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俺イズム



「あら、案外早く戻ってきたのね」

渚こと変態尼僧がら俺たちに向かって全然以外そうではない顔でいう。

「その台詞の割りに、俺たちが現れる時間だけではなく、場所まで特定できていたように見えるのは気のせいか?」

この知的な台詞は俺だ。


「いえ、気のせいではないわ。なんだか大掛かりな魔法を使ったようだけど、ウチの神父さんは抵抗(レジスト)に長けてるから、私たちが止まってたのは一瞬だけだったの。だから、魔法に逆探知をかけて、効果時間、出現座標を割り出して待ってたってわけ」

「じゃ出てきた瞬間襲ってこなかったのはなぜだい?」

これはブレイドさん。

「それは一番スキのでる効果時間切れによる出現時に、なにか対策してないわけがないと思っていたのでな」

「成る程そういうことか…。甘い!甘いな!僕にそんな知恵があると思うなよ!」

うーん、ブレイドさんって馬鹿だなー。

「それに僕は力が強過ぎて、幽体でしかこっちの世界に来れらないから闘えないのさ!」

「なんだ ー 」

「なんですっ ー 」

「ちょっと待てコラー‼︎」

ブレイドの胸倉つかんでガクン、ガクン揺する水樹。

「そんな話聞いてないよ!俺一人でこいつらと闘うの⁉︎しかも語り部もしながら!馬鹿いってんじゃないよ!なんでそんな大事なこと事前に言っとかねーんだよ!このスットコドッコイ!」

「だ、大丈夫だよ、力は授けてあるから。」

「なんの話だこのヤロー!」

揺する。揺する。揺するけど、ブレイドさん身長高いっすね。

「だから、君は今、僕の力を使い放題ってとだよ」

「なに⁉︎それは真か!」

パッと胸倉を掴んでいた手を離す。

「本当さ!さっき君が僕を殴ったときに血がついただろ?その血で契約しといたから、バッチリだよ!」


血の契約ってやつか…。

ファンタジーぽいな!

やっと出てきたかファンタジーテイスト。

待ちわびたぞ!

しかし、よく考えるとコイツの力使い放題って言っても、実際に見たのは怪我治したとこぐらいだな。

実際には見てないけど、時間とか空間に干渉出来るのと、心が読めるだっけ?肝心のめちゃくちゃ強そうな力はどんなことやるのか、イメージすら湧かない始末。

そもそも、どうやって魔法使うんだ?


「ブレイドさん。色々聞きたいことはあるが、取り敢えず一つだけ今すぐ教えて欲しい。魔法ってどうやって使うんだよっと!あぶねえ‼︎」

ブレイドさんと話し合っている最中、いきなり薙刀で襲いかかってくる渚。

その攻撃をすんでのところで躱す。

躱す?

躱せちゃった。


「さすがっすね水樹さん。もう僕の力使いこなしちゃってますね!」

「なんか知らないけど、すげー身体が軽い!どうなってるんだ?」

軽いだけじゃない。なんかこう、湧き上がるような力を感じる。

「それが、僕が授けた力だよ。今の君は魔力で全身が強化された状態になってる。身体能力も飛躍的に上昇しているはずさ!さしずめ、スーパーサイヤ人ってとこかな。」

そうか!これが血の契約という中2病の大好物で得た力ってわけか。今なら誰にも負ける気がしない。

というか、なんの説明も無しに力を使いこなす俺?

素質の塊?

ザ・主人公?

まったく、自分の才能が恐ろしいぜ!


「…よく避けることができたわね。」

薙刀を振り下ろした体制のまま、呟くように言う渚。どうやら、避けられると思ってなかったらしく、少々ご立腹のご様子だ。

「まぁ、俺レベルになってくるとこれくらいなんてことないさ。」

俺イズム。

それは枕詞に俺レベルになってくると、という言葉を付けていかにも、他の人とは一味違うんだよってことをアピールすることである。

「へぇぇぇ、そうなんだぁぁ〜。だったら、つぎわぁぁ、少し本気でいこぅかなぁぁあ!」

言うや否や、薙刀を下段に構えたまま、疾風の如き速さで迫り、その構えのまま足の低い位置を斬りにかかる。そのスピードは常人の目では捉えることの叶わないようなスピードである。

しかし、

「うおっと!」

後ろに軽く跳ぶことで、難なく躱す水樹。魔力で強化されていることにより、反応速度はもはや常人のそれとは比べものにならない。よって、躱すことができるのは当然で。しかし、計算違いがあったわけで。それはというと身体能力の高さである。その高さ故に。


ドガーン。

勢い余りまくって、軽く跳んだつもりが、跳び過ぎて後ろの壁に激突。壁には人型ができた。なんかマンガみたいだ。

「うわっ、誰の家かわかんないけど、ごめんなさい。」

軽く跳んだだけなのにこれはちょっとヤバイな。本気で跳んだら、ドラゴンボールみたいに雲の高さまで跳べるんじゃないか?

「うふふ、ふふ、うふふふ。あはははぁ!すごい!すごいわ!とてもいい!いいわぁ♡っもう堪んないっ!なにぃ?そのぉ力ぁ?私と同じ強化系?それとも、神父さんの操作系かしらぁ?どちらにしろ、その凄まじい魔力、私が求めていた敵と認めるには充分だわぁぁ。」

ごめん、一言だけ言わせて。キャラ変わり過ぎだろ!


壁にめり込み中の俺に一歩、また一歩と薙刀の切っ先を引きずりながら近づいてくる渚。さっきとは一変してゆっくりと近づいてくる。

顔はものすごく笑顔。街でそんな顔して挨拶されたら、つい挨拶を返してしまうだろうなと思わせるほど、純粋な笑顔。

しかし、実際に今の渚に街で会ったなら、挨拶どころか、目があった瞬間逃げ出す事請け合いであろう。

なぜなら…

薙刀を持っているから!

ではなく、溢れ、漏れ出しているが殺気が半端ではないからだ。しかし ー


「いやいやいや、渚とか言いましたっけ?尼さんの癖にそんな怖い顔して。ビビらそうったって無駄ですよ。俺今、リアルドラゴンボールワールド体験中なんでー。正直、天下一武闘会で優勝出来そうなくらい漲ってるんですわー。だから、俺と闘う?やめときなさい。命がいくつあっても足りませんよ。」

悲しいかな。水樹の性格は単純。少し相手より優位に立ったら、すぐ調子に乗ってしまう。まあ、優位に立ってなくても調子に乗るが。

「どうしてもやるというのなら、決死の覚悟でかかってきな。軽くもんでやるよ!」


水樹はこの時まだ気付いていない。自分がどんなけ不利な状況に立たされているのかを。

しかし、みなさんは知っている。水樹がなんの魔法も使えないことを(強化は無意識下に行っているが、その他の魔法は使えない)。

無手であることを。

相手は薙刀(武器)を持っていることを。

さらに今水樹は壁にめり込んで身動きがとれないことを。

「まあ、お前如きではこの俺は斬れなっ ー」


ヒュッ!

いつの間にか、離れていた筈の渚が薙刀の射程圏内に水樹を捉え一閃。その一振りは、風切音を置き去りにし、水樹の前髪を素敵にカットし、アスファルトの地面を軽く切断。その数瞬後、遅れて高い風切音が辺りに響く。

「誰が、何を斬れないってぇ?」

ものごっつえぇ笑顔しとるやん。これがホンマもんのドヤ顔ちゅーやつか。

「ごめん、今の台詞は忘れて。」

作者さーん。さっきの台詞はカットでお願いします。


却下ーw




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