幕間(敵サイド)
ゴゴゴゴゴ
「◯◯◯様!!はるか東方の地より例の件で連絡が届きました!!」
黒く、暗く、足元どころか目の前すら視認できない、光の一切無い世界。
つまり、映像化すると黒一色となる世界。
そこに突如、極黒の世界とは余りにも不釣り合い、というかアンバランスで騒々しい声が響いた。
声色から判断するに男性のようだ。
「なんです?騒々しい。滅却しますよ?」
黒一色の世界。
そんな何があるのかも分からない、もしかすると何も無い世界に、支配者がいるとすれば恐らくこの人なんだろう。
と、声色だけで。
存在感だけで。
発する魔力で。
内に秘めた魔力で。
感じさせる。
そんな得体の知れない”何か”が、不機嫌ここに極まりといった感じで、報告に来たこちらも”何か”に殺害宣言をする。
こちらは中性的で、声色からは性別の判断がつかない。
もしかしたら、性別はないのかも知れない。
伝説ポケモンのように。
「た、大変失礼いたしました、◯◯◯様!しかし、急ぎの報告を差し上げたほうが良いかと考えましてですね!」
「分かりました。もういいですから報告をお願いします。あと近いです。もう少し下がりなさい。」
「はっ!失礼いたしました!」
急いで下がる音。
この音から察するに、この黒の世界には床なのかは分からないが、足場はあるらしい。
「それでは!先日◯◯◯様が最重要案件として、至急対応せよと申し遣わされた例の件ですが、どうやら失敗してしまったようです!」
「・・・例の件ですか。なるほど。例の件ですよね。例の件。えぇ、えぇ、憶えてますよ。最重要案件でしたからね。それで、事の顛末は聞いているんですか?」
「え、えぇ、まあ、聞いてはいますが、◯◯◯様。これは純粋な疑問であって、なんの他意もないので間違えてても滅却しないでほしいのですが、もしかしてお忘れになられたのですか?最重要案件を。」
「・・・・・・。」
漆黒の世界。
虚無と混沌の入り混じる世界。
そんな得体の知れない世界の支配者である者の怒気はどれ程のものだろう。
身がすくむ?
玉が縮こまる?
髪が抜ける?
ハゲる?
ハゲ?
【誰がハゲやねん!】
それとも寿命が縮む?
いや、縮むどころかぽっくり逝ってしまうかもしれない。
しかし。
それどころでは収まらず。
世界が震えだすかもしれない。
世界が二つに割れるかもしれない。
世界の中心で愛を叫ぶかもしれない。
・・・叫ばないかもしれない。
とにかく分かる人には分かるだろう。
怒らせてはいけない存在だと。
命どころか、世界がいくつあっても足りないと。
「ま、◯◯◯様?私は失言をしましたか?」
「そうですね。したかもしれません。」
「ひ、ひいぃぃ⁉︎何卒ご慈悲を!ご慈悲を〜!」
何処かわざとらしさが否めない口調で慈悲を請う、請う、請う、えーと、こいつ名前ないとナレーションやりにくいな。
どうしようか?
今名前決めちゃうか。
そうだな、そうしよう。
何がいいかなー。
腰低いけど、一応敵側の幹部的な位置にいる設定だからな。
適当に決めるのはなー。
よし!ガムイールにしよう!
決定!
それでは改めまして、何処かわざとらしさが否めない口調で慈悲を請うガムイール。
「ダメです。滅却!」
「有難や!」
◯◯◯様が滅却宣言した瞬間。
魔法の発動は確認することができなかったが、宣言通りガムイールの両腕が綺麗サッパリと失くなる。
滅却完了って感じだ。
まあ、言葉では両腕が滅却されたと言っても、ナレーションですら何も見えないわけで、あくまで状況を見た上での想像でしかないのだが。
「滅却ご苦労様です!ささ、何時ものようにその素晴らしい、を超えた奇跡の、も超えた、神懸かり的な、と対等の力をお見せください!」
「全く、貴方も相当の物好きですね。痛みがないわけでもないでしょうに。」
何も見えないが、◯◯◯様は肩をすくめたようだ。
そして、手をガムイールに向けてかざしたのか?
恐らくかざしている。
そんな気がする。
気がするだけで、実際は足の匂いでも嗅いでいるのかも知れない。
いや、そんな訳ないか。
「いや、本当にいつ、何回見ても凄く凄いですね・・」
おっ!本当に凄いな。
ほほう!そんなことできるのか!
流石は敵側のボス。
ハンパないすわ。
何でもありかって感じです。
いやはや、これじゃ主人公側は分が悪いかなー。
こんなんじゃなー。
ん?
何が起こってるのか説明しろって?
ナレーションだろって?
全く最近の若者はすぐに答えを得ようとして。
少しは自分で考えることをしないと、指示待ち人間になりますよ!
えっ⁉︎
もう読まないって。
あっ!すいません、すいません!
それだけは勘弁して下さい!
ここまで読んどいて、さよならなんて、おじさん悲しいよ。
せつないよ。
セツナキャパシティーだよ。
いいからさっさと解説しろアイランドハゲだって?
畏まりました!
直ちに解説させていただきます!
ナレーションの名誉に掛けて精一杯、細部まで、事実だけをお伝えさせていただきますとも!
今までにないくらい言葉を飾って、ありありと想像できるくらいにお伝えしますよ!
本気出しますからね、本気。
今まで数える程しか使ってなかった本気を今使いますからねー!
こう御期待下さい!
こう見えて私は期待を裏切らないのとで定評のある男ですからね。
今まで期待を裏切ったことなんか ー 。
お前の話はいいからとっとと解説始めやがれ!ハゲリスト!ですか?
すいません!では次の行から始めます。
やっぱり、分かりやすくするために、改行しますね。はい!すいません!只今!
◯◯◯様は特に呪文を唱えるでもなく、ただただ手をかざした。
かざしていた。
想像通りだ。
なんで想像通りだと確認出来たのかというと、◯◯◯様の手のひらから眩い光が放たれていたからだ。
その光はガムイールに向かって照射されていた。
光は暖かく、優しく、しかし、決して寄り添わないような、なんというか、裏と表が混じったような、交じったような、相反するものの混合というか、なんとも表現の難しいことではあるが、とにかく、普通ではなかった。
普通ではない。
つまり、神を。
全ての源を。
根源を。
思わせる。
よぎらせる。
感じさせる。
光。
もっと近くに。
いや、近づくなど不敬の極みだ。
頭の中でそんな議論が延々と繰り返されるような。
そんな光。
に、見える人は見える。
というのは冗談で、この光を見たものは皆すべからく同じことを思うだろう。
神が仰せられた、光あれ、とはこの光のことを言ったのかと。
思わずにはいられないだろう。
あの光は根源への入口だと。
魂が教える。
「どうですか?これで満足ですか?」
◯◯◯様は少し呆れた様子でガムイールに確認をとる。
あっ⁉︎そう言えばまだあの光で何をしたのかを語っていなかったですね。
何したと思います?
はい!ハズレー。
正解は両腕を創造し直した、でしたー。
当たった人はどこのパネルを取るか選んで下さいね。
何故角を取らない!
・・はい!すいません、あまりの眠気に適当に書きました!
でも反省はしないのが俺の座右の銘だぜ!
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