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ウンコに集るハエ


「・・そういうことなら、分かったよ。我慢する。」


これであの行いが許されるなら、我慢しよう。


でも、主張するべきことはしっかり主張しないと!


「・・あのさ、那由他。」


ポツリと水樹が呟く。


「なによ?もうパンツは見せないわよ?」

「ん、それは残念だな…。じゃなくて、蒸し返すようで悪いんだけど、一つ言い訳させてくれないか?」


このままあの行いが俺単独の犯行だと勘違いされたままなのは、どうしても納得がいかない。


「もうこの件は終わりでいいじゃない。早く日常パートに行きましょうよ。」

「いや、少しでいいんだ、それだけで俺の気がすむんだ。お願いだから、少しだけ聞いてくれよ。いや、聞いて下さい。」


水樹は小さい頃からの知り合いで、筒井筒の中である那由他にプライドを捨て、頭を下げる。


「な、なによ、頭なんか下げて。そこまでしなくても聞くわよ!聞いてあげるわよ!もう!」


急に頭を下げてきた水樹に驚き、照れ隠しから顔を背ける那由他。

萌え〜。


「ありがとう、那由他!」


水樹は話を、聞いてらもえることの嬉しさから、思わず那由他の手を握る。


「さ、さ、さ、さっさと話しなさいよね。」


那由他はいきなり手を握られたことにびっくりし、頬を赤らめる。

何時もなら、触れるもの皆傷つける、切れたナイフみたいな那由他だが、手を振りほどこうとはしなかった。

・・ははぁ〜ん。

そういうことね〜。


「俺が弁明しておきたいのはもちろん、あの淫行についてだ。あれは確かに俺がやったことで間違いない。認める。でも、あれは俺一人だけがやったことじゃないんだ!もっと言えば俺の意思でやったことではないんだ!」


ここまで一息で言った水樹は一旦、那由他の反応を窺う。


「単独での犯行ではない?俺の意思ではない?いったいどういうことなの?」


訳がわからないと首を振る那由他。

水樹の手を握るのにも力が入る。


「あの淫行は、深夜のテンションという、恐ろしいものに作者が呑まれた所為で行われたんだ。そして、その影響は二次元世界にも及び、俺とブレイドさんは半催眠状態の中、あんな変態みたいなことをさせられた、というのが真実なんだ!つまり、俺とブレイドさんも渚と同じく被害者なんだよ!」


那由他の瞳を真っ直ぐ見つめ、必死に自分の正当性を訴える水樹。

那由他の、いつもは他者を射抜くような眼力はなりを潜め、今はなぜかメガネの奥の瞳を潤ませ、水樹の視線を受け止めている。



「えっ⁉︎でも、あの映像は、明らかに嬉々として乳揉みしていたように見えたわ。・・疑いたくないけど。」


那由他は妙な空気に流されながらも、なんとか理性を保ち、疑問を呈する。


那由他さん!どうしたんですか一体!

気持ち悪いくらいに水樹に対して優しくないですか?

何時もなら、

はっ!見え透いた嘘言ってんじゃないわよ、このウンコに集るハエが!!

とか言いそうなものなのに…!

まさか水樹の言うことを信じるんですか!

本当に悪いのは作者とか言うこのウンコ野郎のことを!

こいつは自分のした事の責任を、あろう事か作者になすりつけようとしているクズ野郎ですよ!

那由他さん!那由他さーん!

僕の話を聞いてよ、那由他さーん!

ウンコの話なんか信じてはいけないよ、那由他さーん!

・・・ダメだよ〜、那由他さん・・。

・・・殺さないで、那由他さん。




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