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序章 ドゥリーム

「・・・ああ、またか。」

 そこは、荘厳で威厳のある大広間。

 古代ギリシャさながらの八本の巨大な白柱が、純白の大理石で出来た床と、こちらも大理石でできた漆黒の天井とを威風堂々と支えている。


 その白柱は広間を半分に分断している深紅のカーペットに沿うように等間隔で並んでいて、壁にはいくつもの四角いくぼみがあり、そこに自然界ではあり得ないほど深い蒼の炎が揺らめきながら中に浮いている。


 そして、少し目線を上げれば規則的に、一つとして見覚えのない国旗のような物がずらりと並んでおり、広間全体に厳かな雰囲気を与えている。


 もちろん天井には、中心に巨大な水晶を軸とし、周りに煌びやかな細工が施されたシャンデリアが設置されており、心地良い光を投げかけてくる。


そんな厳かな雰囲気漂う大広間の奥。

深紅のカーペットの先。

俺のちょうど真正面。

五段程の幅の広い階段の上。

百歩譲っても玉座とは言いたくないような、明らかに座り心地重視なピンク色の”ソファ”もとい”玉座”。


 その”玉座”に余りにも似合わない、ドラキュラ伯爵よろしくな、襟高な黒のマントを羽織った’’そいつ’’はいつもと変わらぬ姿勢、変わらぬ雰囲気で、高々と足を組み、こちらを静かに見下ろしていた。(ふぅむ。しかし、悔しいが様になっているな・・・。ソファに座ってさえいなければな‼確かに、やたら宝石を散りばめたゴツゴツの椅子より座り心地はいいだろうよ。いいだろうけども、部屋との不釣合い感がもう止め処ねーよ!)


 外見はどうだろうか。二十代後半だろうか。

 堀の深いところを観るとヨーロッパあたりの人に見えないこともない。

 髪型は、左目を隠すように伸ばした黒の長髪を後ろで縛っている。

 そして、瞳孔がまるで爬虫類の様に縦長で、それでいて知性と威厳を感じさせる深い蒼色の目をしている。


 うん。間違いなく人間ではないだろうな。エルフかなんかか?

 ”ソファ”さえ除けば、ザ・魔王の風格漂う”そいつ”。

 テレビなどでも一切見憶えのない”そいつ”。(こんな特徴的なやつ、一度みたら忘れねーしな。)

よって、

初見、

初対面、

お初にお目に掛かります、

ナイストゥミーチュー!な”そいつ”(と言っても、もうこの夢はここ一ヶ月見てるが)。


 そんな奴がなぜ中三になってから毎日、正確には4月1日から一ヶ月連続で俺の”夢”に俺の許可なく登場しているのだろうか。(正直に言って、自分が特別な存在に思えて仕方ないのだが。)


 しかし、毎回登場するくせに、何を話してるのか一切分からないということで、最近はイライラしかしなくなった。

 始めは、英語の様な言葉を話し、次はフランス語、次はポルトガル語という感じで、どうやら毎回違う言語を話しているようなのである。

 それならまだしも、通じていないとみるや、表情を変えずおもむろにスッと手を前に伸ばし、フィンガースナップ。

 そこで、俺はやっと金縛りから解放されるように夢から覚める訳だが、その覚める時間が毎回朝の6時半。


 うん。中途半端‼もっかい言わせて。中途半端‼友達以上、恋人未満。帯に短し襷に長しetc,etc。

お陰で、

お陰様で、

誠にありがたいことに、

二度寝してギリギリの登校がエブリデイじゃいコラー‼

 生徒指導の先生にもバッチリ顔覚えられたし、どう落とし前付けてくれるんだオイ‼

 俺様のヘル・ファイヤーで燃やしてやろうか?

ソファを。(おっと、つい熱くなってしまった。Be cool,Be cool)

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