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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球転生編第二部

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地球転生編 2-86 M&M 心霊ファイル7: アメリカ合衆国国防総省のケース (第2部)

M&M 心霊ファイル7: アメリカ合衆国国防総省のケース (第2部)


通常、旅客機で日本からアメリカの首都ワシントンへ行く場合、平均して13時間はかかる。ところが、最神玲と物部かすみが乗った軍用機は、その1/3の約4時間程でペンタゴンにほど近いアンドリューズ空軍基地に到着した。時刻は金曜日の正午だった。そして、着陸後直ちに彼らは迎えのリムジンで国防総省、通称ペンタゴンに移動し、その中で最も警戒厳重な場所である長官室に案内された。玲とかすみがその部屋に入ると、そこにはテレビで見たあの人物、短く刈り込んだシルバーヘアーに白髪の混ざった口髭と顎髭が特徴の人物、が彼らを出迎えたのだ。


  「レイ・モカミさん、カスミ・モノベさん、

   よくお出で頂きました。

   私は国防長官のダニエル・ヘンドリクソンです」


と握手をしながら自己紹介を受けた。玲とかすみも、同じように自己紹介をして、長官室にある応接用ソファーにそれぞれ着席した。早速だがと言われたとき、まず玲が今回自分たちの住まいがそちらの特殊部隊からの襲撃を受けたことを伝えた。すると、どうやらその情報は本国には伝わってなかったのか、逆に玲とかすみに対し、「それは本当か?」と驚いた表情で問い掛けてきた。こちらは嘘をつく必要はないので本当ですと答えた所、早速側近にその事実確認を行うよに指示を出した。それから、10分程して側近が戻って来てヘンドリクソンに事実であったことを伝えた。すると


  「大変申し訳ありませんでした。

   こちらからの依頼を誤解していたようです。

   なお、そちらの損害については

   こちらが全面的に弁償させてもらいますので

   後ほど係の者に請求してください」


と謝罪と賠償の意思を伝えた。これについては、既にアメリカ大使館側と話がついているため、弁償は不要ですと玲は答えた。そして、ヘンドリクソンからの謝罪についても、誠意ある謝罪を頂いたということで、今回の襲撃の件はこれで不問に付します、とその場で伝えた。


 会談の場が少しばかりぴりついた雰囲気に包まれたが、ヘンドリクソンは気を取り直して、今回玲とかすみを日本から招いた件を伝えようとした。その時、玲はフライング気味に「奥様の蘇生ですか?」と尋ねた。かすみもそう思っていたのだが、通訳された玲の言葉を聞いたヘンドリクソンは、一瞬動きを止めて玲を見つめたまま固まってしまった。え、違うの?と玲は思ってかすみの方を振り向いた。かすみも玲の方を振り向いて、「え、違うの?」と同じような表情をした。その後何とか平静を取り戻したヘンドリクソンが、「モカミさん、今のはどういうことでしょうか?」と玲の言葉に何とか答えた。そこで玲は、今回自分とかすみが連れて来られたのは、数週間前にあなたと奥様を襲った悲劇によって、今なお意識不明のままの奥様を蘇生させるためではないかということを通訳を介して説明した。すると、


  「確かに、私の妻は今も意識不明だが、

   あなた方はそんなことも出来るのですか?」


と逆に聞かれてしまった。あれ、その心算(つもり)で呼んだんじゃないの、とかすみは小声でそう言ったが、この様子だとどうも違うらしい。でも、とりあえず蘇生の件もしっかり伝えておくことにして、


  「はい、我々の仕事の中には、

   死んだ人を生き返らせる蘇生術があります。

   あ、ちなみに、こちらの映画でよく見かける

   ゾンビにするとかではないので、ご安心下さい。

   ただし、これには色々と制約がありまして...」


と言うことで、かすみは何時もの蘇生に関する注意点をヘンドリクソンに伝えた。すると、


  「も、もし時間があれば、是非お願いしたい」


と懇願された。だが、時間があればとなると、別の本題があるということだな、とはこの時点で漸く玲もかすみも気が付いたのだ。そこで、改めて、ヘンドリクソンに今回我々をここに呼んだ用件を聞くことにした。そして、その用件の詳細を聞き終えた時、玲とかすみの背筋には強烈な戦慄が走った。



