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オリガミ 記憶喪失の冒険記  作者: 玄紗(げんしゃ)
第2章 防衛部はじめました
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第15話 ライラその後/『修羅の道』第1層

知っての通り私はロゼ。今私は医務室のベッドの隣に座ってライラ・ディラックの回復を待っている。


「ロゼー、別にずっと居なくても後で呼びに行くよー?」

「ナタリー、んでもね少し引っかかることがあるのよ。あと数時間経っても目が覚めなかったら一旦戻るとするよ」


魔物に取り込まれて生還した事例は今までなかった筈。この娘が初めてなのである。一体どのような変化が訪れているのか、この目でしっかりと確かめてやるわ。

「...あれ、ライラは何を」

「起きたわね!?ライラちゃん、体の調子はどう?なんか変なところとかない!?」


肩を掴んでガシガシ頭を揺らすロゼ。慌ててナタリーが止めに入った。

「...えーっと、今朝テスラに何か酷いことを言ったような気がするんですが、そっから先が思い出せなくて」

「本当に何も思い出せないのー?」

「すみません...なんか暗い所に居たような気がするんですが、あれ?なんかおかしい...思い出せそうなのに思い出せない」

「あー、無理に思い出さなくていいよー。状況説明はロゼがしてくれるから」


かくかくしかじか。


「えっ!?ライラ、魔王の体内に居たんですか!」

「そうらしいよー。もうかれこれ20年くらい医務やってるけど、そんな人は初めて見たよー」


「と、言うわけでライラちゃんは防衛部監視対象者とし、防衛部への加入を強制します。良いわよね?」


パアッと顔を綻ばせるライラ。

「ライラ、防衛部に入れるんですか!これでお父さんとお母さんを...あっ...死んじゃってたんでした...ごめんなさい、未だに受け入れられなくて」


気まずそうに目を逸らすロゼ。

「と、とにかく、今から試験を受けてもらうわよ!」


「中々鍛えてたのね。想像以上だったわ」

ライラの頭に手を置いて褒めるロゼ。

「ふむ、レベル3の訓練に参加できるくらいのポテンシャルは持っているな、ただ」


後から合流し、紙に記録をしていたジンが顔を上げて言う。

「ただ何よ」

「うんにゃ、魔力の体内循環に違和感を覚える。魔王の体内に居た影響かもしれないし、防衛部監視対象者の指定はいい判断だっただろう。日常生活には問題ないだろうが、なるべく魔力を全解放するような使い方は控えるように」


「は、はい!わかりました!」

元気な返事とは裏腹に、ライラは少し不安げな表情を浮かべた。

「安心して。防衛部には私も居るし、いざとなった時の対応は完璧よ」

「ありがとうございます...あ、そういえば

テスラはどこに行ったんですか?」


「テスラ少年は今『修羅の道』という訓練設備に籠っているぞ。俺の試算では大体1ヶ月は戻ってこないと出ている」



「ヘックシ!うー、誰かが俺の噂をしてるな」


『修羅の道・克己』にブチ込まれて半日程度が経った。俺は今第一層に居る。ご親切にも致死回数が表示される仕組みのせいで分かるが、俺は既に8回目のやり直しに突入している。


普通だったら初めからやり直しだったら心が折れそうなものだが、この『修羅の道』にはレベルという物が存在する。簡単な話、敵を倒すほどレベルが上がっていくのだ。しかも死亡判定でやり直しになってもリセットされない。


「うー、さてリスタートだ」

背伸びをして剣を構え、扉を開ける。


最初に出てくる敵はレベル1のスライム。最初はこれを倒すだけで5分以上かかっていたが...


「ほっ、よいしょ」

粘性の高い液体を飛ばす攻撃を横っ跳びで避け、剣で斬り伏せる。


ビシャっと音を立てて消えるスライム。と同時に俺のレベルが7から8へと上がった。

「でもこの程度じゃまだ何かを守る力には程遠い...けれど無理に突っ込んでも致死回数を増やすだけだしなあ...」

頭を掻いて唸る。

「そうだ、ここのスライムをひたすら倒してレベルを上げてから奥に進めば...」

≪アナウンスです。個体名「スライム」の討伐回数が一定数を超過したため、個体名「スライム」の能力値は10倍されます≫


機械的な声で響くアナウンス。

「10倍っておい...まさか...」

恐る恐る剣を振り下ろす。


ぶにゅっ。


阻まれる剣。引く暇もなく呑み込まれる。


「ぎゃああああああ!!!ふっざけんな強くなり過ぎだろおおおおおおおおおーーーーーーーッ!!!」


誰もいない通路に俺の声が響き渡った。



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