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ゴッドレス・ワールズ・ファンタジア  作者: 眞三
第4章 光の討魔団と破壊の巨人
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198.光の狩人VS魔王

いらっしゃいませ!


では、ごゆっくりどうぞ

「睨み合ってないで逃げろ! アリシア!!」シルベウスは慌てた様に念波を送り続けていた。


 しかし彼には、ノインの魂と肉体の定着、彼女の代りに荒れ狂う大海の制御などとやらなければならない事があり、更にそのどちらも集中力が必要であった。その上で更にアリシアと魔王の睨み合いを観察していた。


 彼は彼女を助けに向かいたいのは山々だったが、神聖存在よりも『上の立場の者ら』からのお達しでそれは出来なかった。


「クソ! 全ては魔王の手の内だってことか?! 忌々しい!!」と、大海原へと意識を集中させ、少しでも大シケを沈める様に努める。


 これらの事に集中し、珍しく精神をすり減らしている彼の背後に、透明で屈折した光を纏ったある者が肩を揺らしながら創造の珠へ近づいていた。




 その頃、アリシアは魔王の瞳を睨みながら弓を構えていた。彼女のいる空は相変わらず大嵐で強風が吹き荒れ、弾丸の様な雨が襲い掛かり、アリシアの全身を容赦なく叩いていた。が、彼女は一切怯むことなく、瞬きすらせず魔王を見据えていた。


 変わって魔王の周りには雨風が消え失せており、彼はスーツはおろか髪型も崩す事はなく、濡れる事も無かった。


「目が父親似だな。俺様はその目が大嫌いだった……」魔王は奥歯を鳴らし、昔の出来事を思い出す様に表情を顰める。


「あたしは父さんに会った事が無いからわからないけど、あんたは相当、父さんと何かあったみたいね」アリシアは魔王の周囲を少しずつ回り、隙を伺っていた。が、魔王の放つ闇に隙は一切なく、彼女が隙を見せようものなら一瞬で飲み込まれる程にその差は大きかった。


 が、彼女はこの対峙をただの戦いとは捉えていなかった。対等な戦いではなく、狩りだと自分に言い聞かせていた。これは狩りであり、狡く欺き、必殺の一矢を急所へ射る事のみを考えた。


「あの男は俺様が欲しがった物を全て手に入れ、全て撥ねつけた! 生意気な……あんな筋肉バカが、悉く俺様の上を行きやがって……故郷と共に消し飛ばしてやったが、それでも勝った気がしない……」


「そんな話を、なぜあたしに?」


「お前がヤツの娘だからな。少しは父親の話を聞きたいだろう? 俺様の仲間になればいくらでも聞かせてやるぞ?」


「結構だ!」と、アリシアは瞬時に光の矢を3発射る。彼女の放つそれは光の雫を纏う、宵闇を一撃で昼間の様に照らす事の出来る強烈な閃光であった。普通の弓では不可能であり、彼女の持つ神弓だからこそ可能な一撃であった。


 その3発は不意を突けたのか、魔王の頭、身体、更に周囲の闇を消し飛ばし、一瞬曇天が晴れる。アリシアは安心せず、魔王の気配を探り周囲を見回す。



「隙を見せないのは母親似か」



 魔王はアリシアの背後に立ち、面白がるように笑う。


「ただ光魔法で肉体上の弱点を抉っても無駄だし、闇の力場を消してもダメか……」己の中で立てていた仮説が実証され、唇を噛む。


 魔王はただ闇属性そのものになった属性使いではなく、自然としての闇と完全に融合した存在であった。つまり、彼を倒すには闇を消し去るのではなく、魔王の意識を消すしかなかった。が、その意識は広大な闇の中心に在り、彼女の光はそこまで届く事は無かった。


「やっぱり、あたし自身が闇へ足を踏み入れるしかない、か……」と、アリシアは腹を括ったように一息つき、目を閉じた。


「おや、何か覚悟を決めた様だね? こわいこわい」魔王は侮っているのか見透かしているのか、彼女の表情を伺って鼻で笑う。


 そこからアリシアは光魔法を委縮させてじっと闇の中心で止まる。そのまま魔王の闇に取り込まれる勢いで無防備になる。


「……お前の狙いはわかるぞ。あえて俺様の闇に取り込まれ、内側から闇を打ち払おうとしているな? 試してみるか?」と、手首を回してアリシアの周囲に色濃い闇を展開させる。


