地球転生編 2-85 M&M心霊ファイル7: アメリカ合衆国国防総省のケース (第1部)
M&M心霊ファイル7: アメリカ合衆国国防総省のケース (第1部)
何時もの日常が戻って、何時も通りに美土路神社での仕事が終わり、最神玲と物部かすみは何時も通り自宅で夕食を摂っていた。そう、これは何時も見られるシーンであるが、かすみは何気なく玲に、
「ねえ、玲、もしかしてこれが
最後の晩餐になったりしてね」
と語り掛けた。玲は自分の食事に夢中なのか、おかずのかすみ特性唐揚げを見つめながら
「大丈夫、何があっても僕が守るから」
とだけ答えた。かすみは、暫くしてから、
「期待しているよ、相棒」
と玲を優しい眼差しで見つめながらそう言った。そして玲は徐に顔を上げて、かすみを見つめながら
「期待していてくれ、相棒」
とだけ答えた。この答えに満足したかすみは、にっこり微笑んで、そのまま食事を続けた。
夕食後、玲とかすみは何時ものM&Mの夏用制服に身を包んだ。いよいよ、これからアメリカに向けて出発する。彼らの手荷物は各自機内持ち込み可能なキャリーケースだけ。ちなみに玲は、そもそもそんなカバンを持ってないので、かすみのキャリーケースを参考にして召喚して出したものだ。それとパスポートだが、実は米軍基地から出発するのと、ある意味アメリカ政府からの招待となるため、入出国審査はなく本来はパスポート不要なのだが、念のため持っていくことにした。尤も忘れても直ぐに転移して取りに来れば済むのだが。さて、集合場所は東京近郊の米軍が管理する飛行場であるが、玲もかすみも近くまで転移する予定である。そして転移先候補も既に確保しているので、後は時間を見て転移するだけであった。なお、彼らのアメリカ滞在は長くて3日程と予定していた。幸い、今週末は連休になっているので、玲もかすみもその間神社を不在にしても問題はない。ただし、今月末には美土路神社最大のイベントである美土路戦勝祭が行われるため、万が一滞在期間が延びたしても、その準備等で抜ける訳にはいかない。
出発の時間が来たので、玲とかすみは転移場所に向けて転移していった。今回彼らが転移したのは、過去の転移先候補ナンバーワンである神社の本殿裏である。大概、神社の本殿裏まで立ち入る人は殆どいないことを彼らは身をもって経験しているので、今回の転移先もそこにした。そしてその神社からは玲の魔改造車で向かうのだが、そこからは30分程で到着する。そして基地のゲートに着いたら、警備している兵士に「駐在武官のトーマスからの招待です」と告げればトーマスに連絡後直ちにゲートを通過できることになっている。そして、今彼らは無事ゲートを通過して指示された格納庫に向かっているところだった。
「ねえ、玲、うちら何に乗って行くんだろう?
もしかして、戦闘機とかかな?」
と何やら楽しそうに会話する助手席のかすみである。「まさか、民間人が戦闘機に乗って行くのはないだろう」と玲は常識人の答えをするのだった。そんな彼らが指定された格納庫に到着すると、庫内を照らす照明の下、何やら変わった形の機体が目に飛び込んできた。何となくテレビで見た爆撃機に似ていなくはないが、玲もかすみも詳細は全く分からない。そしてその機体の前には、トーマス以下複数名のスーツ姿の恐らく外交官のグループと、後は数人の空軍の紺色の制服を身にまとった軍人のグループが彼らを出迎えた。トーマスは一人一人を紹介していったが、玲とかすみが驚いたのは、その中に2名の高官がいたことだった。高官と言うよりも代表者か。一人は玲もかすみもテレビで見たことのある人物、アメリカ大使のジェラルド・マカフィーである。そしてもう一人は肩に3つの星が並んだ制服を身に纏った人物で、この基地の司令官であるアルベルト・タカナシ空軍中将である。なぜこのような人物が、平凡を絵に描いたような玲とかすみの出迎えに現れたのかというと、やはり今回の依頼がかの国にとっては途轍もなく重要だからである。それと、今回玲とかすみのために、通訳として空軍のアキコ・ナカハラ大尉が同行するという。そして彼らが移動で使うのは、先程から目につく特殊な軍用機であった。残念ながらその機体名は公開されていないが、音速を越えての飛行が可能だと言う。兎に角、玲とかすみを本国に早く連れていく必然性にかられているようで、それ位彼らは玲とかすみの存在に注視していたのだった。そんな特殊な軍用機に乗って、午後9時過ぎに彼らは日本を発った。




