そこに山があるから
「さっきはよくも乙女の脇腹に蹴りを入れてくれたわね〜、感謝の気持ちが溢れ出て、止まらないわ!」
ギリギリ。
「痛い!痛い!折れる!折れてしまうよっ!」
「痛いの?そう、でもね、私も痛かったわよ?あばらが折れたかと思うくらい。あなたも、あれ?骨折れたかなって思うぐらい握らないとフェアじゃないわよね?」
さっきは感謝してるって言ってたよね⁉︎
「ごめんなさい!ごめんなさい!勘違いだったんです!那由他って娘と間違えたんです!」
ピタリと万力握手が止まる。
「…どういうこと?」
「・・・いやね、俺には那由他っていう幼なじみがいるんですけど、そいつが悪魔みたいな奴でしてね。毎日、毎日、罵詈雑言浴びせてくるわ、今日なんて、目潰しに、玉潰し、土下座までさせられたんですよー。ひどいでしょ?」
「・・・・・・。」
「でも、このままやられっぱなしなのも癪だから、反撃のチャンスを狙っていたんです。そしたら、今日ブレイドさんが復讐に協力してもらえることになりましてね。急いで飛んできて、そのままの勢いで三十六文ロケット砲をぶちかましたら、ぶちかます相手を間違えたというわけです。」
成る程ね。
さっきのは私を助けるためどころか、復讐するためにやった行為だったのね。
もしかしたら、助けにやってきたのではと思って話を聞いたけど、これは駄目ね。
完全にアウト。
同情の余地はない。
死んでもらうわ。
「あの、お姉さん。手を握ってくれるのは、嬉しいんだけれど、そろそろ離してもらえないかな?…その綺麗な御手てを舐めたいんだ。」
ハスッハスッ。
「あら、ごめんなさい。気が付かなくて。」
万力握手していた手を離し、水樹を自由にする那由他。
万力握手から解放された水樹は・・・。
チラチラと破れた衣服の下にあるオッパイを盗み見ていた。
露骨に。
無遠慮に。
貪るが如く。
しかし分かる!
その気持ちが痛いほどに、切ないほどに分かるぞ!水樹!
男ならそこに谷間があったら、見ずにはいられないよな!
それが男の性ってもんだ。
(※一部の人からのクレームは現在受け付けておりませんので、あしからず。)