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Fantastic Lovers  作者:
7/27

episode,7

rank1 赤木あかぎ圭人けいと


…や、やった。僕、吸血鬼になれたみたい。


いきなりあの痛みが来たときは驚いたけれど、耐えて良かった。

あの瑠璃って人には感謝しないと。


だって僕にこんな機会をくれたんだもの。…ううん、僕はこのチャンスをもらうべきだったんだ。


この容姿、この力、この頭脳!なんでもっと早く僕にくれなかったんだろう?


ああ、早く行かないと!

僕をあんな目にあわせたこと、後悔させてやる!



──僕は学校でいじめられてる。

主犯はクラスのリーダー格の男子。

いつも上から目線で、自分の言うことは絶対だと思ってるみたい。

そんなやつに目をつけられた。

同じくらい性格が腐ってるやつを引き連れて、僕をいじめる。

集まれないと何もできない奴らなんだよね。

僕に何か自分でも気づかない優れたところがあって、そこが羨ましいだけなんだろ?

それを素直に言うのができないから、態度で伝えてるんじゃないのか?

ま、さすがにそれも疲れたし、そろそろお別れかな。



「なんなんだよ、あいつ。いきなり呼び出したりなんかして。しかもこの俺をよ」

「落ち着きなって。どうせ何もできやしないよ。だって圭人だよ?」

「…あいつに何かできるわけないよ」


…来た。最低なやつ。

1人で来いって言ったのに、やっぱり他に2人連れてきた。

まあ、もういいや。

どっちにしろだし。


ガサッ


僕は見物していた木の上からあいつらの目の前に飛び降りた。


「うおっ!?…なんだ、お前か。びっくりさせんなよな」

「用ってなんなの?」

「…手短に済ませろ。お前にかまってる時間がもったいない」



「今なら許してやる。僕に謝れ」


僕は目を見せないように顔を伏せながら言った。

1回だけ、チャンスをやろうか。これを断れば…。


「はぁ?何言ってんだ?俺がお前に謝るわけないだろ」



あーあ。



唯一のチャンス、捨てたよこいつら。

仕方ない。…殺してやる。


僕は伏せていた目を上げ、真っ直ぐこいつらを見据えた。


「あ?なんだよ」

「ね、ねえ。圭人の目、見て」

「…金色?」

「ま…まさか…お前…」


「その"まさか"さ!僕は吸血鬼になったんだよ。素直に僕に謝れば、命くらいは助けてやろうと思ったのに。…僕ね、今とても喉が渇いてるんだ。君達はあんまり美味しくなさそうだけど、仕方ないや。…ねえ?」


僕は心底楽しくなり、思わず笑みがこぼれた。


「ひっ…!」

「け、圭人。やめてぇ!」

「…逃げなきゃ」


3人は脱兎のように逃げ出した。

そんな遅いスピードで僕から逃げられると思ってるのかなあ?

…馬鹿みたい。ほんと、愚かだ。


僕は3人が逃げ惑う姿を見ながら、少しずつ追い詰める。

…楽しすぎる。3人の顔が恐怖に染まっていく。


「ふっ。じゃあ、いただきまーす!」






「こんなの、つまらないわ」






ポチッ



ん?何か今音が…。


「う、あ、ああああ!」


痛い、痛い、痛い!

体が壊れる!

最初のあの痛みとは比べものにならない!

自分の体が引きちぎられ、バキバキと音を立てて折れているかのよう。

も、もう、死んだ方がマシだ…!

死なせてくれ…。


僕は目を閉じて意識を闇の中に放り投げた。

そうして僕は、2度と目覚めることはなかった…。


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