お茶漬け
《じゃ、那由他に復讐でいいんだね?》
「ああ、頼む!」
《承知した!君の願いを叶えるために制覇者である僕が、持てる力の全てを惜しみなく貸すことを約束しよう。》
やったあ!
これで何も恐れることなく、やり返せるというものだ。
《でも、具体的に復讐ってなにをやる気なんだい?》
「うーん、そうだなー、取り敢えず痛い目に合わせてやりたいなー」
今まで好き放題やられていた分を、やり返したいよね。やっぱり。
《それは物理的にってこと?それとも精神的に?》
「どっちもだな。今まで舐めさせられてきた辛酸を思い出すと、単純な仕返しではとても溜飲は下がらない。」
そう、精神的に追い詰め、肉体的にも痛い目にあってもらわないとね。
グッフェッフェッ!
《色々と溜まってる様だね…。分かった!任せてよ!》
「頼りにしてるぜ、相棒!」
《まずは水樹に、制覇者としての気位を身に付けてもらおう。》
ブレイドさんがなにやら、まじないを唱える。
「あれ?なんか今なら誰にも負けない気がする。もしかしてこれが?」
《そう、まじないの効果だよ。今の水樹は精神的に制覇者だよ。》
「すごい。これは一種の麻薬ならぬ魔薬だな。人の心の有り様を操作するなんて!」
《他にも意味もなく楽しい気持ちになったり、逆に男なのにマタニティーブルーを味わえるなんてことも可能だよ。》
「なんてこった⁉︎なんでもアリだなこの物語は。」
このまじない、使い方次第で”むふふ”なことにも使えるよな。
のび太に使わせたら、何をやらかすかな?
《僕からの支援はこれだけじゃないよ!》
またしても、ブレイドさんがなにやら唱える。
すると、一瞬だけ水樹の体が淡い灰色の光に包まれる。
「今のは?」
《精神的だけでなく、肉体的にも那由他さんに負けないよう、硬化魔法をかけておいた。今の水樹なら、関取のぶつかり稽古をお茶漬けを食べながらでも出来るよ!あっ!一つ注意してほしいのが、股間だけは効果対象外だからね。》
…あれだな、やっぱり、この作者の比喩は分かりにくいな。
もう、比喩なのかも分からないレベル。
なんだよ!ぶつかり稽古中お茶漬け食べるって!
絶対ぶつかられたら、お茶漬け溢れるでしょ!
「な、成る程、つまり股間以外の体が堅くなったんだな。」
《イエス!これで那由他さんに負ける要素が無くなったわけだ。これはつまり ー》
「ああ、復讐だ!!」
こうして、
強気になった水樹は、那由他の元へ助けに行くという目的を忘れ、復讐に向かうのであった…。