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17/21

17:大丈夫

 少し重たい足取りで、あたしは電車を降りた。

 改札に向かって歩く。

 どきどきしっ放し。

 あ、杜雄君。

 あたし、40分も前に着いたのに、それよりもずっと早く待っててくれたんだ。

(信じる材料、たっぷりじゃない)

 そんなことを思う。

 iPodで音楽を聴きながら、うつむいてリズムに合わせ、足をとんとんさせてる。

 改札を抜け、杜雄君のところまで行った。

「杜雄君」

 あたしの声にびっくりして、慌てて杜雄君は顔を上げた。

「驚いた~。ゴメンね、気が付かなくって」

「どんな音楽なんですか? 今日は?」

 大丈夫。あたしちゃんと話せてる。

「今日はユーロビート。紫音ちゃんでも聴けるよ」

「聴いてもいいですか?」

「うん」

 イヤホンを借りる。

 音楽が流れ始めた。

「あ、こう言うの聴いたことあります。『ユーロビート』って言うんですか」

 スピード感のある電子音と女性ボーカル。FMかTVの番組中でだったかな?

 あたしも聴き覚えがあった。

 ちょっとの間、借りることにする。

 このアップテンポな曲たちが、あたしに勇気と希望をくれそうだったから。

「気に入った?」

 杜雄君がやさしく訊いてくれた。

「はい。普段聴かないから、新鮮です」

「じゃ、Rに焼いてあげるよ。本当は著作権に引っかかるけどね」

 いたずらっぽく笑ってる。

 この笑顔、信じたい。

「行こうか? また混み始めちゃうといけないし」

「はい」

 イヤホンを返す。


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