「そうやって侮ったヤツをあたしは何人も見て来た……あんたはどうかな?」彼女は余裕の笑みを覗かせて挑発する様に口にする。実際に彼女の内心はかなりギリギリに立たされていた。が、ヴレイズと最後に交わした抱擁の時に得た暖かさが心中にまだ残っており、それを拠り所に彼女はぎりぎり膝を折らずにいた。


「では、少し体験させてやろう」と、開いた手を握る。同時にアリシアをあっという間に包み込み、一気に飲み込んでしまう。「後悔しなければいいがな」




 闇に飲み込まれ、彼女は直ぐに身体を光で淡く包み込み、周囲の暗黒に侵されない様にする。が、魔王の闇の中は『闇の瘴気に支配された元ランペリア国』よりも容赦なく冷たかった。しかもその寒さは極寒の冬の様な肉体を冷やす様なモノではなく、心を凍えさせる様なものであった。故に直ぐに疲弊し心が折られそうになる。


「長居はできないな……あいつはあたしを侮っている……その間に!」と、魔王の気配を探り、その方角へ向かって高速で飛ぶ。その気配に光の解呪魔法と浄化魔法を当てれば魔王自身と闇を分離する事が出来ると考えていた。


 しかし、現在彼女のいるのは魔王の腹中であり、長居すればあっという間に消化されてしまうのは明白であった。故に彼女は急ぎ、魔王の気配へと急いだ。


「中々にタフだな……ここへ入ったら数秒も持たないと言うのに……」魔王の感心と焦りの混じった様な声が闇の中で鳴り響く。


「あたしを侮ったのがいけないんでしょ? このまま……光で消し飛ばしてやる!」己自信を奮い立たせ、更に魔王の意志の方へと急ぐ。実際に彼女自身も光使いではあるが、この場所ではあと数十秒も持たない程に疲弊していた。それ程にこの場所は人々を寄せ付けない危険な暗黒空間であった。


 魔王の意志と思われる中心部、明らかに闇の色の違うダークマターと思しきモノがチラリと見える場所に辿り着き、アリシアは神弓を構える。ここに来る頃には疲れを覗かせる様に光が点滅しており、息も絶え絶えになっていた。


「随分苦しそうだな? 限界なら言ってくれ。直ぐに出してやろう。俺様はお前を殺すつつもりはないのだからな」魔王の声が忌々しく鳴り響く。


「お心遣い痛み入るね……でも、遠慮しておくわ」と、ダークマターの方を狙い、光の矢を射る。次の瞬間、闇の宝石が砕け散り、周囲の闇を打ち払う様に光が炸裂し、暖かな大爆発が巻き起こる。


「あんたはあたしを侮り過ぎた!」と、アリシアは勝ち誇ったようにニヤリと笑う。



「いいや、侮ったのはお前の方だ」



 次の瞬間、闇が晴れ、嵐の中に戻されるアリシア。彼女の正面には余裕で脚を折って座る様に佇む魔王がいた。


 アリシアは深くため息を吐き、全てわかっていたという風にお道化た。


「まぁ、そうだよね……あんなに単純なわけないよね……」彼女自身、魔王の余興に本気で付き合っただけであり、これでこの戦いは狩りにすらならない事を彼女は理解した。


ここに来て初めてアリシアはお手上げと言わんばかりに諦め、己の敗北を認めた。3年以上前にウィルガルムと戦った時以上に勝ち目がないと打ちのめされ、内心泣きそうになっていた。


「少し遊んでやったが、趣味が悪かったかな? その顔、完全に心が折れたようだな」


「殺すなら殺しな……あたしじゃあ勝てないってわかったし、逃げられないって事も解ってる……」


「殺すつもりはない、俺様はお前を仲間として迎え入れたいと言っただろ?」


「それは死んでもお断りよ!!」


「だったら……」と、魔王は彼女の身体に闇を纏わせ、締め付けた。彼女の身体は蛇に締め付けられるように肉体が捩れ、骨が軋み、闇が侵食する。


「が、あ……あ……っ」アリシアは目を剥いて苦しみ、真っ黒な液体を嘔吐した。


「お前が折れるまで続けるぞ? まぁ、魂を追い出して肉体だけ使うという方法もあるが……どちらがいい?」魔王は勝ち誇ったように笑いながら手の中の魔力をさらに強めた。


 アリシアは喉の奥から悲痛な悲鳴を上げる。同時に肉体に茨の様な闇が侵入しており、それが彼女の魂にまで伸びていた。


如何でしたか?


次回もお楽しみに

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