さあ、お前の罪を数えろ!
「・・説明、ね。本当に心当たりがないの?それともしらばっくれてるのかしら?私にはその判断が出来ないからどうかしら?取り敢えず死んでみるっていうのは?」
再度那由他が構える。
・・両手で。
今度は本当にヤバそうだな。
そう男の子の勘で判断した俺は、魔力を身体強化に使う。
ちょうど、渚と闘っていた時にしていたように。
「・・・・・・。」
ドッ!ドッ!ドッ!
那由他の氷の弾丸が地面を抉る。
景気良く抉る。
水樹は必死で避ける。
執拗に股間ばかりを狙う、狙撃手の魔弾を。
「・・・・・・。」
ドッ!ドッ!ドッ!
止むことのない狙撃。
必死で避ける水樹。
増える弾痕。
増える市役所の職員の仕事。
「・・・・・・。」
ドッ!ドッ!ドッ!
魔力で強化した膂力をフルに活かし、氷弾を避ける水樹。
那由他は避けられても構わず、撃ちまくる。
股間を狙って。
一発でも当たれば、男の子から女の子にジョブチェンジしないといけないため、水樹は緊張している。
「・・・・・・。」
ドッ!ドッ!ドッ!
狙う那由他。
避ける水樹。
この攻防戦はスタミナ勝負だ。
いや、正確には魔力勝負だ。
二人は自分のでは無いにしろ、魔力を使い、魔法を行使した。
その経験が眠っていた内なる魔力を呼び起こし、今こうして二人共自分の中の魔力を感じ、使用している。
使用しているが、なにせ目覚めたばかりの魔力だ。
ブレイドさんたちや渚、神父さんと比べて、殆ど無いと言っていい。
よって、二人共魔力がいつ切れてもおかしくない。
那由他が先に魔力切れを起こせば水樹は助かるが、水樹のほうが先に切れた場合、水樹は女の子になってしまう。
「・・・・・・。」
ドッ!ドッ!ドッ!
「・・っ⁉︎いい加減、無言で狙うのやめよ?ていうか、一旦落ち着こう?ね?ダメ?そこをなんとかお願いします!ご主人様!!」
ピタッと那由他の攻撃が止まる。
そして、何故か水樹から見えないように、顔を背ける。
肩が少し揺れている。
笑っているのか?
顔が少し赤いようだし。
ナレーション的には、那由他はなんだか気持ち悪い行動をしていると、書いておくか。
「・・なによ、私の奴隷のくせに。」
何故か那由他は嬉しそうだ。
表情は殆ど変化ないが。
「本当に、俺にはお前に玉とられるようなことをした覚えがないんだ!だから、なんで急にこんな事をするのか、せめて理由を聞かせてくれ!」
水樹は必死に訴える。
犬でいうなら、仰向けで腹を見せている感じだ。
「・・どうやら本当に分からないようね。あんな事をしておいて。それじゃあ教えてあげるわ、きっと後悔するでしょうけど。」
那由他は斜め上空に目配せをする。
はい!例の場面ですね!
ナレーションは那由他の合図を受け取り、中空に水樹が渚に対して淫行している場面を映し出す。
大丈夫、まだ神父さんの結界魔法は切れてないから、他の人に観られる心配は無用ですよ。
「どうかしら?これでも、身に覚えがないかしら?」
片眉を上げ、問いかける那由他。
「あわわわああぁ」
水樹は戦慄した。
膝はガクガクと震えだし、腰が砕け、おへそで茶を沸かし、お腹と背中がくっつき、目糞が鼻糞を笑い、関節が大集合する。
そう感じる程、水樹の意識は混濁し、動揺、錯乱していた。