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2.実験事案

(まずは、限界を見極めるか・・・・・・。地中から吸い上げてみるか?)


腰を下ろして、地面に手をつく、しっとりとした湿り気を手のひらに感じつつ、『水分』を吸い上げるイメージをする。

具体的にはバキュームで思い切り吸い上げる感覚か。


「ほぉ」


思わず感嘆の声を上げてしまった。

龍之介の手のひらを中心に乾きの輪が広がっていく。

よくよく見れば、地に生えた雑草の水分も同時に吸い上げているようだ。

吸い始めてからおよそ5分。依然として限界は感じられない。


「おいおいマジかよ」


広大な森の中で、ただその1点が異様な渇きを覚えていた。

まるで砂漠。大地は渇き、雑草は風化し、木々に葉は一つも無い。


 その輪が更なる広がりを見せる中、龍之介に異変が起きた。


(埋まった、のか?いや、これは・・・・・・)


水分をこれ以上必要としないのか、身体への吸収が止まった。

と同時に、驚くべきことに第二の血流、"オーラのようなもの"に吸収されている感覚がある。

"オーラ"(なんなのかよくわからないので一旦オーラと仮定しておく)自体に変化は見られないが、脳がそういう状況だと理解させてくる。

どうやらこの能力の原因は、このオーラにあるようだ。


(良くも悪くも俺の一部ってことだな。なんなのかは未だにわからんが)


 これ以上ここでやるのも酷な気がして、場所を移すことにした。

さっきまでいた開けた場所から、数分歩いたところで再び腰を下ろす。

地面に手を当て、『水』と念じれば、吸収が始まる。

現在体の方は水分の入るところが無いのか、自動的にオーラが水分を吸収している。

この場所で5分、更に移動して5分と場所を転々としていく。

途中で用を足した分を吸収したりしていたら、結局限界が見えるまで10箇所以上も移動しなければならなかった。

体に入った量を考えるとオーラの吸収容量は凄まじいものがある。

限界はなんとなくだが感じ取ることができた。

口の中に水を貯める感覚に若干ではあるが似ている。


(そろそろか?しかし限界を超えるとどうなるんだ?試しにそのまま吸収してみるか)


 限界に到達したのを理解した瞬間だった。

止めずにそのまま吸収しようとした掌から水が溢れ出した。

あわてて地面から手を離したら止まったので、それを見て龍之介はなるほど、と結論を出した。


(確かに、容量より多く注げば溢れるのは当たり前だな)


 これで案件が1つ解消された。

この能力に吸収限界は有り、限界以上に吸い上げても、オーラや体内には取り入れられない。

 ここでふと疑問に思うことがあった。先ほどの現象。

取り入れられずに吸収が止まるのではなく、吸収した水分が溢れ出した。あれは口に必要以上に水を貯めた時に零してしまう感覚に似ていた。

ということは一度は完全に吸い出した後に、溢れているということ。

ならばと思い立ち、手を正面にかざす。指鉄砲というのだろうか。

親指を立て、人差し指を伸ばす、誰もが一度はやったであろう形に構える。


(何か景気づけに言うか)

『リリース』


言うと同時に貯めた水分の放出をイメージした。

具体的に言うとホースの先を指で潰して威力を上げるあれである。

そして吹き出す水の・・・・正に弾丸、いやレーザーに近かった。

ブシュゥという射出音と共に発射された水は圧力で恐ろしいほどの威力になり、指を軽くずらしただけで、いとも容易く木を薙いだ。


「・・・・・・」


唖然呆然の吃驚状態で固まった。おそらくではあるが、放出する水の配分を誤ったようだ。

感覚にして三分の一程を放出したのだが、ホースの先を潰すイメージはやりすぎだったらしい。


(だがこれで自衛の問題は解決だな)


正直装備も何もなしに森を彷徨うのは不安でしょうがなかったのだが、自己防衛手段が確立されたのでかなり気持ちが落ち着いた。

しかし、とここで再び思考の海へと身を投げる。


(こうも水を吸い上げては森に良い事は無いだろう。要は圧縮して放出できれば自己防衛には何でも使えるわけだ。だとすれば空気でも試してみるか)


 適当に腕を伸ばして掌を上に向ける。これで何が吸えるかも一緒に解決していこう。

そう思いながら『空気』と念じる。すると、呆れるほど簡単にオーラが空気を吸収し始め、すぐに空いている容量の半分ほどを吸収してしまった。

では次、『水素』と念じてみる。が、これの結果は微妙なところだった。

吸えている感覚はあるのだが、量がかなり少ない。

流石に水素を空気中からより分けて吸収するのは時間も労力も必要なのだろうか?

ついでに『酸素』も試してみたが、結果は水素と似たりよったりだった。


(対象を細かくすると効率は下がるみたいだな。そしてどうやら容量はどんなものを吸っても全て一括で管理される)


 その後に試したのは、別々に吸ったものを同時に放出できるか、放出の自由度はどの程度かといったもの。

 別々に吸ったものを同時に放出するのは簡単だった。ファストフード店のオーダーに似た感覚で放出するものを選択し、そのまま『リリース』と念じるだけでいい。

ちなみに龍之介はこの『リリース』というのが気に入った。


 そして驚きなのは、放出の自由度である。

当初、この放出は一度出したらそれで飛んでいき、威力や量を調節するだけだと思っていたが、違った。

 龍之介のイメージに沿って、形状維持までできるのだ。

最初に水をレーザーにした時は、龍之介の中のイメージがホースのそれだったため、放出したあとのコントロールまで考えが及ばなかった。


 きっかけは、空気の弾を撃っていた時である。

空気弾は最初、圧縮しただけでは中々良い威力が出なかった。

そこで考えに考えを重ねて、発射する弾の形を円錐状にイメージしたり、最終的には銃弾さながらに螺旋回転を加えてようやく満足できる威力が出せるようになった。

ここまでイメージ通りに操れるなら、出して終わりじゃなく、そのまま維持できないのか、と思ったのがきっかけである。

 こうなると、龍之介も高校生といえど、まだまだ子供である。

いつの間にか水圧チェーンソーなる凶器まで生み出し、遊んでいた。

筋肉質のイケメンが、無邪気に水と戯れながら木を切り倒すのはかなりシュールと言える。


 そうして遊んでいるうちにもわかったことがある。

一つは一度出しても、形状維持したものはもう一度吸収できる。

もう一つは、オーラに溜まった水分などは任意に体に吸収させることができる。

最後に、オーラに吸収するように念ずれば、体に空きがあってもオーラの方に吸収できる。


 以上のことが分かる頃には、すっかり夜は明けてしまい、朝日が森を照らすのを眩しそうに眺める龍之介だった。


「これからどうしよう・・・・・・」



次は戦闘を入れたいですね・・・・



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