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21話  妖魔軍団と謎の影

 黄緑の快進撃は止まらない。


 その後も多くの妖魔が襲いかかってくるものの、全員相手にならない。

 秒殺秒殺秒殺。

 能力持ちも中にはいたが、黄緑に傷一つ負わせる事もできないでいた。


 倒された妖魔の数はざっと30体あまり。

 それだけ相手にしても、黄緑はろくに疲弊すらしていない。


 黄緑の能力は身体強化。

 パワーや速力の強化だけではなく、無尽蔵なスタミナ、魔力の質や量の向上まで可能。


 それゆえに疲れ知らずなため、数の暴力になど屈しないのだ。

 つまり、雑魚が何人束になろうが黄緑には勝てない。


 その事に気づいた下っ端の妖魔達が慌て出していた。子供みたいな背丈に浅黒い肌で鼻がとんがった、ゴブリンみたいな妖魔だった。


「ど、どうなってんだ!? 弱い方をまず、罠にかけたってボスはおっしゃってたろ!?」

「化け物じゃねえか!? おれらじゃ到底かなわねえぞ!?」


 残る妖魔は数えるほどしか残っていなかった。


 青春が確認した、廃ビルの妖魔達もこちらに合流していたにもかかわらずだ。


「ふん。どうせあんたら女だからと甘くみたんだろう? あたしらが始末してきたるわ」


 女の妖魔が言った。

 見た目は人間の女と大差ない上に美人だ。

 とはいえ妖魔だから危険な存在なのは間違いないだろう。


「姉御、奴は身体強化系……となるとおそらく魔力の属性は金か土ですぜ」


 声がキンキンと高く響く、手に翼の生えた青白い肌をしてる半人半鳥の女妖魔が言った。種族はハーピーと言った所だろう。


 青春や黄緑の特殊な力は魔力という、人なら誰しもが少なからず秘めている特殊なパワー。


 そんな魔力は全て属性がつく。五行と同じ、火、金、木、土、水。そしてそれぞれ相性がある。水は火に弱いなど。


 ちなみに青春はそのどれでもない特質三大属性の闇だ。

 こちらは闇、光、雷。これらもまた相性関係はある。


「金なら、火のあたい。土なら木のあんたで倒せばいいわけね」


 金は火に弱く、土は木に弱いからだろう。

 黄緑が本当にそのどちらかなら、片方とは相性悪いことになる。


「た、頼むぜてめえら。実力者の小僧を倒しに行った奴ら除けば、もう、おれ達しかいねえんだからよ!」


 うろたえてたゴブリン系の妖魔が言った。

 どうやら青春の元に向かった妖魔もいるようだ。


 女妖魔は見下すような視線を向ける。


「なに? あんたらはこないつもり?」

「いや、だってお前が自分で行くって……」

「あたいらに全部任せようって態度がうざいんだよ!」


 女妖魔は、目を見開く。

 するとゴブリン妖魔達は突然発火!


「うぎゃあああああ!!」


 全員一瞬のうちに黒こげ、断末魔をあげながら灰と化した。


 ハーピー型妖魔は焼け焦げた妖魔からの異臭に鼻をつまむ。


「あーあ、殺しちゃった。もう、ウチらしかいなくなっちゃいましたよ姉御」


 もうこの場には二人だけ。後はどこかにいるボスしかいないわけだ。


「所詮烏合の衆。いてもいなくとも同じ。強い方に向かった連中は始末したら戻ってくるだろうし」

「あの女より強い相手じゃそっちも殺られてるかもよ?」

「そん時はそん時だ。行くよ!」


 女妖魔とハーピーは黄緑の進行を食い止めるため出陣……


「えいっ」


 しようとする前に、二人の潜んでいた部屋にカワイイ掛け声をだしながら、扉を蹴り飛ばして侵入する人物が現れた。


 ――無論、夏野黄緑その人だった。

 怒涛の勢いで、奴らのアジトにあっさりと侵入してきたのだ。


「くっさ。なにこの匂い……」


 不快な表情を見せる黄緑。そして敵の女妖魔二人を確認。


「へえ、女か。でも残念ね。ワタシはありがちな物語みたいに、美人な敵だからって、情けかけたり見逃したりなんてしないよ?」


 容赦なくぶち殺すよと言いたげに、シャドーボクシングする黄緑。


「同性だ。そんなこと期待しちゃいねーよ。ま、死ぬのはてめえだけどなあ」


 女妖魔はハーピーに首を動かし、行けと合図。

 ハーピーは頷き、空を飛び、黄緑の頭上へ……


「空中戦とは、卑怯なり」


 黄緑はどこからともなく、金色のボールを取り出し、ハーピーに投擲!

 時速500キロオーバーな速度。


「げっ!? 危な!」


 突然の不意討ちだったが、なんとか回避するハーピー。


 ボールは天井をぶち抜いていった。


「当たるまで何発も投げるよ」

「ちい!!」


 ハーピーは黄緑めがけて突撃してきた。


 近寄って来るなら都合がいいと黄緑は思い、拳を握る。


(バカめ! あの小娘ハーピーに単純に殴りかかる気だな?)


