14:『家族みたいなもの』?
でも……。
「何てメール、打ったらいいか、全然思い浮かばないよお」
だって、アタマの中が整理付かないんだもん。
「じゃあもう、こっちからかけちゃおう? その方が手っ取り早い」
「もっと出来ない~」
紗枝は天井を仰ぐと、
「わかった。あたしからかけてあげる。ケータイ貸して」
「うん……」
情けないけど。
紗枝に頼るより、もう方法が無かったの。
「――もしもし? そう。紗枝。ちゃんと聞いて。一体これ、どうなってることか説明してよ。――メールじゃいつになるか分からないでしょ? 今、説明してよ。紫音? 杜雄君のせいで、泣き崩れてる。今もいるの? その、花園ちゃんって。うん。代わる? 分かった。いいよ。
――もしもし? 端的に訊くけど。あなた一体、杜雄君の何なの? 彼女なの? だったら二股だよ? ――『特別な関係』って何? 全く説明になって無い。
――うん。じゃあとりあえず、それでうなずいてあげる。彼女じゃないのね? そこだけはっきりさせて。――分かった。杜雄君はフリーね? うん。じゃあちゃんと、杜雄君から紫音にメール送らせて。そこだけは譲れないから。分かった? うん。じゃ」
あたしは涙ぐんでただけだけど、紗枝、強い。
「ありがとう、紗枝。――何て言ってたの?」
ケータイを受け取りながら、訊いた。
「とりあえず確実なことは、あの花園ちゃんってコは彼女じゃないって。それと、杜雄君は今、確かにフリー。付き合ってるコはいないみたい。ただ、花園ちゃんは『友達』じゃなくて、『特別な関係』って言ってた。それを訊いたら、『家族みたいなもの』って答えてたけど。一応それで、納得してあげたわ」
あたしは『?』マーク。
「『家族みたいなもの』って……、何だろう?」
「うーん。こればっかりは分からないわね。メールを待つしかないかな。ゴメンね、力になれなくて」
「ううんううん。すごく助かった」
あたしは首を横に振った。
紗枝だから、ここまで訊き出せたんだもん。
「まだ。まだ望みは持ってていいのよね?」
「あったりまえ。安心して。あたしが付いてる」
こくりとあたしはうなずいた。
ありがとう、紗枝。