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那由他FC


「て、て、てめー勝手にい、家に入ってくんじゃねーよ!」


マジびっくりだわー。


「いいじゃない、昔はお互いにお互いの家に勝手に入って遊んでいたじゃない。それどころか、家を交換とか言ってお互いの家に泊まりあったこともあるだから、この家は私の家と言っても差し支えないと思うわ。」

「差し支えしかないわ!お前の家も俺のものとか、ジャイアンでもそんな大それたこと言わないわ!」

「はいはい、つまらないこと言って文字数無駄にしてないで早く行くわよ。」

「ちょっと待て!今のは会心の一撃だっただろ!」


そうですよね?


・・・・・・

・・・・

・・


結局那由他の言い付け(昨日奴隷になった)には逆らえず、一緒に登校することに。


「そういえば水樹、昨日のこと親には何て話したの?」

「ああ、俺はヘッドスライディングの練習してたとか言って適当にごまかしたな。」

「えっ⁉︎そんな頭の悪い言い訳で誤魔化せたの?」

「ふっ、愚問を。よく考えてみろ?俺の母さんだぜ?」

「・・忘れていたわ。そういえばあんたのお母さんは昔から純真無垢な心の持ち主だったわね。私が軽くトラウマでも作って、疑うことの大切さを教えてあげましょうか?」

「やめろ!お前の軽くは下手したら精神崩壊レベルだから!と、とにかく、今のところは魔法だのなんだのは誰にも話してないことになるな。」


そのかわりと言ってはなんだが、親に俺の性癖はバレたがな。


「そのほうが賢明ね。この科学が栄えきった世の中に魔法なんてものがあったとなると、世界的事件になるのは目に見えてる。それに、私たちが使えるとなると、政府やら、イルミナティやら、フリーメイソンあたりが拉致りにくるかもしれないわ。」

「それか、昨日の神父や渚が所属している組織みたいな魔法関係者に消されるかもな。魔法の存在を公にした罰として。」

「どっちにしろ、私たちに百害あって一利なしよ。だから、できるだけ魔法の存在は隠していきましょう。最低でもまたリリーたちがこっちの世界にくるまでは、ね。」

「りょーかいです、ご主人様。」


暫くは那由他のいう方針に従っといたほうが良さそうだな。

でも、俺の使える魔法って今の魔力じゃ身体強化とビームくらいなんだよな。

那由他は氷の弾丸やら、剣やら飛行魔法とか、色々使えるみたいだけど。

ぶっちゃけ、俺の魔法は外から見ても分からないんだよな。

・・今日の体育の授業が楽しみだな。


「そういえば、那由他のほうはなんて言って誤魔化したんだ?」

「私はレイプされそうになったって言ったわ。感情を込めて。」


うんうん、成る程、さすが優等生の那由他だけあって自然な言い訳を思いついたな〜。

って ー


「アホか!!その言い訳だと、リアル過ぎて警察動くだろっ!」


普通、子供が襲われたと言ってきたら、親はまず間違いなく警察に通報する。


「そうなのよ。私の迫真の演技での嘘八百を黙って聞いてたと思ったら、そのまま目を回して倒れちゃったの、ウチのお母さん。それで、暫くたったら凄い勢いで飛び起きて、警察に電話しようとしたのよ。でも、本当に通報されたら困るじゃない?だから、急いで後頭部を殴って、もう一回寝てもらうことにしたの。それで、どうしたもんかと考えたのだけれど、結局いい案が思いつかなくて。今朝も通報されないように、柱に縛ってから来たわ。ねぇ、水樹、どうしたらいいと思う?」

「そうだね、取り敢えずお家に戻ってお母さんの縄を解こうか!」


黙って聞いてたら、こいつとんでもなくぶっ飛んでるな。

通報されそうだったから、殴って気絶させたとか、盗みに入っているのがバレた泥棒のすることじゃねーか!

それに、気絶させただけじゃ根本的な解決にはならない。


「嫌よ面倒臭い。学校にはもうすぐ着くし。それに今から戻ったら遅刻しちゃうわ。」

「いやいや、今帰らないと、お前のお母さんは夕方まで、柱に縛り付けられたまんまってことになるぜ!お前が帰るまで、飯も食えないし、トイレにもいけない。それに何時間も待たされるのに、無聊を慰めることも出来ない。それって拷問と変わらないぜ。」

「いやいやいや、よく考えてみて水樹。実の娘から縄で縛られるのよ?興奮こそすれ、不満なんてあるはずがないわ。」

「お前のよく考えた結果がそれなら、更生施設行きだわ!って普通は考えるけど、お前の母さんはな・・。」


俺の母さんも変わってるけど、那由他の母さんも相当変わっている。

那由他の母さんは、娘(那由他)に対して相当入れ込んでいる。

いや、ただのドMかもしれない。

だから、那由他に蔑まれると喜色満面といった表情を見せるし、ことあるごとに那由他に頬ずりしている。

その間、那由他はびっくりするほど無表情だ。

そんな性格だから、愛する那由他に縛られたとなると、本当に那由他の言う通り興奮しているのかもしれない。

想像したくはないが。


「そうよ。だから私のお母さんのことは気にせず、警察に通報されないようにするにはどうしたらいいか話し合いましょう。」

「そうだな、この問題を何とかしないとな。一生柱に縛っておくってわけにもいかないし。」

「手っ取り早いのは、レイプされそうになった相手があんたっていう事にすることよね。」

「えっ⁉︎俺⁉︎」

「そうよ。そしたらお母さんは喜んで私を放置してくれると思うわ。」

「・・なんでそう思うの?」

「だってお母さん水樹のこと大好きだもの。いつも言ってるわ、早く水樹と既成事実を作りなさいって。」

「・・はぁ〜。お前の母さんは相変わらずだな本当。」


それ、ガキのころから言ってるよな。


「それに思惑が外れて通報されたとしても、あんただったら心置きなくブタ箱送りにできるもの。」

「どっちに転んでも僕ちゃん可愛そう!」

「なに言ってんのよ、私と夫婦になったらこの世の誰よりも幸せ者でしょ?」

「お前のその自信は何処からくる・・」


俺は不意に言葉を切る。

忘れていた訳ではない。

ただ、説明していなかっただけだ。

那由他の異常なまでの自信が何処からくるのかを。

そう。

那由他のあの絶対的自信はなにも虚勢などではない。

きちんとした根拠というか、源というか、出処がある。

流石に世界一というのは言い過ぎだが、日本一は結構あり得ると思う。

そのぐらいの規模になるくらいの可能性を、”那由他ファンクラブ”は持っている。

はい!出ました、那由他ファンクラブ。

これこそ那由他の自信の源にして、俺がボッチとなった原因。

那由他ファンクラブ。

それはその名の通り、那由他好きによる、那由他の為のファンクラブである。

その規模は、入会率でいうと我が与勝第三中学校の9割以上が会員で、現在も増加中である。

噂では隣の与勝第二中学校にも那由他ファンクラブがあるとかないとか。


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