんか使えないんだよなー、とりあえず連発すれば倒せるでしょ」


8層

「よいしょ、魔法効かないタイプか」

「テスラ割と剣の扱い上手いね、美しくないけど」


9層

「≪八重詠唱オクタプル火球ファイアボール≫!、はー硬すぎる」

「おそらくダメージじゃなくてヒット数で倒せる敵だったわね」


10層。

「「……っ(ゴクリ)」」

扉から放たれる威圧感に思わず気圧される二人。


「殺気とは異なる威圧感…なかなかヤバそうなボスでしょうね」

「ああ、俺が気を失わないって言うことは殺気ではないな」


「ここで会話していてもしょうがない。あけるぞ」

「あー待って、今のレベルは?」

「俺が45、ヴェルが41だね」


うーん、と考え込むヴェル。

「まあ、なんとかなるか。行くよ」


バァン!

相変わらずドアを粉砕する勢いでドアをあけるヴェル。


『フハハハハ、待ちくたびれたぞ挑戦者よ!具体的には3年くらい待っていたぞ! あ、居心地悪いだろうから殺気発生装置の電源は切っておく』


全身を黒い甲冑で覆った騎士のような風貌の男が剣を持って待っていた。

奥の押し入れのようなところからソファーがはみ出ており、ものすごく生活感を感じる。


『正直来てもらって良かったぞ、ロゼと5年契約でここの番人となったが今だかつて一回も相手が来なくてな。仕事をしてないのに金だけもらって心苦しかったのだ』


世知辛い、そして生真面目…

「そんな仕事してて、お金はどこで使うのよ」

「突っ込みどころはそこか?!」


『フハハハハ!そんなもの妻と娘に仕送りしているに決まっているだろう!!』


「めっちゃいいお父さんじゃん!」


『我の事などどうでもよい。さあ少年と少女よ、いざ勝負だ!』

「私もやるの?さっさと片付けるよ」

「この人を倒すのは心苦しい…けれど先に進むためだ」



まずは俺の番だ。

『さあどこからでもかかってこい!』

相手が先手を譲ってくれるようなので遠慮なく行かせて貰う。


「≪灰燼かいじんと帰せよ≫・シーリン術式・≪上位火球エピスタティック・ファイアボール≫」

漸進に瑠璃色の閃光を纏い、まず全力の一発をはなつ。


『狙いが甘いぞ!』

パッと右手で俺の魔法を払われる。しかし、

「背後がお留守です」

『なっ!?』


俺が背中から不意の一撃を喰らわそうとするも剣で弾かれてしまった。

金属同士が激しくぶつかり合い、火花が散る。


「なんて反射速度ですか…」

『そちらこそ素晴らしい速度だ』


お互い距離を取り合い、牽制にはいる。

(ちっ、どうすれば当たるんだ…)

『戦いの最中に考え事をするとはなかなかだ』

「!?」


今にも俺を断たんとする剣の切っ先。

「シーリン術式・《縮地》ッ!!」


あわててバックステップで回避。

『続けていくぞッ!』


________

「うおおおおおおおおおお!!!!!」

『フハハハハハハハハハハハハ!!!』


「はぁ...私ならこの20分で4回も殺せるのに、男子って子供ねぇ」

お茶を飲みながら冷めた目で観戦するヴェルであった。


続きます。

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