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20/21

20:2人で1人

 ホントのこと。

 何より、正直に打ち明けてくれている、杜雄君の態度が嬉しい。

 あたしのことも、ちゃんと気遣ってくれて。

 笑顔をあたしは浮かべた。

「――紫音ちゃん」

「分かりました。杜雄君のことば、ウソとはとても思えないもの。――あたしも悪い点、たくさんありました。だから……」

 今こそ告白しなさい!

 紫音!

「あ、たしと。お付き合いしてくれますか?」

 ひゃ~! 言っちゃった!

 顔を見られないよ~。

「ありがとう。――こんなオレで良ければ、喜んで」

 アタマから、湯気が立ってたと思う。

 受け入れてくれた。

 あたしだって良くないところ、たくさんあるのに。

 外見だけで決め付けてたあたし。

 カッコ良さばっかり追及して、相手の内面を感じようとしなかったあたし。

 何より。

『思いやる』気持ちを、持っていなかったあたし。

「あたしこそ。ありがとう……」

 今度はちゃんと、杜雄君の顔を見られた。

 ――微笑んでくれてる。

「じゃあね? 渡したいものがあるんだけど……」

「はい」

 何だろう?

 バッグの中から、杜雄君は緑色の小箱を取り出した。

 そして、すっとあたしの右手を取ると、

「受け取ってください。彼女の紫音ちゃん」

 ――これって、もしかして。

 そっと小箱を開けた。

 まばゆいばかりの、シルバーリング。

「これ……」

「花園仕込み。アイツたいしたもんでね? この前の一瞬で、紫音ちゃんの指のサイズを見て取ってたんだ。だから、ぴったりだと思うよ」

 言いながら、杜雄君はあたしの右手、くすり指にリングを通してくれた。

 ホントだ。ぴったり。

「恥ずかしいことに、お揃いだったりします。オレも。こんな感じ」

 同じく、自分の右手くすり指に、リングをすっと通した。

 ひゃ~! どうしよう!?

「――いいんですか? もらっても?」

「もちろん。あの時、花園に引きずられてショップまで行って。お説教食らいながら選んだんだ。

『本当に好きな相手だったら、これからはこんなことのないように。しっかり自分で買えるようになれ』

って言われてね」

 そうなんだ……。

 現金な感じだけど、ちょっと花園ちゃんがカワイらしく思えちゃう。

 杜雄君の相談役だけあるのね。

 親しみの感情がちょっと湧いた。

「ありがとう、杜雄君。あたし、信じ続けていて……。ホントに良かった……」

 涙が頬を伝ったのを感じた。恥ずかしいけど、止まらない。

「これからは。オレたち、『2人で1人』ってことで。よろしくお願いします」

「あたしこそ。ありがとう!」

 ――嬉しい。暖かい想い。


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