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バスケコートで汗きらめく美少女たちと、変態男子たちの青春トーク

作者: 久遠遼

『ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮』のスピンオフシリーズ。 オムニバス形式で、エリカと直央たちの日常を描いています。


※本編を見なくても、単体で楽しめるようになっています。

「いくよ、茉莉花ちゃん!」

「来なさいエリカ!」


 金髪ツインテールの天才美少女・海堂(かいどう)エリカと、黒髪ポニーテールの才色兼備・伊吹茉莉花(いぶきまりか)

 タイプの違う二人の美少女が、バスケットコートの上で汗をきらめかせている。


 今日は男女混合の体育の授業で、今は女子の試合中。

 僕――雨宮直央あまみやなおと、親友の三条真司さんじょうしんじは、コートの端でその光景を静かに眺めていた。


「なあ、直央。お前はどう思う?」


 唐突に真司が真顔で切り出してくる。

 こういうときは、たいていロクな話じゃない。


「……なにが?」


「なにって、女子の一番好きなところ……部位ってどこだと思う?」


 ほらきた。案の定だ。


「またそういう話……」


 僕が呆れかけるのをよそに、真司は勢いよく語り始める。


「おれはやっぱり“胸”だな! ジャンプするたびに主張してくるアレは、もはや凶器。あれを直視せずにいられる男なんて、この世にいないって!」


 やや興奮気味な真司に、少し引きながらも注意を促す。


「声、でかいって……エリカたちに聞こえたらマズいでしょ」


 その瞬間――


「三条、お前はまだまだおこちゃまだな」


 涼しい声が背後から飛んできた。


「や、山田!? なにが“おこちゃま”だよ!」


「ふっ。胸なんてただの肉塊にすぎん。真にエロスを感じさせる部位、それは“尻”だ」


 山田がドヤ顔で語り出す。


「どれだけ激しく動いても、美しいラインを保ち続けるあのフォルム……そして、座ったときに“むにっ”とする柔らかさ……あれぞ至高の芸術!」


 まるで美術評論家みたいに語ってるけど、中身は最低だ。


「……もう、みんな何言ってるのさ……」


 止めようとした僕の声も虚しく、また別の声が会話に割り込んできた。


「みんな、表面的すぎるよ。女の子の魅力をそんなふうに語るなんて、浅いね」


「さ、朔真……お前も乗っかるのか……?」


 倉本朔真(くらもとさくま)。優しくて穏やかな雰囲気の男子で、女子からは草食系男子と言われているのに……


 だけど彼は、静かに言い切った。


「女の子でいちばん美しいのは……“うなじ”じゃないかな?」


 その一言に、2人は驚愕する。


「「う、うなじだと!?」」


「普段は隠されていて見えない。だけど、髪を結んだ瞬間だけ垣間見える、あの一瞬の儚さ。

 見てはいけないものを、合法的に見てしまったような背徳感。まさに“禁断の果実”だよね」


 その語り口はやっぱり優しいけれど……中身はやっぱり最低だった。


「いや、胸!」

「いやいや、お尻だろ!」

「いや、断然うなじ!」


 白熱する論争。僕は深いため息をついて、そっとその場から離れた。


 ……巻き込まれるのは、ごめんだ。


 と、そのとき。


 真司たちの頭上に、女子が放ったバスケットボールがすっ飛んできた。


「うわっ、あぶねぇっ! 気をつけろよ!」


 真司が叫ぶ。


「うっさいわね、わざとよ!」


「はぁ!? 性格わっる……!」


「どっちがよ! 全部聞こえてんだからね!」


 言い争いが始まり、やがて周囲の女子たちが真司たちを取り囲む。


「あんたたち最低!」

「倉本くんがそんな変態だったなんて……」

「山田はもう黙れ」


 男子三人、完全に撃沈。


 ……ほんと、バカだなあ。


 女の子の“好きなところ”なんて、議論するまでもないのに。


 僕は、コートの中央で楽しそうにその様子を見ているエリカの姿に目を向ける。


 動きにあわせて揺れる髪。無邪気に笑うその笑顔。


 ――あの笑顔こそ、一番魅力的なんだよ。


挿絵(By みてみん)


作品を読んでいただき、ありがとうございます✨

もしこの物語や登場人物たちに少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ本編もご覧ください!

ページ下部に関連リンクを載せていますので、そちらからどうぞ!!



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