 女妖魔は笑みを浮かべた。


(ハーピーの能力は受けた一撃を倍にしてはね返す反射攻撃だ! 渾身の一撃で来るなら好都合! 始末しろハーピー!)


 ハーピーは羽を前にだし、黄緑の一撃に備える。


 ……女妖魔もハーピーも、勝ちを確信しているだろう。

 だが、ハーピーの能力に穴があることに2人は気づいてなかった。


 倍返しは、あくまでも一撃を受ける必要があるのだ。


 ――何が言いたいかというと……


 その一撃で絶命したら意味がないって事だ。


「えいっ」


 黄緑の放つ拳は、ハーピーの翼と腕を貫き、そのまま腹部をぶち抜いた!


「ごばあ!?」


 ハーピーは大量の吐血。

 目は一瞬で白目を向く。


「わっ、汚な」


 黄緑は拳を手刀に変え、貫いてる右腕でハーピーの体を膾切りにした。


 よって、ハーピーはバラバラになり、消滅した。


「なんか拭くものないかな……」


 ついた返り血が不快だったのか黄緑は辺りを見回す。


「あ、ポケットテイッシュあったんだった」


 まだ敵は残っているのに、腕の血を拭き取りだす。

 あからさまに眼中にないと言った態度。


 ――残された女妖魔は冷静だった。


(ああも簡単に殺られたとなると、土じゃなくて金属性っぽいな)


 女妖魔は魔力を放出。

 すると周囲が熱気に包まれる。


「暑っ!」


 黄緑は急な体温変化に驚く。


 周囲の熱は火山の火口と思われるほどの高温高熱に囲まれる。


 そして女妖魔の足は人魚のように変貌、そして全身に溶岩か流れ出る。

 種族としてはラミアといった所だろうか?

 海ではなく、溶岩の海を泳ぐ人魚なわけだ。


「あたいのマグマで何もかも溶かしてやるわ」


 全身溶岩人魚。殴りかかればこちらの腕が溶ける、誰もがそう思うだろう。



「うわ、熱そう。さすがに素手じゃ殴れないかな?……そういえば青くんが言ってたっけ、ワタシは体を硬質化できるって」


 黄緑は自らの腕を黄金色に変色させた。まさに金属のよう。


(やはり! 金属性! 勝ったな)


 女妖魔は余裕の笑みを浮かべた。

 属性相性的に火は金に強い。確かにその通りだ。


 だが、またも失態をおかしていることに気づいていない。

 相性は所詮相性だということだ。


 例えるなら、山火事現場にじょうろの水をかけるくらいで消火できるだろうか?

 当然無理な話だ。


 何が言いたいかというと……


「えいっ。天使拳エンジェルパンチ

「――!?」


 魔力の差がでかすぎるなら、相性などひっくり返せるって事だ。


 硬質化した黄緑の拳は巨大化、女妖魔の全身より大きくなる。

 まさに金属の塊のような物体が、女妖魔に直撃する!


「ぼはっ!?」


 すさまじく重い一発。一瞬で気を失いかけてしまう。

 ――が、なんとか耐え反撃をこころみるが……


「頭上にご注意くださいね~」


 黄緑の発言の後、女妖魔の頭上から鉛の重りが落下してきた!

 女妖魔は今の一発で身動きがとれずに……


 ――押し潰された。


「ぎぃやああああ!!」


 黄緑は自らの拳を見る。


「わあ、本当に出来たよ。ちょっと溶けちゃったけど」


 金属の拳は溶岩を殴ったことで、わずかに溶け始めていた。しかし拳を元の姿に戻すと、なにもなかったかのように綺麗な拳に戻る。


 ダメージはほぼないに等しかった。


「でも金属性って本当に魔力の物質化できるんだね。ぶっつけ本番なのに上手くいったよ」


 どうやら重り攻撃は今初めてやったことのようだ。

 魔力の物質化など一朝一夕でできるものではない。

 黄緑の戦闘センスはそれだけ優れているということだろう。


「名前どうしよう……またエンジェルってつけようかな?」

「な、に……が、エンジェルだよ」


 女妖魔は擦りきれそうな声をなんとかだしていた。

 ちなみに溶岩は消えている。あまりのダメージで魔力がなくなったのかも。


「天使……? 悪魔の間違いだろこの、化け物女……」

「うっさい」


 黄緑は唾を女妖魔に吐き捨てた。


 ……敵とはいえ女に唾を吐き捨てるヒロインなどいるのだろうか?


「もう、安全だから入ってきていいよ先輩」


 黄緑がそういうと、部屋に恐る恐る秋葉が入ってくる。


「な、なんかすごい戦いだったみたいでござるね……」

「まあね。――さて、とどめさそうかな……」


 と、黄緑が思った矢先――

 パチパチと、大きな拍手が鳴り響く。


「見事、素晴らしい実力だね。お嬢さん」


 気配もなく、部屋の片隅に人の影。渋い、ダンディーな男がそこにはいた。


「誰? おじさん」



 ――つづく。


「おじさんとかどうでもいいから青くんに会いたい……」


「次回 第3勢力? いや、どうでもいいし……」



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