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ケンカキック


渚が刀の射程圏内に入った。

水樹は刀を正眼に構え、何処から来ても対応できるようにする。

正眼に構えれば何処から攻撃が来ても対応可能。

そうマンガに書いてあったんだ!

でもそうだな。

頭上からこられるとさ。

無理だよね。

渚は水樹の射程に入った瞬間跳躍。

水樹は一瞬渚を見失い、跳んだ、と気付き上を見上げた頃には、眼前に淡く光る死神の鎌。

咄嗟に飛び退き躱すものの、当たっていたらと考えると、冷や汗が止まらない。

ああ、早くギャクパートにならないかな。


《水樹!変なこと考えてる暇あったら攻撃!》


偉そうに命令しやがって、ブレイドの野郎〜!

これが終わったら、時空間干渉魔法とやらで、俺の、いや、男の夢を叶えてもらうからな!


「死ね!ブレイド!」

と、なんとも力の出る掛け声と共に渚に斬りかかる。

もちろん峰打ちだ。


「はいはい。」

あっさりと、容易く躱される水樹の斬撃。

どのくらいの容易さかというと、


「この折り紙半分に折って」

「はいはい。」


ぐらいの容易さだ。

なに?お前の例えで、分かりやすかったことがないって?

そんなに褒めるなよな!

死にたくなるだろ!


「よく躱したな!」

斬撃が躱された水樹は、この一撃を躱すとはやるな!と思っている。

あー可哀想。


「…よいしょ。」

渚は攻撃後の隙だらけの水樹に気怠げに、ケンカキックをお見舞いする。


「ぶぅわ!」

他から見れば隙だらけ、しかし、水樹からすると予想だにしない一撃をくらい、高速で後ろ回りを強要される水樹。

ストラーイク!


「あんた!一回私に降参させておいて、襲いかかってくると思ったら、雑魚だったって舐めてんの?

こっちは一回負けを認めてんの!

それを認めずに闘いを挑んできたのはそっちでしょ!

やるならちゃんとやりな!」


「あの、お言葉ですけど、これはブレイドさんの独断であって、決して俺の本意ではないんです!

俺はやめろって止めたんだ!

それを、それを勝手にブレイドさんが、ブレイドさんが、うわ〜〜ん!」


いきなり泣き出す水樹。

ノリで泣かしてみたけど、全然泣く場面じゃないなここ。

頭おかしいんですかね、水樹さんは。


「ナレーションてめー!お前も後でぶった斬ってやるから、今の内遺書でもこさえてやがれ!」


閑話休題。


「あんたはブレイドさんとか言う制覇者の所為って言うけどもさ。こっちからすると、中身の区別なんて付かないから、はい、そうでしたか、とはならないんだよ!」

「それもそうですね。ではどうすれば?」

「…納め物を所望する。」

「煩悩が溢れでて ー 」

「なんか言った?」

「すいません!なんでもないです!」


もう代わってくれよ、ブレイドさん。


《それは出来ない相談だよ、水樹。さっきも言っただろ?あんまり僕が表に出ると、良くないんだ。だから、水樹の力で頑張るんだ。》

「でも、力の差が富士山とエベレストぐらいあるよ。」

《水樹。今から大切なことを言うからよく聞くんだ。魔法を使いこなすコツは想像力を働かせることだよ。魔法はイメージが大切だからね。水樹のイメージがはっきりしていれば、渚さんにも勝てる!》

「確かにおれは妄想のスペシャリストだよ。でも、俺ビームしか出せないよ。」

《水樹、妄想も身体強化も立派な魔法だよ。自分を信じるんだ。》


妄想は魔法じゃないだろ!


「ビームしか出せないだと!私が出してほしいのは、ビームなんかじゃなく、宝石だっ!」


お金が大好きな尼僧、渚が踏み込む。

さっきは、魔法の籠っていない蹴りだったが、今回は予備動作からすると、一発お陀仏の首狙いの手刀だ。


くそっ!このままじゃ死ぬな。

真の主人公なら、このピンチで新たな力に目覚めるのに!


…よしっ!目覚めよう!目覚めちゃいましょう!新たな魔法よ!発動してくれ!


水樹はここぞというタイミングで、御都合主義権を発動させる。作者は一応主人公である、水樹の命令に従い、水樹に新たな魔法を授ける。


はい!きたー!

どんな魔法がきたんだー!

ん?相手の動きがスローモーションだぞ。

この現象が新たな魔法の力か!

よしっ!今なら入るな。


水樹は軽く合わせる感じで、刀を振る。


「なっ⁉︎」


渚は今の動きが捉えられているとは、思わなかったのだろう。

不意を突かれ、もろに肩への斬撃を受ける。

しかし、軽く合わせただけなのと、峰打ちだったのとで、殆どダメージはなさほうだ。なさそうだが、一旦距離を取る渚。


「すげー!今スローモーションだった!」

《うーん、水樹は流石だよ。いや、あの方が流石と言うべきか。とにかく、コツしか教えてないのに、すぐに新しい魔法を使うなんて、やるね!》


・・主人公権限を使ったことは黙っておこう。


「今のスローモーションは俺がやった魔法なのか?」

《そうだよ。多分僕の時空間干渉魔法のイメージが強かったからかな。今のは自分以外の時間を伸ばす魔法だよ。時間伸縮魔法と言われているね。

これも、概念型。普通は概念型は上級者しか使えないんだけど。水樹は相当想像力に長けてるね。》

「ま、まあね。俺くらいになると、いきなりだよね。なんでも。」


すげー!時間伸縮魔法だってよ!

最強じゃん!

相手がスローモーションだぜ!

あんなに速かったクソ尼の動きが、ゾウガメだぜ!ゾウガメ!

速さにおいて負ける気がしねー。

相手が気の毒になってくるな!

あははははっ‼︎

と内心思っているが、顔には出さない水樹であった。


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