キュアリリー
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〜前回のあらすじ(読み飛ばしてもノープロブレム)〜
那由他が魔法で、ボン!キュッ!ボン!になりました。
後は特に内容ないです。
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「汝に問う、貴様は何者だ!」
こっちに指を指し、厳しい声で問いかけるエセ神父。
汝か貴様かどっちかにして欲しいと思いつつも、答える。
「私は新しいプリキュア、キュアリリーよ!」
目の横にピースを作り、可愛げのあるポーズをとる私。
断わっておくと、これは私ではなく、私の口を使ってリリーが言ったのよ?
クールビューティーである私がこんなこと言うわけないでしょ。
ポーズは誰がやったですって?
わ、わ、私が、あんなポーズ取るわけないのですよ!
「なんと!キュアリリーとな!バチカンの魔導図書館に所蔵されている古文書で読んだことがある。遠い異世界にキュアリリーなる悪魔の女王が存在していると。その魔力は計り知れず、強さは制覇者と互角だとか。まさか本物をこの目で見ることが叶うとは。」
なんか一人でぶつぶつ言ってるわよあの人。
服装もあいまっていよいよ気持ち悪いわね。
「あんた、なに一人でぶつぶつ言ってるのよ。気持ち悪いわね。」
あっ⁉︎口に出してしまったわ。
出すつもりはなかったのだけれど。
そういえばさっきも話しかけたらいきなり殺しにきたわよね。
いまから鍵カッコとるのは、
…やっぱり無理よね。
「予想外だ。制覇者クラスが出てくるとは。しかも武器を携えていないところを見ると、相手は恐らく私と同じ遠距離タイプ。
撃ち合いだと純粋な魔力量がものを言う。私も魔力量には自信があるが、制覇者相手にやりあえるかどうか…。
念のためにあれの準備をしておかねば。そうとも。 常に万全を期せば負ける道理は無い。いかにキュアリリーといえどな。」
完全に一人の世界に入ってるわね、あの神父。
おかげでさっきの台詞を聞かれずにすんだのだけど。
ねぇ、リリー。今のうちにあいつ殺れやいかしら?
そういえば私さっきあのエセ神父に殺されかけたのよね。
こんな可愛い娘の体に風穴空けて傷物にしたのよ。
その罪は万死に値するわ。
《それもそうだね。ボクとしてもサッサとやっつけてブレイド様の下へ馳せ参じたいし。じゃ少し身体借りるね。》
変化は劇的だった。リリーが身体の主導権を握った瞬間、体の周りに気流が発生し、体が中に浮く。
「これが飛行魔術。風を操らなくても飛べるけど、この魔法を憶えれば風さんとはマブダチになれるからね。それなりに応用は効くはずだよ。」
そう言って、急上昇。
耳を聾するほどの風切り音。
しかし、なんだろう。
空を飛ぶということはどういった気持ちだろうと考えたことあったが、真っ先に頭に浮かんだのは恐怖であった。
どうしても急に飛べなくなって、地面に叩きつけられるのを想像してしまうからだ。
しかし、実際に飛んでみると、恐怖なんて一欠片もなく、心を支配している感情は喜怒哀楽でいうと、喜だ!
ドキドキが止まらない、ワクワクが溢れでる。
私、鳥さんになったのね!
「那由他って意外と乙女なとこあるよね。」
《…冷静なツッコミありがとう。おかげでまた1段大人の階段を登ることができたわ》
それはどうもと、軽く答えるリリー。
エセ神父は今やはるか地上。
下界と言ってもいいかもしれない。
「それじゃあ那由他。次は攻撃魔法を教えるね。ボクは負の魔法を得意としているからね。攻撃魔法もその系統が主になるかな。」
リリーが両手の指を使い四角を作り、その四角内にエセ神父が入るように調整する。
天下一舞踏会で天津飯が気功砲を打つような構えだ。
ていうか、まんま気功砲ね、これ。
「いっくよ〜。
抗うこと叶わず、定とは不条理に他ならない。ただ受け入れよ!。降雹狂乱(狂い墜ちる雹)」
リリーが魔法を発動した瞬間、周囲の気温がマイナスにまで下がる。
そして、リリーが囲っていた範囲に突如巨大な氷柱が無数に現れ、はるか下界のエセ神父に向かって、先を競うように墜ちていく。
氷の大きさは人くらいなのだが、数が尋常ではない。
落ちれど落ちれど次々に新たな氷柱が生まれ落ちていく。
まるでリリーが囲った空間だけ、晴れ時々氷柱って感じ。
確かにこれは狂ってるわね。
「人が考え事をしている時に攻撃とは紳士の風上にも置けないレディだ。」
《ちょっ⁉︎なんでいるのよ⁉︎さっきまで完全に下にいたのに!それにどうでもいいけど、紳士の風上にも置けないレディってなに?》
気づけばすぐ隣に神父。
振り向けば神父。
空を飛んでいる神父。
もういいよ神父。
しかし、驚いたのはどうやら私だけみたい。