【クリスマス特別番外編】他意のないプレゼント
これはリナたちが学生だった頃のお話
「助かったよカイン。男の子の好きなものってわからなくてさ」
「ハルファウナ様のプレゼントもいいものが見つかりました。いいお店を紹介してくれてありがとうございます」
「どういたしまして」
リナとアリアはカインを連れ、商店街で孤児院の皆にプレゼントを選んでいた。
はじめはリナとアリアだけで選んでいたのだが、女子2人では男子の喜びそうなものがわからない。そこでカインに頼み、ついてきてもらったのだ。
流石は侯爵家の人間というべきか、カインはプレゼント選びのセンスがいい。それに加え、お小遣いの少ないリナたちでも買えるちょうどいい値段帯のお店もたくさん知っており、満足のいくプレゼント選びができた。
カインにお願いをして正解だったと2人はホクホク顔だ。
というかそんなポンポン貴族の子息を連れ回していいものなのだろうか……。
「今年もこの時期だねぇ。カインもプレゼントもらうの?」
「流石にもらわないよ。もう学生だし、子どもではないからね」
「それもそうだね、わたしたちも渡す側だし」
アスタリア王国では毎年12の月の25日に子どもたちにプレゼントを渡すイベントがある。元々は雪の多い地方で冬に親が出稼ぎ先で何か買って子どもにあげるという習慣であり、今では国全体がお祭り騒ぎになるほどの一大イベントになっていた。
「あの頃はプレゼントもらうの楽しみだったよね。魔鉄板もらった時は嬉しかったなぁ」
「おおう、またすごいプレゼントだね…」
「リナちゃんですから…」
などと思い出話に浸っていると孤児院が見えてきた。
「そろそろお別れですね。カインくん、今日は本当にありがとうございました」
「荷物も持ってもらっちゃってごめんね」
「気にしないで、俺も楽しかったから。じゃ、また学園で」
そう言ってカインは2人に背を向ける。
「あ、ちょっと待って」
歩き出そうとしたカインをリナが止めた。
「どうしたの?」
「えっとね…これ、カインにプレゼント」
リナは少し照れながら、小さな箱をカインに手渡す。
「あんまりいいものじゃないけどさ…。ま、開けてみてよ」
リナに勧められるがままカインは箱を開ける。中には透明なイミテーションの中石のついた指輪が入っていた。
それを見たカインは目を丸くして勢いよくリナに振り向く。アリアも驚きの表情が隠せない。
「え…これって…」
「今日付き合ってくれたお礼!」
「…あ、うん。そうだよね」
目に見えて萎むカインにリナが疑問符を浮かべていると、アリアが小さく小突いてくる。
「プレゼントに指輪なんて、リナちゃんも隅に置けませんね」
「え?なんのこと?」
「…ありゃー……」
そんなリナの反応にアリアも察した。ススーとカインの隣に移動し、慰めるようにその肩に手を置いた。
「ごめんなさいね。リナちゃん知らなかったみたい」
「わかってるよ、リナに他意がないくらい」
そんな2人の様子に、リナはプレゼント選びを間違えたかと不安になる。
似合いそうだと即決して選んだが、お気に召さなかったのだろうか。
「嬉しくなかった…?」
少し涙目のリナを見てカインもアリアもハッとする。
そうだ、彼女は純粋にお礼をしてくれたのだ。勝手に他意を妄想し一喜一憂するなんて失礼ではないか。
「俺のことを考えて選んでくれたんでしょ?嬉しいに決まってるじゃないか。
______ありがとう、リナ」
カインはリナの頭をポンポンと撫でる。それにアリアも続き、リナは2人に頭を撫で回された。
「わぁ、2人ともどうしたの?」
「リナはこのまま純粋でいてくれると嬉しいな」
「そうですね。リナちゃんはずっとリナちゃんでいてください」
「え?え?」
この日に好きな人へ指輪を送ると結ばれるという話をリナが知るのは、それから数日後のことだった。
メリークリスマス
皆様、良い1日を




