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戦乱のブレイブレイド  作者: 白羽彼方
新クラス編 一章 二日目『外の世界』
13/22

東京解放戦線

すでに扇大橋を越えて飛鳥山まで来た佐野一行はある現実に直面していた。進物たちとの東京においての最前線。戦闘が常に行われている東京都でも特別な場所。毎年戦死者が一万は死んでいるとされている。

「お前たちは学生か? なぜこの場所に」

今にも死にそうな顔で銃を持った迷彩服を着込みヘルメットを装着している二十代くらいの若い男が佐野に話しかけてきた。

「見ての通りだ。江東区からの来たやつがうじやうじゃいる。現在東京への道は塞がっているぞ」

「それはあいつらを倒せば通れるということいいのか?」

佐野は暴れている進物たちに向かって指を差す。男はお前正気かという目で佐野を見る。佐野は失礼なと心の中で思いつつ仲間に同意を求めることにした。

「ここで戦わなかったら一日以上足止めをくらうがどうする」

「兄さんが決めたならそれに従うよ」

「私としてはこんな場所に黙っているのよりはいいかな」

「げんきがあればなんでもできる。為せば成るのが世の中だよ」

「江利知、僕には精神論を押し付けないでくれよ。とはいえベッドで寝たいので賛成だが」

「僕も問題ないよ、これは人助けの延長と思えばやる意味はあると思う」

「最初から助ける気満々です。むふー」

「お前ら、東京解放戦線、東京の解放軍ですらこの有様だぞ。子供になんとかできるわけが」


ズガン。


「な……い?」

男は驚きを隠せない。明らかに十代の異国の娘が平然と銃を持ち平然と顔の横すれすれを撃ってくる。しかもその命中は一撃で進物の急所を貫いていた。既存の兵を持ってしてもこれほどの技術を持つ人物はいないのに若い異国の少女はフゥと息を吐く。

「さすがユーナ。正確な射撃だ」

「これくらい問題ナッシング」

「次来る、構えて」

「いえ、ここは先手必勝でしょ!!」

桜が体を使って魔装具を横に構えながらほぼ水平にして駆け出す。進物の注目が一気に桜に集まる。佐野は敵数を瞬間的に数える。

(数は四十か、その中でクラス二以上が三匹。問題はないだろう)

「國光、どうしたのですか?」

「あっ、いや、多分あいつに任せて余裕だ。手出しはしなくとも殲滅するだろう」

「でも最初に戦った小獣の時苦戦してなかった?」

そういうことかと佐野はユーナに答えを返した。

「普段あいつ本気だしていないんだ。それでAクラスでトップだった。つまり本気を出せば」

言っている間に進物たちは塵となって消えていく。あまりの出来事に進物たちの動きが鈍り始める。動きが鈍っている間にもまた一匹、また一匹と桜に切り刻まれていった。その様子を見て佐野以外が目を丸くする。

「ふう、二十四匹目。無双ゲームみたいで楽しいな♪」

「あんな風に雑魚程度なら楽しみながら圧倒するくらいの力はあるってことだ」

「隠していたってレベルじゃないでしょ」

すでに十匹を切り、残りは十。いや、今九となった。

「へぇ、でも君の方が強いんだよね。佐野 國光リーダー」

「できる兄を持つと妹も苦労するようだ」

「自分をできる兄って自信過剰すぎじやないの」

自信がないよりあった方がいいと思うのだがと佐野は小牧に言いたかったのだが別にこの場を掻き乱そうとは思ってはいないのでスルーする。桜は最後の小獣を狩り終えると残り三匹の獲物に手をかけようとする。だが三匹は指し示したように桜を囲んだ。だけど桜は満面の笑みを浮かべた。

