万力握手
「那由他ーーーー!!!!!!!!!
今までの恨みはらさでおくべきかキッーーーク!!!!」
那由他が神父さんをフルボッコにしている最中。
那由他にも神父さんにとっても、救いの一撃をぶちかます水樹。
「ふぎゅんっ⁉︎」
このなんとも滑稽な声は那由他だ。
表に出ているのはリリーだったか?
確かリリーだったな。
うん、リリーだった。今読み返したから間違いない。リリーだ。
ということで、水樹の恨み辛みが籠った32文ロケット砲が那由他の脇腹にクリーンヒットし、吹っ飛ぶまでが前回までの話だった。
「ははっ!まともに喰らいやがったぜ!どうだ!このキックは今までの恨みがたんまり、こんもりと詰まったキックだ!恐れ入ったか、バーローめっ!」
やった!やってやったぜ!
初めて那由他に仕返しできたぞ!
これは自分のことを褒めてあげたいぜ!
よくやった!俺!
だが、だがだ、まだ気を抜くな。
奴はまだ生きている。
息の根を断つまでが復讐だ!
「・・・ブレイド様、パッションが溢れ出るのはとても良いのですが、この身体は私のものではないのです。私の身体ならどんなに乱暴にされても構わない、むしろ乱暴にシて欲しいのですが、人の身体なのでもう少し優しく扱ってもらわないと。」
そんなことはどうでもいいから、代わりなさい、リリー!
今すぐ水樹の息の根を止めないと、私の気が触れてしまうわ!
ご乱心よ!
「ん?・・・!!!!?
よく見ると那由他じゃないっ⁉︎誰、この眼鏡の似合うエロい美人さんは⁉︎眼鏡秘書!眼鏡秘書だな!俺のドストライクゾーンだー!ん〜、眼福、眼福!
・・じゃなくて、いきなり三十六文ロケット砲かましてすいませんでした!!」
ここは空中なので土下座ができず、五体投地も出来ないので、深々と頭を下げ謝る水樹。
念のため補足を入れとくと、那由他は神父さんと闘う前にリリーの魔法で大人の姿になっている。よって、水樹は目の前の美女を那由他とは毛ほども思っていないのである。
服が破けててエロいなぁ。
「いえいえ、こちらもあと少しで神父さんを撲殺してしまうところだったので、蹴りを入れてくれたことに対して、逆に感謝しております。ボク達を助けてくれてありがとう。」
晴れ渡る青空のような笑顔で微笑むリリー。
相も変わらず、パンツ丸見えだ。
「あっ、天使だ…。天使がいる…。」
パンツ丸出しの天使がいる。
「ボクは天使じゃないよ、悪魔だよ。」
えっ⁉︎
「…悪魔?」
「そう、悪魔。これでも一応、サキュバスっていう悪魔の王女をしておりますリリーです。どうぞ、よろしくね〜。」
自然な流れで握手になる。
わわっ、こんな綺麗な人と握手かー、緊張するなー。
しかも悪魔っ娘。
手汚くないかな?
汗ばんでないか?
と考えつつ、一応ズボンで手を拭ってから、握手に応じる水樹。
「えへへっ、こちらこそよろしくっ⁉︎」
水樹が握手に応じ、リリーの手を握った瞬間。
那由他が獲物に飛びつく獣のような勢いで表に飛び出し、もう離さないとばかりに、水樹の手を握る。
しみじみと思うけど、万力ってすごい力なんだな。