幕間 世界神の談話
話の流れには直接関係ありません。
ガチャッ。
渦巻く紋様の彫られた鈍い茶色のドアが、来訪者の存在を伝える。
「久しぶり、元気?…って、なにやってるの」
赤と黒の閃光が迸る室内。ウィルファナインとヘンジが戦っていたのである。
二人も来訪者の存在に気づき、戦いの手を止めた。
「マイナじゃん、急にどうしたんだ?」
「ありゃ、お見苦しいものを」
ウィルファナインは気さくに手をあげ、左手だけで器用に長い髪の毛を結い上げる。
それと対照的に、ヘンジは佇まいを整える。
「で、何の用だ?ヘンジに足引っ張られた文句でもいいに来たのか?」
「さすがのマイナでもそんな器の小さい神じゃないでしょ、で?」
燃えてしまったせいで短く切り揃えた鮮やかな緑の髪の毛を人差し指でくるくると弄りながら、頬を赤らめて言う。
「ついに見つけたんだ!」
「「何を!?」」
食い気味に反応する二人。
「あ、あの様子から想像するにおそらく恋愛沙汰だろう…しかし世界神に結婚など許されるのだろうか?」
「わ、私をおいて恋人をつくるなんて、マイナ地獄の底まで呪ってやるわ…」
「ん?二人とも何ブツブツ言ってるの?みつかったんだよ、ボクの後継者が!」
「「は?」」
またも綺麗にハモる2人。
「1200年まえくらいに発行した『全魔法大全』覚えてる?そこにちょちょっと仕込んでおいたんだけど、遂にボクの技を身に着けた人間がいたんだよ!しかも、わずか14歳の少年が」
テンションの上昇のあまり頭を振り始めるマイナ。慌てて2人でなだめにかかる。
「で、あの魔法のイミテーションみたいなよくわからない術式を好き好んで身に着けようとするとんでもない阿呆はどこのどいつなんだ?確かアレの習得には魔力が極端に低い必要...が...」
あんぐりと口を開くウィルファナイン。
「私が代わりに聞くけれど、その少年の名前はテスラではない?」
「は!?ヘンジ、何で知ってるのよ」
あー... ぐんにょりした顔を浮かべる二人。訳も分からずあたふたするマイナ。
「実は私たちもその少年に目をつけていてな、古精霊を一人派遣して監視しているんだ」
「えっ!?いや、その少年はボクの弟子なんだけど」
「別に本人がそう言ったわけでもないでしょう...」
右目に指で菱形を形作り、マイナの記憶をのぞき見するヘンジ。
マイナは慌てて頭をふり、その魔法を解除する。
「とっとにかく、あの少年はボクの弟子ってことで手は出さないでよ!」
「いやぁ、それはできんな。私も気になるのでね」
「そうやっていつもウィルファは...!」
本人の知る由もないところで3人の世界神から監視をうけるテスラ。いったいどうなるというのか...




