告解
「母さん、ノックしても反応ないから、直接起こそうと思って部屋に入ってビックリしたわ。あんな堂々と机の上にエロ本が置いてあるんだもの。」
そうだ!昨日は余りの疲労に、適当に机の上に置いてそのまま寝てしまったんだった!
「それは昨日は色々あって疲労が ー 」
「イロイロあったって、そんなにイロイロヤったの!!」
「母さん誤解だよ!それと変な方向に誤解の羽を広げないでよ!一応これ15禁なんだから!」
マジそこんとこはお願いします。
「だったらイロイロってナニよ!」
「・・色々は色々だよ。」
「ほらっ!母さんにも言えない!ということはそういうことでしょ!ねぇ、あなた!」
ここで振る⁉︎って顔をした父さんは、一瞬、俺に目で謝ってから首を縦に振る。
恐らく、男である父さんもこれは一度通った道なのだろう。
大丈夫。
俺にはきちんと伝わったよ、父さん。
俺もきっとこの試練を乗り越えてみせるよ!
「・・分かったよ、母さん。きちんと説明するよ。」
俺は腹をくくる。
正直親に自分の趣向を説明するのは恥ずかしい。
だけど、この状況では説明するほかないだろう。
とにかく俺は一刻も早く朝食が食べたいのだから!
「水樹っ⁉︎」
父さんが此奴正気か⁉︎という顔で俺を見る。
父さんは、親に自分の好みを告白することの居たたまれなさ、残酷さが痛いほどわかったのだろう。
だけど、
「父さん、心配要らない、大丈夫だよ。俺は大丈夫。」
父さん。
俺は父さんが思っている以上に強くなったんだ。
このぐらい、それこそ朝飯前だ!
「母さん、今から俺の告解をよく聞いて欲しい。」
俺は胸の前で手を組み、話し出す。
「俺が犯した罪は、小学六年生の時。あれは確か学校からの帰り道。いつもは真っ直ぐ家に帰るのだけど、その日はたまたま寄り道をして、公演でブランコに乗ろうとしたんだ。しかし、俺はそこであるものを見つけてしまった。それは七つの大罪の一つであるものの象徴。色欲の塊。そう、エロ本だ。小学生のころの俺はもちろんエロに耐性なんかありはしない。そっち方面の知識も殆どもっていなかった。だから、純粋に思ったんだ。なんだ、この本は?と。どのページにも女の人が写っている。しかも、淫らな格好でだ。こんな本は見たことがない。でも、なんとなく見てはいけない、見ているところを見られてはいけない、そんな気がした。だから、俺は急いでその場を離れたんだ。本はランドセルに仕舞ってな。」
ここで一旦、反応を伺う。
父さんは沈痛な面持ちってやつだ。
でも、母さんは殆ど無表情で、何を考えているのか読み取るこのが出来ない。
俺は先を話す。
「そして、急いで帰ってきた俺は、部屋で改めてエロ本を読んだ。いけない、いけないと思いながらも、好奇心には勝てなかったんだ。そして、もう御察しかもしれないが、その時読んだエロ本の中身が眼鏡っ娘だったんだ。俺は最初に読んだエロ本のインパクトが忘れられず、それ以降も眼鏡っ娘のエロ本ばかりを買うようになり、今では立派な眼鏡好きになったというわけ。」
俺は告解を終え、一つ息を吐く。
不思議とスラスラ言えた。
羞恥はあったが、それ以上に変な清々しいさが勝っていた。
俺、また一つ強くなったよ。
「・・あなたの眼鏡に対する強い気持ち、伝わったわ。水樹がこんなにも眼鏡に対して思い入れがあるなんて、母さん知らなかった。正直に言うと、まだ気持ちの整理が出来ていないけど、水樹のこと理解出来るように、がんばるわ!」
「母さん・・。」
母さんに眼鏡の素晴らしさが伝わって本当によかった。
勇気を持って話してみるものだな。
「ささ、この話はこのくらいにしてご飯食べましょう!水樹のもすぐ作るわね。」