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ドチャクソハゲ女


急に空間が歪むような、

歪んでいた空間が元に戻るような、

そんな違和感。(どんな違和感だよ!)

そして、鋭い風切り音。

これはどうやら、

「どうやら、時間が来てしまったようだ。」

念のため説明するけど、渚の背後に移動したため、攻撃は当たってません。

何度も言いますが、描写してないという苦情は受け付けておりません。


「またやったわね!」

攻撃の直後、すぐにサイドステップし、

背後に立つブレイドさんと距離を取る渚。

攻撃が来ると考えたのか、その動きは残像が残るほど素早かった。

一瞬前まで時間が止まっていたとは思えないぐらいの素早い判断だった。

あるいは、渚もこの手の魔法には疎いとか言いつつ、発動した瞬間の違和感を感じていたのかもしれない。

しかし、俺は渚のサイドステップをみて、世界を取れるサイドステップだなーとかどうでもいいことを考えていた。


「あんた、一体何者よ?この規模の魔法を一日に何回も、しかも簡単に使えるなんて。まるで、あの方の様だわ。まあ、あの方には遠く及ばないけど。それでも、普通は無理だわ、こんな芸当。」

目を見開き、純粋な驚きの表情を浮かべる渚。


「僕はただの通りすがりのおじさんだよ。ただ、異世界では制覇者をやってるけどね。」


なんでもない、という風に答えるブレイドさん。

しかし、そのなんでもない答えを聞き、今まで強気で勝気だった渚の表情が凍りつく。

そしてすぐに、信じられない者を見た様な顔になる。

「嘘でしょ!制覇者ですって?そんなはずは…、予言書ではこの世界を滅ぼす程の力を持つ者が、遠い異世界より現れるとしか書かれてなかった!二度見したから間違いないわ!なのに、なんで制覇者が現れてるの?予言は外れたの⁉︎」

「予言したのが誰なのかは知らないけど、予言自体は当たっているよ。だって、制覇者って世界征服を生業にしているジョブだからね。フリーザー様には親近感を憶えるよ。」

なんだか物騒なこと言ってるよこの二人は。

世界を滅ぼす?

世界征服?

話が突飛すぎて頭がコンフューズしぱなしだ。

それはおそらく、読者様も同じだろう。

なんだよ、世界征服が生業って。

今時の幼稚園児でも言わないぞ!それに ー

「予言ってなんだよ⁉︎最初の方にも言ってたけどもさ。その予言とやらの所為で死にかけた俺としてはきちんと説明して欲しいっていうのが、願いであり、きちんと説明するのがあんたの義務だと思うね!」

あっ!口だけ動かせた!

「そうだねぇ、そうなのかもねぇ。確かに何も知らなまま死ぬのは可哀想だねぇ。それに私は最初から、説明してから事に取り掛かろうと言ったんだ。神父さんに止められたけどね。」

うーん、中々神父さんの名前出てこないな。

まさか、仲間にまで神父さん呼ばわりとは。

これは案外、最後まで名前でないパターンかもしれないな。

俺としては少し名前が気になるが。


「でも、やっぱり説明しとくよ。私としてもその方があんたを殺す大義名分を得た、という実感が湧くと思うからさ。」

うむ。

此奴、最初からなんの迷いもなく殺しにきていた気がするが、あれでも遠慮していたのだろうか。

「そうしてくれると助かる。自分が殺されることに対して納得はしないし、大体の内容は今までの会話から予想してるけど、ちゃんと聞きたいんだ。その後で、どうするか決めよう。」

「いいよ。そうしましょう。でも、何処から話したもんかねぇ〜。あんまり深いとこ話すと、うちらの組織の事に必要以上に触れてしまいかねないから、ここら辺からかねぇ〜。」

そう言って渚が語り始める。


「むかーし、むかし、今からおよそ、2015年前くらいのこと。つまりは西暦元年。そのころ世間ではキリストがどうたらこうたらしていたそうな。

そんな中、歴史上には一切現れていないが、確かに存在していた預言者がいたそうな。名前?そんなの私が知るかい!歴史上には現れてないって言ったじゃないか!黙ってお聞き!

ゴホンッ、その預言者は、死ぬ前に一冊の本を書いていたそうな。

その本はウチらの組織が偶然入手したもので、その本には様々な予言が書かれていたそうな。

ウチらの組織は約2000年もの間、予言書の予言が悉く当たる様子を見守ってきたのだそうな。

そして、その予言書の最後のページは一部損傷があり、読めない部分があるが、そこには確かに地球滅亡の予言が書かれていて、その予言の一部が


”遠い異世界より、第二、第三の神の子来たる。これら、偽りの世界を滅さん。第一の神の子猛り狂い、創生の息吹が世界を包みこむであろう。”


で、この最後の予言が当たってしまえば、世界が滅びてしまう。世界を守るために立ち上がらねば!

こうしてウチらの組織は世界滅亡阻止という揺るぎ無い正義の元、世界を守るために闘うことを決意したのであった。」

それで、今に至ると。そういうことか。なるほど、なるほど。それなら納得 ー

「納得できるかいっ‼︎」

卓袱台があったらひっくり返してるぞこれは。


「予言の書が本当に存在してるのは認めるとしよう。今まで魔法とかでてきて、予言の書は信じないというのは頑な過ぎるからね。

だが、しかし、バット!

今の話の何処に俺が殺される理由が有ったんだ‼︎

一言も俺の名前出てなくない?

それに世界を滅ぼすのは異世界からきた奴らだろ?

俺地球生まれの地球育ち!根っからの地球っ子!それに異世界どころか国外いや、県外にすら行ったことない!

