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五臓六腑にメガトンパンチ

「・・開戦の合図としてとらせて頂くでござる。」


瞬間、ウンタマーギルの体がブレる。

ウンタマーギルは、忍者に相応しい体捌きで、胸ぐらを掴んでいた水樹の腕を取り、エゲツないスピードで、力で投げる。

当然水樹は突然のことで、反応が追いつかず、綺麗に投げられてしまう。


「うわっ!」


5メートルは飛んだだろうか。

これだけ飛ばされれば、常人なら骨折まではいかなくとも、それに近い怪我は負うだろう。

しかし、水樹は投げには反応できなかったが、投げられた直後、取り敢えず身体強化の魔法を発動し、ダメージを殆ど受けることなく、だが派手に地面と激突。


「くっ⁉︎砂が口に入ったぞっ!」


水樹は激突の直後、昨日の戦いで学んだのかすぐに体勢を整え、追撃に備える。

ぺっ!

ぺっ!

口の中ジャリジャリする。


「ほう、今の激突でダメージ無しでござるか。水樹殿の身体強化の魔法はなかなかの強度とお見受けする。」

「そうなのか?昨日戦った変態尼僧のほうが動きも速かったし、力もバカだったけどな。」


渚は殆ど視認できない程素早かったし、力も強かった。

実際に対峙した者としては、渚の方が遥かに身体強化出来てた、というのが率直な感想だ。


「出家しているのに変態な尼さんでござるか。少し語らってみたいでござるな。」

「まあ、乳パットは鬼モリだけどなっ!」


水樹は言下、ウンタマーギルへと駆け出した。

いや、踏み込んだ。

水樹とウンタマーギルとの距離は5メートル以上離れていたが、水樹はその距離を一歩の踏み込みでゼロにしたのである。

身体強化万歳!


「ごむむっ⁉︎」


ウンタマーギルもまさかここまで膂力があるとは思わなかったのだろう。

驚きの余り、驚きの表現を言えていない。

ちなみに、平常時はござむむっ!である。


「推進力パンチ!」


そして、水樹は突撃してきたそのままの勢いでパンチを繰り出す。

なんとも御粗末な素人パンチなのだが、勢いが勢いだ。

当たれば五臓六腑なんかは破裂するだろう。


「なんのこれしきっ!」


しかし、驚いたのも一瞬。

ウンタマーギルは水樹の放ったパンチを左手で難なく払いのけ、勢い余って浮ついた水樹の横をすり抜けるように移動。

そして、隙だらけの水樹の背中に向かって手裏剣を投げつける。


「ぐあっ!」


水樹はウンタマーギルが投げつけた手裏剣をまともに受けてしまい、前のめりに倒れこむ。

身体強化のおかげで致命傷にはなっていないが、軽く刺さっている。

普通に痛そうだ。


「いや、普通に痛いわ!」


すぐさま立ち上がり、殺し合いをしている相手に文句を言う水樹。


「手裏剣をまともに受けてその程度でござるか!いや、たまげたでござる!魔法を初めて使ったのが昨日とは思えない程の練度でござるな!」


人に手裏剣刺しといて、何を感心してるんだ、この変質忍者は!

何がこの程度でござるか、だよ!

思いっきりブッ刺さってるぞこの野郎!

おー痛い痛い。

あれ?刺さってるとこに手が届かないぞ。


「動かないで。でないと傷口えぐるわよ。」

「わっ!那由他!危ないから下がっとけよ!」


いつの間にか背後に那由他。

魔力が無い状態だと巻き添えでも死にかねないぞ。


「分かってるわよ!でもあんたが早速やられそうだから、下がるに下がれないのよっと!」


何故か必要以上に力を入れて手裏剣を抜く那由他。


「あがっ⁉︎」


水樹の思ってた以上に手裏剣は深く刺さっていたのだろう。

背中から血がそこそこでている。


「これで飛び道具も手に入れたことだし、頑張って勝ちなさい。私のために」

「・・この状況でよくそんなこの言う余裕あるよね。」


水樹は、この短い時間でウンタマーギルとの力の差を感じてしまったのだろう。

台詞も及び腰になっている。


「本当にそうでござるな。その瓢箪頭が某に勝てるとお思いか?」


こいつ、優勢に立ったからって調子に乗りやがって。

何が瓢箪頭だ!このござる系変質者め!

と言い返したいが、怒らせてしまいかねないので今日のところは言わないでおいてやろう。

俺寛大。


「あんたなんか朝ご飯食べなくても勝てるわ、このござる系変質者!」

「ちょちょ!!」


どえらいことを口走る、那由他の艶やかな、しかし残念極まりないお口を急いで塞ぐ水樹。

こいつ、俺がせっかく言わないでおいたことをわざわざ言いやがった。

命が惜しくはないのか!


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