プロローグ
昔々、といっても数百年ほど昔のことです。
あるところに、魔王と呼ばれる少年がいました。
魔王は剣を振るい、魔術を使い、人間をどんどん殺しました。
気が付けば村が一つ、また一つと壊滅していきました。
魔王討滅に向かった騎士団はことごとく返り討ちに会い、魔王を倒せる人間は誰一人としていませんでした。
当然神様は何もしてくれません。
下界で起きたことは、下界で済ませる。
それが世のルールなのですから。
ある日、勇者を名乗る女戦士が魔王に立ち向かいました。
その力は魔王と互角、いえ、それ以上でした。
戦いは数日にわたり行われ、ついに勇者の剣が魔王の心臓を貫き打ち取りました。
ですが、戦いのときに負った傷で勇者も倒れてしまいました。
そして時代はわたり、新しい魔王の物語が・・・・・・
カエデはそこまで書き、書いている途中の紙芝居をビリビリッと破った。
これは、今のイオには見せてはいけない気がした。
「お腹空いた・・・・・・」
ぐーとなったお腹を押さえ、カエデは冷蔵庫の食べ物をあさる。
時計を見ればもうじき夜だ。
これを食べたら少し仮眠を取ろうと考える。
そのあとは、起きられたら『あれ』を探しに行かなければならない。
猫さんと魔王を助けるために。