 ヘンドリクソンが玲とかすみに依頼したいこと、それはある人物からUSBを回収して欲しいということである。それだったら、この国にはFBIとかCIAとか、その道のプロが五万といるから、態々玲とかすみに依頼することではないのだ。ところが、そのUSBを持った人物はある所に捕らわれているのではないかという。実はその人物が迷い込んだ場所には、このようなものがあったということで、ヘンドリクソンは自分の机の引き出しから一枚の紙を取り出し、それを玲とかすみに見せた。その紙に描かれた絵を一目見た玲は、瞬きせず目を大きく見開いたまま凝視した。そして、極度の緊張からか口の中がカラカラに乾いた状態で


  「こ、これが本当にここにもあったんですか?

   もしそうだとしたら、まさか、

   霊界に迷い込んだんですか?」


と何とか言葉にした。かすみはただ口をパクパクさせるだけだった。彼らが何に驚いたのか?それは、そこに描かれた絵が、玲とかすみがよく知るバレル型の降霊転移門だからであった。しかしなぜ降霊転移門があったことが分かったのか?実は、アメリカ軍の中には公開されてないが霊能力や超能力を持つ人物が少ないながら所属しており、このような捜索によく駆り出されるという。そのうちの一人、陸軍に所属するラハニ・エラン中尉と言う名の女性であるが、追跡中の人物が行方不明になった場所で、不可思議な門を見たという。それが今から2カ月前の話である。残念ながらその時はそれが何なのかが全く分からず、しかも見つけた本人以外の目にはそれが見えないということだった。そして見つけた本人も兎に角近づくのが危険と判断したため、直ぐに上司に報告した。ところが、ひょんなことから、その門が何なのかが分かったという。切っ掛けは、あるユーチューブの動画であった。エラン中尉は心霊系の動画が好きであらゆる国の心霊動画をユーチューブで見ている。そのうち、丁度1カ月ほど前に日本から投稿され、かなりの視聴数を稼いでいるという話題の心霊動画に興味があったのでそれを視聴していたところ、映像の中に同じような門が現れたのを確認した。そこでエラン中尉は上司にそのことを報告し、在日米軍を通じてその動画を投稿した人物にコンタクトを取った。そしてその動画は、東洛(とうらく)総合大学の心霊サークルが投稿した今年の夏合宿の動画であり、直接大学に赴いて心霊サークル部員から情報を聞き出した。その結果、玲とかすみに辿り着いた、というこである。それを聞いたかすみは、


  「くそー、あいつら、うちらを売ったんかー!」


であった。ただしその表情には悔しさや憎しみは一切なく、困ったものだがあいつ等なら仕方ないか、まあそんなことは分かってたけどね、という苦笑いした表情であった。ちなみに、このやり取りには、恐らく数十万円が動いただろうことが、玲もかすみも容易に想像できた。かすみは、「後であいつらに何か奢らせる!」と息巻いていたのだが。そんな事情があったのかと、改めて思う玲である。では、改めてその降霊転移門で問題のUSBを探すのが自分たちの仕事なのかということをヘンドリクソンに尋ねると、「その通りです」と返って来た。ただし、報酬は支払うという。その額1000万ドル。これにはかすみは、


