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8話  学園の怪談

 青春達が通う学園、虹色学園。

 そこにはとある噂があった。


 今は使われていない、旧校舎。そこには古くから悪魔が住み着いていると。

 いつまでたっても旧校舎を取り壊さない理由は、悪魔に呪われるからと伝えられていた。

 教員達はただの噂と思っている。だが、地域の住民達からの反対もあるためそのまま残してあった。

 念のため、旧校舎は立ち入り禁止にしていた。立ち入った者には罰則を与えると強く注意して。


 そんな折、先ほどの悪ガキ三人はこの旧校舎に立ち寄り、午後の授業をサボっていた。

 噂など、これっぽっちも信じてないのだ。


「へへ。いいサボり場だなここ。もっと早く知りたかったぜ」

「さすが茶谷!」


 茶谷とはリーダー格の坊主だ。


「旧校舎は幽霊だの、悪魔だの言って立ち入り禁止だもんな。おかげで教員もろくにこねえ」

「でも、見回りはくるんじゃ?」

「来ても一人、それもその辺チラッと見るだけだぜ。おそらく大人連中も怖いんだろ。ここが」

「「だっせえ!!」」


 ケラケラ笑ってる三人。


「しかし、闇野の野郎はいじめがいないよな。殴る蹴るじゃ無反応。効いてないんじゃないかって、思うし」

「我慢強いのかなんなのか知らねえが、反応ねえのはつまんねえよな。さすがに今回の水かけは戸惑ってたけど」

「そういや、あの女なんだったんだろ。あんなヤベーの味方につけられると……」


 黄緑の暴走行動に、さすがに恐怖を感じたようだ。まあドアを投げ飛ばす狂人だ。無理もない。


「じゃあ手をだすのやめるか? そうなると、またあいつに女が近寄るかもよ。例えばお前の好きな奴とか」

「そ、それは嫌だ!」

「だろ?」


 どうやらこの三人の想い人は、青春に好意があるか、もしくは仲が良いのかも。

 

