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戦乱のブレイブレイド  作者: 白羽彼方
新クラス編 一章 二日目『外の世界』
7/22

実力


朝日が登るがさんさんと太陽は降り注いでおらず雨が降りそうな雨空の方が多い。雨が降ると考えた方が良さそうだと白鳥は早めに行動を起こすことにした。

瞳子と女子は早めに起きていたのでテントにはむさい男しかいない。また伊賀だか早朝先の方に偵察に出ている。白羽は雨空を警戒してテントを張るように指示を出していた。テントはもちろん二つ持たせたしテントをはり終えたら狼煙を上げるようにとも白羽は伝えてある。流石に抜かりはないと女性陣と瞳子は感心する。


「男共、早く起きなさい。朝よ」


むさい男たち『東野 海』と『柳沢 剛』のいるテントをガバッと開け大声で呼びかけた。


「今何時だよ……」


「ぐおおおおおおおおお!!」


「午前七時よ」


「後十五分くらい寝かせろよ、それくらいは余裕あるだろ」


「そうね、そっちの男を起こせるのなら考えてあげる」


「ぐおおおおおおおおお!!」


東野は大きないびきをかいている柳沢を見る。これは無理だと判断し東野は起き上がるがこれをどうやって起こすつもりだと白鳥に問いかける。


「こうする……のよ!」


「ごふぅあ!!!」


白鳥は思い切り腹部を殴った。


「ごほっ! ちょ、おま、殺す気かよ!」と柳沢は抗議するが「急所は外れているわよ」と白鳥に言い返される。


そんな問題なのかと東野は柳沢が生きているかどうか確かめてみる。柳沢は咳き込みながら暴れまわっている。


「起きたならサッサッと支度をしなさい。今日は早めにテント張るから」


「それでこの時間に起こしたのか、昨日もそうだったがまたああいう道を進むのか? 正直遠回りな気がするんだか」


復活した柳沢が白鳥にそう聞いた。

柳沢の進言は正しい。一歩間違えば迷いそうになる道をひたすら歩く。昨日は進物にこそ遭わなかったが次はどうなるかわからない。


「行くわよ、遭遇率低いのは遭遇するより遥かに速く辿り着くってことなんだから」


「だけどその代わりに見つかったら大物である可能性があるって言ってたよな」


「ええ、最低でも『クラス二』には会うでしょうね」


進物には強さ、もしくは外見でランクわけがされている。クラスは九つあり一番弱いのが小獣、一番強いのは神獣といった具合に呼び方も決められていたりする。

そしてクラス二とは中獣に位置するもので小獣の代表が狼型だとするならば中獣はライオンとか体少し大きくした猛獣のようなものが多い。資料では今白羽のいる付近で現れている進物は猿、中型ならゴリラと言ったところだろうか。


「合わなければ問題ないわ。それとご飯も今準備を終えたみたいね」


瞳子がおたまを持って呼びかけている。とても若奥様的だが男だ。いかに愛くるしくめでたくとも男だ。彼はこの場にいる女より女らしい・・・だが男だ!

白羽たちはキャンプ用にとバックに入っていた簡易的な椅子と机で食事とったあと素早く片付け歩き出す。


「ところで俺たちの目的地はどこだっけかな」


「秋葉原だな、私もその時には腕を振るおう。それよりも早くなるかもしれないが」


「そうだな、俺たちの実力を見せる時が」


「変なフラグ立てんじゃないわよ、本当にそうなりそう」


「……残念、そうなったみたいよ」


白鳥が指を指した方向には筋肉が膨張し牙を剥き出しにしたゴリラのような生物がただずんでいた。間違いなくクラスは二の進物。数にして三匹。群れで行動していたようだ。


「変なフラグ立てるなよ、八名。マジで」


「アレ? これ私の所為になってる!」


「ボサッとするな……来るぞ!」


茜々木は魔装具を構える。バスターソード。佐野の剣より一回り大きく中型の剣という感じだ。続いて柳沢が構える。超大型のハンマー。当たればただではすまない外見の槌を力強く振る。


「かかってこいや」


「さすが脳筋。こっちはまだだってのに挑発するなよ」


東野が愚痴りながら手早く準備する。東野の魔装具はカード。遊び大好きな東野にふさわしい武器である。この魔装具には固有の特性があり攻撃した時に戻ってくるという仕様だ。


「準備完了! 突撃するよ」


「あー、はいはい。行ってらっしゃい」


白鳥は八名を適当にあしらいながら準備を終える。白羽の武器はガントレット。両手にはめるタイプで防御に特化した形である。対して八名はグリーブ。いわゆる鉄の靴と呼ばれる代物である。


「僕はどうしたら……」


「なら周りを警戒して、増えたら連絡をお願い」


「わかった、頑張るね」


男子なのに女子の格好をしている瞳子の手には杖が握られている。形は至極単純に言えばかの三蔵法師が持っていたとされるものにそっくりだった。


「今こそ、物理でなぐーる!!」


柳沢がゴリラの腕に一発を入れる。ゴリラは呻きながらも反撃を試みようとしていた。されどこれもまた柳沢は読んでいたのか距離をとった。


「あぶねぇ、だがこのスリルがたまらないなぁ!」


「楽しんで戦っているね。よし、ならこっちも見してあげようかな」


荒木は体に強い力で負荷をかける。その直後荒木に変化が起きる。あの太った体は影も形もなその場にいたのは割れた筋肉を持つ痩せた別人であった。


「誰ですか?」


今まで存在感を醸し出してなかった牧野が呟く。本当にあの姿の人物はあの荒木なのだろうかと疑いたくなるほどだ。


「これは異能ではないですよ。私のお腹周りが大きいのは血液がお腹に大量に貯められているからです。どこかの漫画でこの体質の人がいましたけどその人もお腹の血を使って筋肉とか増強してました」


「長々と説明ありがとう、でも戦えよ」


「東野君が辛辣!! でもなんかいい」


機嫌をよくした荒木が進物と取っ組み合う。なんて汚い光景なのだろうと白羽は目を逸らした。


「んで転校生の牧野さん。準備できたかしら。二人掛かりで撃破するわよ」


「ええ、とっくのとうに用意はできていましたがわかりました」


牧野の手には両先端が尖っているチェーンを装備している。長さもある程度調節できるらしく短くしたり長くしたりを牧野は繰り返して遊んでいた。


白鳥はまずは肩慣らしと傍観を決めているゴリラに向かう。白羽はこう考えていた。戦いにでないのはボスであるか、もしくは戦闘が得意でない可能性を。


「うわ」


相手の素早い動きに白鳥が驚く。本来のゴリラにしては相当早く一秒で数十メートルは動いている。


「前者ってわけね。面白いじゃない」


白鳥は微笑む。久方ぶりに楽しい戦いがてきそうだと言わんばかりに。


「さぁ、この私を楽しませなさい」



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