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最終回  闇夜の少年挽歌

 ――数ヶ月後。


「青くん! そっち行ったよ!」

「了解」


 青春は四鬼との戦いの後もこうして妖魔退治に勤しんでいた。四鬼が死んだところで妖魔が滅びるわけはない。今後も人を襲う妖魔を人知れず退治していくのだ。


 青春は待ち構えていた妖魔をナイフで切り裂き浄化。

 するといつものようにオカリナを奏でる。


 闇夜に聞こえるオカリナの調べ。それは妖魔達を震えあがらせる死の調べ。レクイエム。

 闇夜の少年挽歌が鳴るその時、妖魔は死滅すると言われていた。


「さすが青くん!」


 綺麗な女性が青春に抱きつき、頭をナデナデする。


 ――黄緑ではない。


 青春の姉の春火である。彼女も甦った後すぐに戦線に復帰、妖魔退治の仕事を青春と共にしていた。組織にまた属して。


 両親も記憶を取り戻し、すんなり帰ってこれはしたものの、一年ほど帰ってこれなかったため、留年となってしまったが、そこはいたしかたなかった。


「コーリちゃん。春春は青春くんにベッタリでござるな」


 秋葉がニヤニヤしながら遠目で見てる冬黒を煽る。二人も共に妖魔退治をしていたのだ。


「自分は別になにも」

「嫉妬してるんでござろう?」

「闇野が一番なのは仕方ない事ですし。……せめて二番にはなりたいところですが」

「情けないでござるなあ。弟だろうが奪ってやる! ――って気概はないでござるか?」

「自分は春火さんが幸せならなんでも構いません」

「かっこつけて~」


 肘で小突いてくる秋葉に内心うざがる冬黒。


「あ、お、く、ん……」


 冬黒の後ろから妖怪……もとい、ヤンデレ化したお化けみたいな、狂喜の笑みを浮かべた黄緑が現れた。


「お姉ちゃんはワタシだけでしょ~あらあら~」

「何言ってるの黄緑ちゃん。青くんのお姉ちゃんはわたしだけど?」

「やかましいですわよお義姉さん。青くんはワタシのものなのですわよオホホ」


 あらあらではなくなぜかお嬢様口調に変わってる黄緑。

 春火が復帰してからというもの、彼女は青春とベッタリ。嫉妬の王たる黄緑は平静を保ってはいられなかった。

 実の姉だから……なんて考えは黄緑にはない。対象が犬だろうが虫だろうが、青春に愛情を与えられる存在には嫉妬するヤンデレあらあらお嬢様なのだ。妖猫ヒルダのよう……


「黄緑ちゃん、青くんに告白されたからって、いい気にならないこと」

「は?」

「お姉ちゃんとしては、青くんにそういうの早いし、黄緑ちゃんは一線越えそうだからさ」

「越えたっていいじゃん」


 越えないと嘘でもつけばいいのに、正直に自らの欲望を口にする黄緑。


「これだもん。やっぱ和花ちゃん辺りが青くんにはふさわしいかも」

「は? メス猫なんて側室で充分でしょ。頭沸いてるの?」


 ……青春の姉相手というのに、猫すら被れなくなっていた黄緑。青春の母にはうまく取り入り、猫被って気にいってもらえてるのだが、春火には通用しなかった。そのため素をだしていた。


「黄緑ちゃんはほっといて、遊び行こ青くん。こうりんも!」


 手招きされた冬黒は、飼い犬のように、即座に走って春火の前に来た。表情は無表情だが、内心ウキウキなのだろう。


「は、春火さん……じ、自分もお邪魔してもよいのですか?」

「もち。だって彼氏候補No.1なんだからね~」

「――!!」

「大きくなるまで一途でいてくれたらね」

「じ、自分は春火さん一筋です!」

「フフ。ありがとう」


 春火は冬黒の頭を撫でてあげる。それを見て青春は少しだが、膨れてるように見えた。

 あのクールな青春らしくない。姉相手にはやはりまだ子供、甘えたがりの子供のようだった。


「青くん嫉妬しててかわいい~」


 青春に頬擦りする春火。

 黄緑は歯ぎしり。唇からは血が流れる。


 青春と黄緑、今までと二人の関係は変わってないように見えるが、一応恋人同士という事にはなっている。秋葉だけでなく春火のガードもあるため、ほとんど一緒にいれないのだが。





