キュン死
織天使ルシファール、以下、ルシファールが手を空に掲げる。
すると、光の粒が集まり出し、あっという間に元気玉みたいな球体が出来上がる。
…あれ富士山も吹っ飛ばせるんじゃないかしら。
「もしかして、ルーシー?」
急にリリーが出てきて、友達と話すようにルシファールに話しかける。
「っ⁉︎あなた、何故私の恩人しか呼ばない呼び方で私を呼ぶのですか?」
今にもデスボールをぶつけてきそうだったルシファールの動きが止まる。
「ボクだよ!ルーシー!リリーだよ!」
リリーの呼びかけ。
「…私を惑わすおつもりですか?」
上目遣い&悲しそうな声。
ヤバイ!なにこの可愛い動物。
キュンキュンが止まらないわ!
「友達を惑わすなんて、そんなっ!訳あって見た目は違うけど、中身はリリーだよ!」
リリーの必死の呼びかけ。
「……確かに、リリー様の波動をあなたから感じます。しかし、波動など似せようと思えば、似せられます。私は騙されません!」
気丈に振る舞う幼女。
手をグッと握り締め、精一杯強がっている。
しかし、本当はどっちだか計りかねるのか、目が泳いでいる。
……はぁ、はぁ、はぁ、可愛いすぎでしょ!
キュンキュンしすぎて、このままではキュン死してしまうじゃない!
「ルーシーは疑り深いなー。これでもまだ偽物だと思う?」
不意に、リリーが魔法を発動。
見事な細工の施された氷の剣を生み出す。
「そ、その剣は!リリー様!確かに姿形は違いますが、この剣は間違いなく私の恩人であり、大好きなリリー様の剣‼︎」
場を圧倒するほどの魔力はどこへやら。
デスボールを適当に投げ捨て、リリーに抱きつくルシファール。
頬を真っ赤に染め、リリーのおっぱいに、エロゲ風に言うなら、見事な双丘に顔を埋め、ぐりぐりする。
やっ♡そんなっ、あっ♡ん〜〜、
………もう死んでもいい♡
「やっと信じたかー。よしよし。」
リリーが絹のようなサラサラな髪を撫でに撫でる。
それが心地いいのか、はにかんだ笑顔をこちらに見せるルーシー。
谷間からこんにちはである。
なんてパンチ力のある絵なんだっ‼︎
このシーンだけで、ご飯3杯はいけるぞ!
「な、な、ななにがどうなっているのだ⁉︎」
これは神父さん。
神父さんはリリーがルーシーと話している場面から、アホみたいに口を開け、ポカンとしていたが、立ち直ったらしい。
神父さんの気持ちは分かる。
最後の切り札である、召喚魔法で呼び出した高位の存在、織天使が、敵と知り合いで、しかもどうやら、恩人だというのだから。
しかし、何処までも救われない神父。
二人は神父のことなど無視で、思い出話に花を咲かせている。
「リリー様!リリー様っ!今まで何処にいらっしゃったのですか?突然いなくなられて、ルーシーはとても寂しかったです…。」
「いやー、ごめんね。ちょっとブレイド様に恋しちゃってさ。ずっと追いかけてたんだー。」
数秒の沈黙。
「……ブレイド、様ぁ?」
おっと!いきなり剣呑な雰囲気醸し出しました、ルーシーちゃん!いったいどうしたのか!
「そう!ブレイド様!とっても渋めでワイルディーで、ダンディで、ハードボイルドなブレイド様!目が合っただけで、心臓を撃ち抜かれたような衝撃を受けたんだ〜♡」
リリーはブレイド様の話に夢中でルーシーの変化に気付かない。
もちろん神父のことにも気付かない。
「…リリー様にとって、ルーシーはもう要らないのですか?」
今度は打って変わって、今にも泣き出しそう(ていうか泣いてる)な声で、ルーシーが問いかける。
「ルーシー‼︎本当にボクがそんなこと思っていると思うの?ボクが好きな人が出来たからって、友達はもういいや、なんて思っていると?」
珍しく、というか初めてよね、リリーが怒っているのを見るのは。
リリーの迫力にルーシーちゃんが、大きな目をさらに大きく見開いているわ。
可哀想に、怯えているのね。
…そんなルーシーちゃんもまた可愛らしい。
「ご、ごめんなさいっ!でもリリー様!ルーシーは今までとても寂しかったのです。ただただ寂しかったのです。リリー様が急に居なくなられて、とても心配したのです。何かあったのではないかと。そして、最悪の想像もしてしまったのです。ルーシーはリリー様に、リリー様に捨てられたのではないかと!」
今まで胸中に溜まっていたものを、一気に吐き出したルーシー。
最初はシクシクといった感じであったが、今はワンワン泣いている。
号泣している。
今まで本当に辛かったのだろう。
大粒の涙が白い頬を伝い、細いアゴ先から落ちる。
止めどなく、止まることなく、落ちる。
あっ、今ルーシーは夢の谷間の中にいるんだったか。
涙は顎じゃなくて、おっぱいに伝っているのか。
谷間を濡らしてしるのか。
幼女の涙が。
幼女の目から出た純粋な液体が…。
はい!こいつクズだなって思った人?
貴方はまともです!
こいつ分かってやがるって思った人?
手遅れかもしれません。
でも大丈夫。
作者も同類です。
悩む事はありません。
自分の信じた道を行くだけです!