臨時ニュースは突然に
「許してくれてありがとう、お姉さん。ところでお姉さん。この辺りで、眼鏡をかけた女の子を見ませんでした?その子が那由他って娘なんだけど。」
「見たと言えばみたわね。」
あんたの目の前にいるわ…。
「本当かい!何処に行きやがったんですか、あいつは!」
今度こそ俺の三十六文ロケット砲を喰らわせてやる!
「あなたの目の前とか♡」
那由他は底冷えのする笑顔で水樹に近づく。
しかし、水樹はまだ目の前の女性が那由他だとは気づいていない。
「お、お姉さん、駄目ですよ、こんなところで。」
初めて会ったっていうのに、なんて大胆なお姉さんなんだ!
ここは空の上だぞ!
それなのに、オープンパンティスで近づいてくるなんて!
ブレイドさん!
あんたの仲間、最高だよ!
《うーん、なんというか、頑張れ?》
ん?頑張っちゃっていいの?
だったら、遠慮なく。
「いいじゃない、減るもんじゃないし。」
妖艶な?いや、恐ろしく目が座っている表情で近づいていく那由他。
しかし、まだ水樹は気付かない。
すぐ目の前に、すぐ目の前にお姉さんが!
お姉さんがいる!
おわぁぁー、いい匂いだ〜。
「ちゅ〜。」
水樹は目を閉じ、口を尖らせ、キスの準備をする。
キス顏キモっ!
・・・・・・。
あれ、いつまでたってもこないぞ?
ははぁん、さては焦らしてるな?
ならば ー
「ぶふぉぉおおんんんんっ!!!」
水樹はこの時思った。
たまたまって2つあるけど、1つは予備のために用意されてたんだな。
1つがダメになってもいいように…。
那由他のキラーニーが本日二回目の下腹部にヒット。
目を瞑り、チューの準備に勤しんでいた水樹は、明日のジョーばりにノーガードの状態で膝を受けた。
硬化魔法って、股間にこそかけるべきだよねー。
あっ!変な意味ではないよ!
「水樹、私も本当はこんなことしたくないのよ…。でも、あなたが悪いの。私の愛情を仇で返すようなことをするあなたが…。」
「・・・・・・っ!!?」
「私は今まで教室の角でいつも1人の幼なじみと、戯れていたと思っていたというのに…。」
「・・・・・・くっ⁉︎」
確かにボッチだけども!
「あなたはずっと私のことを疎ましく思い、チャンスがあれば恩を返すのではなく、復讐を考えていただなんて…。」
「ふぅぅ、ふぅう、ふぅ。」
痛い!二つの意味で痛い!
「こんなショッキングなことは、初めてやって来た生理でお気に入りのクマ模様のパンツを駄目にした以来だわ。」
「うぉパンツぅぅ!!」
水樹は復活した。
水樹はとても単純というか、脳と下半身が直結しているというか、馬鹿というか。
とにかく、貪欲なのである。
主にエロ方面で。
「うるさい。」
那由他は復活したばかりの水樹に、容赦のない蹴りをお見舞いする。
もちろん下腹部めがけてだ。
しかし、
ぱしっ。
「ちっ、ちっ、ちっ、そう何回も喰らいはしないぜ、お姉さん。」
水樹は得意げに那由他の蹴りを受け止めていた。
「水樹のクセにやるわね。」
那由他は大人しく足を引っ込める。
普段はここで引き下がる那由他ではないが、外見が大人になった分内面も成長したようだ。
ここで話の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします!
今思い出したけど、那由他がボコってた神父がどうなったか描写してないっ!
どうしよう!
うーーん、あっ!そうだ!
そのまま落下したところを、ルシファールに助けられたことにしよう!
うん、我ながら名案だ!
そして、ルシファールと気を失っている神父さんは水樹たちのやりとりを静観してるということで。
以上で臨時ニュース終了です。
スタジオにお返し致します。