生徒指導の先生
「ルシファール!やめなさい!」
リリーがブレイドさんを庇うように、ブレイドさんの前に出る。
僕は死にませーん!的な感じで。
「っ⁉︎リリー様!危ないですよ、そんなところに立たれては!」
この娘はなんというか、少し抜けてるのかな?
この馬鹿でかいボールを投げたら、どこに立ってようが危ないのだが。
どうする?
また六合の終で斬るか?
判断を仰ごうと、ブレイドさんに目配せをする。
すると、俺の合図に気付いたブレイドさんは、ゆっくりと首を横に振る。
どうやら、もう少し様子を見るようだ。
手遅れになって、みんなで天国行きにならなければいいが。
「ルーシー!さっきブレイド様は私の大切な人で、ルーシーも同じくらい大切な人だって言ったでしょ!いきなりどうしたの?」
リリーの声色は、少し怒気を含んでいた。
小刻みに揺れる乳もいいものだ。
「はっ⁉︎つい我を忘れてしまいました。頭では、ブレイドさんがいい人であることはわかっているのです。でも、どうしても500年もの間リリー様を一人占めしたかと思うと、怒りが抑えられなかったのです。」
ルシファールはリリーに怒られ、早くも涙目になっている。
・・・俺はそんなルシファールを見て、新たな性癖に目覚めそうなのを必死に我慢していた。
「そうね、長い間悲しい思いをさせてしまったね。でもねルーシー、今日からは一緒だから、これから楽しい思い出をいっぱい作ろうね!」
リリーがブレイドさんの手を握り、空いているもう片方の手をルシファールに差し出す。
「はいっ!」
今度はルシファールも差し出された手を取る。
さっきまで、曇天模様だったのが嘘のような満面の笑みで。
因みに、さっきまで持っていたデスボールは、また適当なとこに投げ捨てている。
もう知らんぞ俺は。
「今夜は寝かさないよ、ルーシー♡」
「楽しみですっ!」
「ということですので、すぐ来れるとは思うけど、それまで死なないでねー。」
ということとは、どういうことなのか。
そんな疑問を呈する前にブレイドさんが何かを唱え、異次元(恐らくブレイドさん達の世界)へのトンネルを開ける。
「那由他も、死なないでねー。後、もう少し素直になってもいいと思うよ♡」
「ちょっと待てよ!死ぬなってどういうことだよ!夏休み前の生徒指導の先生かっ!じゃなくて、ちゃんと説明してから帰りやがれー!」
水樹の叫びも虚しく空に響くだけ。
ブレイドさん一行は既に元の世界に帰るため、トンネルに飛び込んでいた。