 和花を助けたのがきっかけかもしれないが、元々嫉妬で青春が気にいらなかったらしい。

 そしていじめのターゲットになったことで、想い人は巻き込まれるのを恐れ、青春に寄らなくなる。

 これで取られる心配はなくなる。故にいじめをやめるという選択肢がこの三人にはなくなってたようだ。


 理由があろうがなかろうが、いじめは最低な行為。

 そんなことしてその想い人が、こいつらを好きになることなどないというのに、それがわからないのだ。

 巻き込まれるのを恐れる子からしたら、こいつらは恐怖の対象だろう。


「それによ、あのゴリラ女はうちの担任になんとかしてもらえばいいんだよ」

「なるほど!」

「ちょっと良い子のフリすりゃ簡単に騙されるからなあのバカ。不良が捨て猫拾う理論だな」


 要するに普段悪い奴が、ほんの少し優しさを見せると良い奴なんじゃないかと勘違いしたりする理論らしい。

 こいつは担任には素直な面見せたりしてうまくやってるようだ。


『こんなとこにいたんだ。……都合いいな』


「ん?」


 茶谷は人の気配がしたため視線を動かす。

 そこには桃泉和花ももいずみのどかの姿があった。

 こいつらが元々いじめていた女の子だ。


「お、なんだよお前もサボりか? へへへ。まあこっちこいよ」


 ニヤついている。

 ……実は茶谷、和花の事が好きだったのだ。

 好きな子ほどいじめるって子供みたいな理由で、彼女を最初いじめさせてたのだ。


 そんな時、彼女を庇う青春が現れた。当然、和花は青春を信頼するだろう。それが茶谷の逆鱗に触れたわけだ。

 ……みっともない事に。


「ねえ、知ってる? この旧校舎の噂」


 和花は小さい声で質問した。

 茶谷は答える。


「あ? 悪魔ってやつ? 下らねえ。信じてんのかお前」

「実はね。調べたところ、悪魔さんには対価を与えれば、願いを叶えてくれるって、言い伝えがあったの」

「そうなのか? ふーん嘘くせえ」


 話半分に聞き、バカにするような態度の茶谷。

 和花は続ける。


「噂、本当だったよ。今日、闇野くんが水かけられた後、試しにここに来たんだ。すると……」


 三人は急激な寒気を感じた。

 今日は半袖でも暑さを感じる気温だったのに、急に真冬になったかのような感覚……


「会えたの! 悪魔さんに!」


 和花の影から突然大きな腕が飛び出す。その腕は悪ガキ三人に向かって……


「「うわああああああ!!」」





 ──翌日。


 青春と黄緑は共に学園に登校中。


「ふっふーん」


 ルンルン気分の黄緑。

 二人きりの登校がよほど嬉しいらしい。


 ちなみに、昨日も黄緑は自分の家に泊めたのだ。

 自宅に帰ろうとする青春を半ば無理やりさらうように。


 ……事案になるぞと友人の桃泉姉に言われてた。

 だから共に登校してるわけだが……


「お姉さん、さすがに今日は自宅に帰るよ」

「え!? なんで!?」


 何故聞く。と、言いたくなる青春。自分の家に帰ることを疑問に思う方がどうかしてる。


「許可もらってるとはいえ、そんなに厄介にはなれないでしょ。お姉さんの家に」

「気にしなくていいのに」

「そもそも、僕にも親いるんだからね? 帰ってこいとも言われてるし」


 黄緑は人差し指を立てる。


「もう1日……ダメ?」

「ダメ」

「じゃあワタシがそちらにお邪魔するのは……」

「ダメ」

「うう……。じゃあまた今度来てね……」


 涙目でウルウルする黄緑。

 少し揺らぐ青春。


「こ、今度ね……」


 青春はなんだかんだ甘いというか、チョロいというか。

 黄緑の演技だと言うことに、彼は気づいてない。


 黄緑は小さくガッツポーズ。


「でも、今日帰っちゃうなら昨日、青くんにイタズラでもすればよかった……」


 はあ……とため息。

 青春は少し離れる。


 (イタズラって何? 落書きでもする気?)


 そんな事ではないだろう。

 ……黄緑が何する気だったかはご想像に委ねる。


『おはよう。闇野くん』


 青春は振り向くと、そこには桃泉和花の姿があった。彼女が挨拶してきたようだ。


「……おはよう桃泉さん」


 青春は挨拶を返すが、少し違和感を感じた。

 今まで、彼女とさほど会話をした覚えはない。朝の挨拶など初めてされた。


 (まあ、誰かに挨拶されることなんて、彼女に限らずないけどね)


 とはいえ、入学当初はわりとされていたのだが。顔だちは良いし、女子からの評判はよかったから。


 和花はニッコリ笑う。青春自身、初めて見た。とてもかわいらしい。

 ……だが、どことなく闇を感じた。


「もう、大丈夫だよ闇野くん。あなたの平穏は守られたから。これからは……仲良くしたいな」


 ギュッと手を握られる青春。

 違和感しか感じなかった。彼女に何かあったのだろうか……


「こら! お姉ちゃんの許可なく、青くんの手を握るな小娘!」


 黄緑が叫んだ。

 ……話がややこしくなるから黙っててほしいと青春は思った。





 朝のHRが始まる。

 すると担任のマッチョ教師が言う。


「お? 茶谷達休みか。昨日も昼からいなくなるし……仕方ない奴らだな。サボりかあ?」


 (休み? 昨日から……?)


 青春は、和花の席を見る。

 彼女は笑っていた……


 ――青春は察する。


 (彼女が……何かしたのか?)



 ――つづく。



「へーふーん。悪ガキ消えたんだー。でも助けに行くんだろうな青くん」


「次回 対価 あ、ヒルダみたいな?」



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