オープンパンティス
「おじさん、人間の割に結構綺麗に空間跳ぶね。それにその浮遊術、物理的ではなく概念的飛行。まさか、結構強いの?」
喜色が混じった声で問いかけるリリー。
そういえば今さらなのだけど、私達は色々と便利という理由で風力で飛んでいるわけで、浮かぶにはどうしたって上昇気流を作るわけでしょ?
私学校帰りだったでしょ?
ビコーズ、スカートフルオープンのパンツフルコースな訳よ。
そんな状況でどんな話しようと締まるもんも締まらない。
でも、この神父本物の紳士ね。
この状況で一切笑わないんだから。
呼び方神父から紳士に変えようかしら。
「さあ、どうかな?強いのかもしれんし、強くないのかもしれん。どうだろう?自分で確かめてみるというのは?」
片眉を上げ問いかける、安い挑発。
しかし、この手の挑発はリリーの好むところ。
満面の笑み(心臓を抉る程の美しさだ)を向け、
「先手はこっちからだったからね。次はそちらがどうぞ?」
ブルースリーのようにクイクイとかかってこいのジェスチャーをするリリー。
その瞬間は本当に男前で、盛大にパンツを見せびらかしながらでなければ、かなりキマっていた。
「それでは行かせてもらう。かのキュアリリー相手だ。出し惜しみなしの全力でお相手いたす!」
神父は紳士らしい優雅な動きで持っていた本を開き、なにやら詠唱を始める。
いい加減キュアリリーに触れろという読者様の言葉を無視して。
「古の神よりもたらされし原初の光。全てを焼き尽くし、全てを育む始まりと終わりの光。純然たる我の名に応じ彼方より来たれ!『神炎の裁き‼︎』」
詠唱と共にこちらに手を振りかざす。
その瞬間、東京ドームレベルの魔法陣が現れ、黄金に耀く原初の炎が私たちを浄化しようと迫る。
「最近の人間は凄いね!この魔法、軽く”法級六”は行ってるよ。」
なにやら感心しているリリー。
目の前には炎。
それも特大サイズの。
《あの、リリーさん。もちろんあれ、何とか出来るわよね?》
お願い、出来ると言って!もうピーマン残さないから!
「あれぐらいだったら、今のままでもいける!」
唇を舐めて湿らせ、こちらも詠唱を唱える。
「巡れ、廻れ、永久の流れ!止まれ、留まれ、神の息吹。願わくば我を包み、慈しみたまえ!『不可侵風壁‼︎』」
タイミング的にはギリギリ。
炎の熱はリリーの魔法によって氷点下まで下がっていた気温が急上昇し、漂っていた雲が余りの熱に蒸発し霧散する程。
「召されたか⁉︎」
神父が希望的発言。
しかし、そうは問屋が卸さない。ここで卸すような問屋は打ち首に処す!処す!
「こんぐらいで殺られたらあの方の側にはいられないよ。」
神父さんの魔法が消えた後には何事も無かったかのように那由他(中身はリリー)が浮かぶ。相も変わらずオープンパンティスでだ。