そんな俺が地球を滅亡に追い込むわけない!

どんなバタフライエフェクトだよ!

もし俺の行動で本当に世界が滅びたのなら、それは俺の所為じゃなくて、間違いなく悪魔か神様の仕業だろ!それか妖怪の仕業だろ!」


一つ残念なのは、主導権が口にしかないらしく、身振り手振りで訴えることができないことだ。

さっきの魂のシャウトも、これでは2割減と言ったところか。

「確かにあんたの名前出てないね!

渚、びっくり☆」

今の効果音はキャルン☆だ。このどちゃクソハゲ女が!

殺意沸いた人は俺の同志だ!仲良くしよう。


「てめっ!なんの確証もなしに俺らを殺そうとしたのか?」

「と言ったら?」

楽しそうに笑う渚。お前、こんな顔もできるのか。少しだけ可愛いと思っちまったぜ。

「主人公権限でお前の外見をめちゃくちゃにしてやる!」

脅しではない。本気だ。

「そいつは困るねー。まあ確証があったか無かったさで言うとあったさ。あんたら一月前ぐらいから変な夢を見始めただろ?

その夢は異界の奴らがこちらの世界にチャンネルを合わせる準備の影響で見たもんさ。ウチの神父さんが言ってたから間違いないよ。

予言で敵は異界から来るのは知ってたからね。異界からこちらの世界に干渉しようとしているとこを探すと君たちだった、というわけ」

それだけ神父さん信頼してるなら、名前で呼んであげて。

「それだけで決めつけるのは少し早計ではないか。他にも異世界からの干渉はあるだろ?」

分からんけども。


「いやいや、異世界からの来訪者というのは数百年に一度あるかないかのことなのよ。

それこそ旅行気分ではないさね。失敗したら混沌行きということもあると聞くし…。それに二箇所同時となると殆どありえない確率になるわ。

でも、ここで実際に起きた。これは間違いなくあなた達が予言に関係していると考えるに足る事象よ。」

渚の喋り方のブレがすごいです。まったく定まりません。修正は面倒臭いのでしません。あれっ?渚こんな喋り方だったっけ?と思った方は自分の記憶力に自信を持っていいと思います。


「むっ、そうなのか。それではこの話は納得するしかないようなので納得しよう。

でも、俺たちまで殺すことなく無い?薄情だけど、ブレイドさんだけ殺せばいいのでは?俺はたまたまブレイドさんが選んだ電波塔だったってだけで、完全に巻き込まれただけだよね?

なのに殺すの?そっち一応正義の組織だよね?」

さぁ、どうだ!良心に訴えられる気分は!罪悪感でいっぱいだろう!


「実はそーでも無いから困ってるんだよね。

一つ大人の私からアドバイスというか、世界の真理を教えよう。世の中にはね、たまたまなんてないんだよ。何かが起きた時には必ずなにかしらの理由、原因、源、根本があるもんなのさ。

理由もなく起きた出来事なんて、それこそ魔法だよ。世の理に反してる、いや、反してるというより超越してると言った方が適切かな。とにかくそういうことで、結局なにが言いたいのかというと、君たちはたまたま電波塔に選ばれたのではないということ。

必然的に、いえ、あなた達しかありえなかったのよ。だから、こっちも早くから確信が持てたし、準備も出来たって訳。」

「それは一体どういうことだよ⁉︎」

俺はたまたま電波塔に選ばれたのではないのか?

「詳しいことは私よりあんたの中に入っている奴に聞きな…、とは言ってはみたものの、私もそろそろ仕事終わらせないと神父さんに怒られそうだから…」

何故か薙刀を構える渚。

その行動を不審には思いつつも、今はトーク時間だから杞憂だよね!とタカを括る水樹。

ヒュッ‼︎

気付くと体が勝手にバックステップ。

その刹那、さっきまで頭があった場所を薙刀が残像を残す程の勢いで通る。

その勢いたるや、真夏、海、周りには女子、熱中症なのか、興奮なのか分からないほど熱くなった頭で、視界を閉ざされつつも頼れるものは、周りの助言のみという過酷極まりない状況で振り下ろされるスイカへの全力の一太刀に匹敵する程である。

例えが下手過ぎてわかりずらいだって?

まったく、いい文書ばっかに触れるから汚ない文書は読めなくなっちまうんだよ!もっと汚ない文書に慣れやがれってんでい!

…ごめん。なんか悲しくなってきた。


「ちょー!いきなりなにしてくれてんのおたく!今のブレイドさんが躱してくれなきゃ完全に天国行きの攻撃でしたよ!」

俺としてはまだまだ聞きたいことが山程あるのだが。

「私も話の途中で悪いなーとは思ってるんだよ?でもどうやらあっちもドンパチ始めたったぽいから、こっち早いとこ終わらせて加勢に行かないといけなくなったってわけ。」

ごめんね♡っとウインクしてまだ空中にいる俺に向かって飛んでくるツルハゲ尼僧。輝いてる〜!

「それって、どういうこと ーー」

台詞の途中、しかも主人公の台詞の途中。

何か得体の知れない光の束が水樹の顔の横を通る。

ドドン波よりはデスビームに近い細めの光線だ。

何事だと思い、渚が今にもその薙刀でもって俺の胴を貫こうと突撃してくる最中、光が飛んできた方に目を向ける。光が飛んできた先。

そこは丁度、水樹たちが始めにワープしてきた場所、つまり神父の格好をした全身刺青野郎が居ると思われるところだ。

あんな遠距離から狙ってくるとは、やれやれだぜ。


なんてスカしてる場合じゃ ー



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