「普段は使わないとっておき。冥途の土産に見せてあげる」

桜に三匹が一斉に襲いかかる。桜は地面に剣を刺し踏み台にして高く飛ぶ。三匹は顔と顔がぶつかり合い鼻を押えて何が起きたのとキョロキョロしている。

「桜は実は受験を済ませてからこの一年の間、授業では一度も使っていない。それはあまりにも凶悪で殺戮に特化した異能であったからだ」

「桜、いっきまーす」

桜の手に光が集まる。いや、そう見えるだけで光というわけではない。異能が形をなした姿である。

「波動振動」

「お前ら、耳を塞げ」

佐野が耳を塞ぐように指示するとチームの皆は耳を塞ぐ。男は佐野の言うことは聞く気は無いらしく耳を塞ごうともしない。多少兄の言うことを聞かない人がいてもはしょうがないと桜が光のようなものを投げる。直後ものすごい大きな音が襲った。とっさに男は顔を横にし耳を塞いだが片方は鼓膜が破れた。

「鼓膜が……割れるほどの音だと。彼女は音振動の異能者か」

耳を抑えながら男は辛そうな顔で佐野に問いかける。佐野は言うことを聞いていればこのような事故は防げていたのにと考えたがとりあえず異能について間違っていると伝えておいた。

「あれが音振動。音爆弾を生成する能力者でないならなんだというのだ」

「自分で考えろ、と言いたいけど確かにわかりにくいな。桜の異能は一言で表すなら『振動』。触れるものを振動させ破壊する能力だ」

「なるほど、だとするとリーダー。君の妹は空間に振動を加えたのか」

「その通り。空間を振動させた、それにもう決着が着いている」

進物はまとめて塵になる。あの技は大きさによって範囲が異なるが範囲内の生物の内側に多大な致命傷を与える技である。空間に振動を発生させ生物としての性質を崩壊させる。

「やっぱり五センチも手を離れないかー」

桜は自分に被害はない。だが桜の異能には条件がかなり限定される。手からのみ力を発することができるのと身体から離すことができない。ついでに言えば範囲外にも余波が飛ぶの先ほどのような適切な処置が必要であった。

「今回は振動刀を使わなかったか。おーいお疲れだ妹よ」

「うん、思ったより手応えないけど」

「お前ら、本当に学生か……。小獣と中獣とはいえ一人で倒し切るとは」

「一応そのようになってるのかな。で、次はどうすれば通れるの?」

「はっはっはっ、とりあえず全部倒して進めばいいんでない」

「「それだ」」

「はぁ、お前らは実力がありそうだが馬鹿ばっかりか」

ポリポリと頭を掻き毟りながら男は皮肉たっぷりに言う。なお佐野たちは否定しきれないと反論はしなかった。

「東京解放戦線の方。それよりも聞きたいんだけどいいかな?」

「なんだね」

「現在進物が徘徊しているエリアはありますか?」

「確かにこの先に行くなら必要な情報か。なら地図をだしてくれ。書き込んでやる」

佐野が地図を取り出して渡すと印が三つ書き足される。印がつけたされた場所は御茶ノ水、浅草、両国。どれも江東区や墨田区の近く、まさに進物たちとの戦いにおいての激戦区と呼ばれる場所だった。


「こんなものか、他は比較的に弱いのしか徘徊してないはずだ」

「なるほど、川沿いがやっぱり敵が多いみたい」

「ああ、橋があるからだね」

「その通りだ、奴らは水辺を避けるため必然的に橋の付近が一番やばい」

進物であっても普通に川を渡ることが難しい。だからこそ陸地と陸地を結ぶ橋を移動してくる。また普通に川を泳いで行こうとすると魚類系の進物に襲われることを覚悟しなければならない。

「そうなるとかなり遠回りした方がいいよ? 近道するとぶつかる場所があるから」

「浅草か。雷門もお寺も影も形もなくなってしまって本当に残念だよ」

江東区が崩壊後東京都はほぼ廃墟となった。そこに昔の観光地の姿はない。

「新崎の言う通りにするか。浅草付近は通らない方向で行こう」

男に見送られながら佐野たちは飛鳥山を後にした。



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