 ♢





「あらあら~青くん。ワタシはご立腹」


 翌日の放課後、青春と黄緑は学校の空き教室にいた。黄緑に捕まり、青春はあすなろ抱きをされていた。


「ごめんね。あまり構ってあげられなくて」

「うっ……」


 尊さのあまり鼻血を垂らす黄緑。


「だ、騙されないよ! 奥さんほっておいて姉といちゃつくなんて! これは嫌がらせしちゃうよ! ただの嫌がらせじゃないよ? 性的……」


 青春は軽く黄緑の頬にキスをした。


「え?」


 あまりの不意討ちに顔を真っ赤にする黄緑。青春の顔も赤い。


「こ、これで……ゆ、許してよ」


 かなり照れている。おそらく勇気をふりしぼったのだろう。


「はあはあ……これはつまり、次のステップに行っていいってことだよね……」

「え?」


 きょとんとしてる青春。鼻息荒い黄緑は、青春がわかってようがいまいが関係なかった。


「青くん……いただきます」

「え? お昼?」

「そうね……ワタシにとっての……」


『青春くーん』


 邪魔な声が響きわたる。黄緑の天敵、メス猫こと和花の声……


「和花ちゃん」


 黄緑は青春を二度見した。今青春は、和花の姿を確認して、名前を呼んだのだ。前まで桃泉さんと呼んでいたのに。


「え? え? 青くん? なんで名前で?」

「なんでって、そう呼んでって言われたから。まあ仲良しだし」

「な、か、よ、し?」


 猫のような威嚇を和花にぶつける黄緑だが、全く気にした様子を見せない和花。


「青春くん。これからデートにいかない?」


 まさかの提案。それに意義を唱えようとする前に……


「いいよ」


 まさかの青春の了承。


「え? 青くん?」

「遊びに行くってだけだよ。和花ちゃんもそういう意図だろうし」


 ぐるりと首を回して和花を見る。

 和花は小さく舌をだして、可愛く黄緑を煽る。


「メス猫……ころ」

「キャー青春くん、襲われるから行こ!」


 和花は青春の手を取って走り出す。黄緑がまさかの出遅れ。そんなことをしては龍の逆鱗に触れるようなもの……

 怖いもの知らずに和花は強くなっていたようだった。


「この人さらいがあ!! 青春姫返せえ!」

「姫じゃないよ」


 クスクス笑う青春。

 二人はこういう風に仲良く喧嘩してるほうがいいのかもと、内心楽しんでいる青春。


 彼は彼で、魔性の男のようになりかけていた。


 黄緑と正式に恋人にはなったが、和花に諦める素振りはないし、青春を巡る恋の戦いは今後も続くもようだった。


 


 ♢




 冬黒光李。

 彼はそれからも組織で妖魔退治の日々を送る。一途に春火だけを想っていたため、心うたれた春火と、大人になってから結ばれたという。


 秋葉赤里。

 組織で働きつつもBL同人活動を成人して以降も続けたという。地味に復活していた伯父の尾浜は呆れながらも見守っていた。


 桃泉和花。

 黄緑と青春が付き合ってようが構わずアプローチを続けた。折れた青春と付き合えたとも、重婚したとも噂されている。皆様のご想像にお任せします。


 夏野……

「闇野ね」


 闇野……黄緑。

 ついに姉のポジションを保ちながら、青春と結ばれた彼女。その後も暴走を続けた。将来青春と結婚する事となるが、青春が大人になるまでいろいろと我慢できたのか、できなかったのかはご想像にお任せします。

 青春との間に相当な数の子供を生んだらしい。青春似の子供達も妖魔退治をしだす事になったらしいが、それはまた別のお話……


 闇野青春。

 闇夜の少年挽歌という異名を世界に轟かせ、妖魔の恐怖の対象に。その圧倒的強さは世界の妖魔退治の組織にも広まり、各国からスカウトの嵐だった。

 その美しい容姿からカルト的人気も出たが、黄緑のガードで女性はあまり近寄れなかった。史上最強の妖魔狩りと歴史に名を残し、闇野の血筋は妖魔退治のエキスパートとなった。

 一途に一人の女性を愛したとも、重婚したとも噂される。子だくさんではあったらしい。





 ♢




「メス猫ぉ!」


 青春と和花を追いかける黄緑。

 ――すると、青春は足を止める。黄緑も何かに気づく。


「お姉さん、妖魔が近くにいるよ」

「あらあら~わかってるわよ~。青くん、お姉ちゃんとのコンビプレー見せてあげようよ。妖魔にもメス猫にも!」


 腕をブンブン振るう黄緑に、笑みをこぼす青春。


「そうだね。じゃあ、一瞬で片付けようか」

「了解! ラブラブカップルに敵はなーし!」


 青春と黄緑は、大きくジャンプして妖魔を成敗した!




 ――闇夜の少年挽歌……

 ――完。

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