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証拠は出揃っている


「あの、父さん、母さん?」

「あのね、水樹。」

「うん、そのことなんだけどね、誤解って言うか、なんというか。」

「水樹!今母さんは真剣に話しています。きちんと聞きなさい。」

「はい!」


水樹は母の気迫に押され、勢い良く背筋を伸ばす。


「水樹、昨日はご飯を食べに来なかったわね?」

「ああ、昨日は色々あって疲れたから、そのまま部屋で寝ちゃってたんだよ。」


色々とあったんだ、本当に。


「知ってるわ。」

「そ、それなら、起こしてくれてもいいのに。おかげでお腹ぐーぺこだよ。」


お腹と背中がペコペコだよ。


「いいえ、母さんは起こしに行きましたよ?」

「えっ?でも、ノックの音は聞こえなかったよ?」

「きちんとノックもしました。」

「あはは、だったら相当疲れてたのかな?気がつかなかったよ。」

「そう・・。でも母さんはノックで起きて欲しかったわ。」


・・・・・・。


「ごめんなさい、でも、昨日は色々あって ー 」

「起きてくれれば、知らずにすんだのに!!」


バンッとテーブルに両手を叩きつけ、腰を浮かす母さん。

そんな母さんを父さんが、ドウドウとなだめる。

本当になんだ!

少し、怖いんですけど。


「な、なんだよ母さん。俺は虐められてなんかいないよ。制服がボロボロなのは昨日友達と、野球をしてヘッドスライディングを何回も披露したからだよ。」

「あなた、こんな時に何言ってるの!寝ぼけてるならもう一回顔洗ってらっしゃい!」


またしても机に手を叩きつける水樹母。

目の前にはすでに用意されている朝食があるため、変に前のめりだ。

そこまでして、机に手を叩きつけたいのか?

机に恨みでもあるのだろうか?


「寝ぼけてはないよ。母さんこそ、なんでそんなに怒ってるんだよ?制服でないなら、一体何に ー 」

「コレよっ!!」


母さんはちょうど俺からは死角になっていたテーブルの下の物置スペースから、とても見覚えのあるものを取り出し、犯人に証拠を突きつける刑事さながらの勢いで俺の前に叩きつける。

朝食は無事だ。


「・・これはっ⁉︎」


叩きつけられたもの、それはエロ本だった。

しかも、俺のお気に入りの、だ。

しかし、何故だ?

何故、母さんが俺のエロ本を?

いつもは絶対にバレないように、天井裏に隠しているのに!

頭が真っ白になる。


「水樹、あなたも男の子なのだからこういうのに興味があるのは分かるわ。分かるけど、どの本も眼鏡っ娘なのは母さん、どうかと思うわ。」

「そこっ⁉︎じゃなくて、ちがっ⁉︎違うよ母さん!」

「何が違うのよ!違くないでしょ!!みんながみんな眼鏡じゃない!」

「父さん!!」


俺は堪らず父さんに助けを求める。

父さんも同じ男だ。

きっと分かってくれるはず!

しかし、


「すまん、水樹。父さんは眼鏡っ娘が特別好きなわけではないんだ。」


その一言の後、サッと顔を逸らす父さん。

・・そんなっ⁉︎

俺たちは親子だろっ⁉︎

それなのに眼鏡っ娘好きじゃないだと?

これはなんかの間違いだ!

そうに決まっている!



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