  「え、1000万円じゃなくて、ドル?」


だった。日本円に換算すると15億円くらいか。ただし、これは恐らく成功報酬だろうと睨んだ玲は、念のためヘンドリクソンに霊界での探査における注意点を示した。それは、


  「霊界に迷い込んだ場合、

   まずその人がどこにいるのかを

   探すのはかなり大変です。

   もしその場に留まっていればまだ大丈夫ですが、

   不用意に歩き回ると探せなくなります」


と説明した。だが、これだけでは説明しても納得できないのだろうと思ったので、玲は自分の後ろ側の空間に降霊転移門を召喚した。そして、


  「長官と皆さんには、この霊視グラスを掛けてください。

   これを掛けると、霊体や霊界を目視出来ます」


と説明して霊視グラスを渡した。何やら胡散臭い代物だ、と言う目で眺めるヘンドリクソンだが、とりあえず玲に言われた通りその眼鏡をかけた。すると、彼の目の前、玲の後方にスケッチに描かれた通りの降霊転移門が現れたため、ヘンドリクソンは思わず立ち上がり、目の前の光景を瞬きせずに凝視し続けた。勿論、彼を除くその場にいた全員も、余りの衝撃的な光景を目の当たりにしたことで、口を開けたままただ茫然と立ち尽くした。今しがた、スケッチで見ていた門が目の前にあったのだから、その衝撃の凄まじさは想像に難くない。


  「こ、これが、そ、その門か?」


とやっと言葉を発した。そして、


  「一度そこから中をご覧ください」


と言って、玲とヘンドリクソンは立ち上がって降霊転移門に近づき、玲がするようにヘンドリクソンも同じように首を突っ込んで中を覗き見た。ちなみに、その光景を見ていたヘンドリクソンの側近と通訳のナカハラ大尉は、左目は召喚門の様子を見ているが、右目は空中でいきなり彼らの首だけが消えたため、このギャップに驚きと共に恐怖を感じ、胸の前で十字を切った。それから彼らは首を引っ込めたが、ヘンドリクソンは、自分が霊界を覗き見たことが未だ信じられず、彼もまた胸の前で十字を切って神に祈りを捧げていた。それ位衝撃的だったようだ。そして、漸く玲の言ったことを信じるに至った。確かに何も見えない何も聞こえない世界で誰かを探すことが如何に困難か、しかもどうやら自分達が持つ自慢のハイテクノロジーが一切役に立たない世界となると、全く手も足も出ないのだった。そしてその鍵を握るのが、ここにいる2人の若者であることを十分自覚した。そこで、


  「モカミさん、よくわかりました。

   成功するしないに関係なく、

   1000万ドルは今回の報酬として差し上げます。

   もしUSBが見つかった場合は、

   追加で1000万ドルお渡しします」


と言われた途端、かすみは「まじかー」と呟いた。もはやかすみの金銭感覚では処理しきれないようだ。そして玲だが、金額どうこうよりも、やはり降霊転移門がこの国にも現れたということに脅威を感じた。そして、やはりこれを対処するのは自分達しかいないと考えて、彼らの申し出を受けることにした。


 ところで、去り際にヘンドリクソンが玲とかすみに、あることを質問した。それは


  「あなた方は、召喚術師ですか?」


であった。通訳したナカハラ大尉はその意味を理解していないようだが、玲とかすみは英語で「サモナー(Summoner)」と言うことは知っており、その言葉が彼の口から伝えられた時、驚きで何も言葉が出なかった。なぜ彼は召喚術師を知っているのか?詳細は明かされなかったが、アメリカ軍でも実は最高機密資料の中に召喚術師に関する情報があるという。それだけを明かされたが、彼らとしてはそれで十分だろう。そして、玲とかすみの沈黙が、その答えであった。その時、ヘンドリクソンはある提案をした。それは、


  「もしあなた方の召喚術師の力を

   我が国に提供頂ければ、

   1億ドルの報酬を支払います」


であった。だが、金額云々よりも玲もかすみもどこかに所属する意思は全くない。加えて、


  「もし我々を拘束とか束縛しようとすれば、

   あなた方の国と全面的に戦います」


と宣言した。この言葉が一般人であれば、単なる強がりか世迷言に聞こえるが、ヘンドリクソンは召喚術師の何たるかを理解しているようで、玲の言葉を聞いた途端、顔面蒼白になる位に狼狽した。この時点で玲は彼が召喚術師が何たるかを理解しているんだな、と言うことを知った。序に、玲はある話を拙い英語でヘンドリクソンの耳元に囁いた。それが更に追い打ちとなったようで、この話はなかったことにして欲しいと懇願された。

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